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ババ抜き勝負の行方(第2回・サイさんの場合)

前話のあとがきに活動報告から文章を更に追加しました。

 いきなり始まった早朝の一番勝負。

 種目はババ抜き一本!

 最終的にババになった人が、一抜けした人の一日奴隷をすることになって…?


 参加者はお馴染み、リアンカちゃんと魔王兄妹、勇者様。

 それからセンさんとサイさんの六人で。

 はてさて、駆け引き交じりのババ勝負。

 その行方は果たして…



   一日奴隷と、ご主人様。(兵士C編)



 ~ご主人様になったのが、サイさんの場合~



 リアンカとの黒い取引を経て勝ち名乗りを上げた青年。

 辺境の騎士にして布地屋の息子、サイ・ラング。

 のんびりとした外見にそぐわず、今一つ内面の読めない彼。

 しかし何となしに計算高い腹黒臭の漂う彼である。

 果たして、勝者となった彼は何を望む…?



《奴隷その1 センさんの場合》


 ほぼどころか、間違いようもなく初対面。

 そんな相手を前に、彼は何を望むのか?

 サイさんはじっくりと、感情をうかがわせない無味乾燥な目でセンさんを見る。


「ん、そうだね…」

「な、何を望むつもりだ!?」


 動揺がにじむ、その眼差し。

 それを見て、サイさんはこくりとひとつ、頷いた。

 決めた、と言わんばかりのその顔で。

 サイさんの強い言葉が放たれる。


「それじゃ、今日中に回れる全商店で、「スマイルください(プライスレス)」って言ってきて」


「子供のいじめか…!?」


  → 中学生の罰ゲーム発動!



《奴隷その2 せっちゃんの場合》


「せっちゃん、がんばりますのー!」


 意欲も高く、ぐーと拳を掲げて御挨拶。

 裏のないその笑顔に、サイさんは頷きながら言った。


「それじゃうちの苦労性肩こり達の肩叩きをお願いしてみようかな」


 その瞬間、騎士として培った彼の危機回避能力がフル回転でいい仕事をしていた。


「肩トントンで良いんですの?」

「うん、そう。僕の分は良いから」

「ふえ?」

「いつも大変な思いをしている、仲間達を労わってあげたいんですよ」

「…わかりましたの! せっちゃん、頑張りますの!」

「うん、きっと頑固に肩こりしてるはずだから、全力でお願い」

「了解ですのー!」


 …せっちゃん、その身分は魔王の妹。

 潜在能力、平素の実力、共にさりげなく魔境の上位に食い込んでいる。

 そんな彼女の全力は?

 全力肩たたき、とは?


  → 十分後、兵士A、Bが大変なことに!



《奴隷その3 勇者様の場合》


 かつて騙した負い目。

 未だ露見はしていないというのに、罪悪感から勇者様は居た堪れない思いをしている。

 即ち、挙動不審。

 そんな勇者様をとっくりと眺めて、サイさんは言った。


「体のサイズ、測らせて下さい」

「………は?」


 珍しくきらりと目を光らせた騎士の手には、メジャー!

 表情は乏しいながらも、うきうきわくわくとした空気は隠す気からして既にない。


「実家が服飾に関わる生業を営んでいるんです。勇者殿下を見ていると、創作意欲が………」

「いや、君は騎士だろう…?」

「騎士でも、趣味は自由でしょう。生育環境で培った審美眼が疼くんです。今のそんな実用一点張りの衣装じゃなく、素材を輝かせる衣装を貴方に着せてみたい…! という情熱が湧いてくる訳で」

「情熱を感じている割に妙に冷静だな!?」

「いいからつべこべ言わず、体のサイズを測らせてもらえませんか? 御身に不相応な装飾性皆無の衣装を着ているから、こちらも疼くんです。貴方が此方の手も出しようがなく一部の隙もないコーディネイトできちっと整えていたら、僕もこんなに着替えさせたいとは思わないのに」

「それは俺のせいか? 俺のせいなのか???」


  → 勇者様、一日着せ替え人形となる。



《奴隷その4 まぁちゃんの場合》


「…それで? 俺に何させるよ?」

「うちのベルガを襲撃してきてください」

「いきなりか!」

「あ、本気は出さないでください。膝カックンでお願いします。膝カックンで」

「…何がやりてぇの?」

「ただ驚き腰を抜かす姿が見られたら、というささやかなお願いを叶える機会かと思ったもので」

「何か恨みでもあんのかよ?」

「ただの腹いせです」

「言いきった、此奴…!」

「それじゃ僕は物陰に潜んでますから、行ってみましょう」

「………ま、いっか」


  → 終日兵士Bへの悪戯襲撃に時間を費やす。



《奴隷その5 リアンカ嬢の場合》


「それで、何をしましょうか?」


 そう言ったリアンカ嬢は、どこか挑む様な目をしていた。

 偉そうにぐいっと張った胸元で、瑞々しい夢と希望の詰まった何かが柔らかそうに揺れる。

 しかし、目標を思い定めたサイさんは、それに目をくれることもない。

 

「やっぱり、実際に自分の目で見て確かめてから、誘った方がいいと思うんだ」

「?」


 なんのこと、と首を傾げるリアンカ嬢。

 彼女に、サイさんは簡潔に告げた。


「魔境のデートスポット」

「! ああ、エルティナさんを誘う件ですね!」

「そう。誘うにあたって、先に実地調査して吟味した方が案内もできるし得だから」

「成程。つまりピクニックですね!」


 間違ってはいないけれど、その解釈はどうでしょう(笑)

 エルティナさんを誘う為、デートスポットの吟味という目的。

 その為にリアンカ嬢に、ご推薦のデートスポットを実際に案内せよという。

 ピクニックは、リアンカちゃんも大好きだ。

 大喜びで持って行くお弁当のおかずを考慮し始める。


 その言葉に慌てたのは、何故か勇者様で。

 恐ろしいものを見るような目で、そろ~っとまぁちゃんを伺い見る。

 しかし。

 予想に反してまぁちゃんの表情は凪いでいた。

 十中八九、大魔神様が降臨していると思ったのに。

 あれ?と首をひねる勇者様。

 思いっきり不思議そうな彼に、まぁちゃんがふっと笑う。

 どこか達観した、その目の色で。


「他の女にうつつを抜かしてるよーな野郎と二人きりにしたからって、やべぇことには何ねーよ。うちの従妹を見くびんな」

「まぁ殿…」

 

 何故、その信頼を普段のリアンカに向けないんだ、と。

 そう思ったけれど、多分きっとそれは理屈なんかじゃない。

 賢明な勇者様は口をつぐみ、まぁちゃんは遠い目をしている。


「ピクニックなら、大勢で行った方が楽しいですよ♪」

「そうかな?」

「それに何人かで行った方が多面的なものの見方が出来て、参考になりません?」

「一理あるね」


 まぁちゃんと勇者様がみていないところで、リアンカちゃんの提案はトントン拍子に進んでいて…

 結局、その日は大勢で魔境の素敵スポットを巡って楽しく過ごすことができました。


  → みんなでピクニック♪




 せっちゃんは可愛い!(合言葉) 

 でも、可愛いだけのイキモノじゃないんですぜ(笑)

 次回はせっちゃん編なので、ちょこちょこ無自覚に酷いせっちゃんをお送りできれば、と思います。


 → まぁちゃんが奴隷パターン

 さり気無くちょいちょいいい仕事をする兵士C。

 現在は恋敵でもあるベルガに、容赦はしませんw

 この日は一日、落とし穴に落としたり、三メートルの鐘に閉じ込めたり、色々やったことと思います。

 金盥といわず、たわしといわず、様々な小道具もきっと活躍したことでしょう!


 → 勇者様の着せ替え人形。

 サイさんも、勇者様が口を挟む隙もなくびしっと決めていたら、何も言わなかった…。

 まぁちゃんやせっちゃんは本拠地から通っていることもあり、既にサイさんが何か言うまでもなく完璧なので、放置ですが。

 流石に勇者様の勇者姿には、口を挟まずにいられなかった様子。

 ギラリと光る、職人の目で見ていたことと思います。

 雰囲気はメンズ向けブランド服屋のカリスマ店員、でしょうか。

 明日にでもファッションショーでもするの?という感じだったことと思いますw


 → みんなでピクニック!

 はい、わが道をいくキャラが何人もいますね。

 何人 か 、ではありません。何人 も です。

 しかしながら目的を持つ冷徹なまでの計算モード発動中の兵士Cと、水先案内人のリアンカちゃんが現場監督に入ります。

 いつもの無目的フリーダムよりは、ちょっとマシだったかもしれません。

 ………偏った恋愛感を発揮して、方向性がずれるのもご愛嬌です。


 → 甘え倒す未来。

 むしろ 甘 え な い で ど う す る … !!

 ナチュラルにいちゃいちゃ従姉妹が、また恒例のずれっぷりを発揮してまぁちゃんを殺戮に走らせかけます。

 そんな次回:せっちゃん編をどうぞお楽しみに!


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