ババ抜き勝負の行方(第1回・センさんの場合)
そんなわけで、ババ抜き勝負!
勝者がセンさんだった場合、です。
こちらも以前活動報告に書いたものの再録となります。
いきなり始まった早朝の一番勝負。
種目はババ抜き一本!
最終的にババになった人が、一抜けした人の一日奴隷をすることになって…?
参加者はお馴染み、リアンカちゃんと魔王兄妹、勇者様。
それからセンさんとサイさんの六人で。
はてさて、駆け引き交じりのババ勝負。
その行方は果たして…
一日奴隷と、ご主人様。(セン編)
~ご主人様になったのが、センさんの場合~
度重なるまぁちゃんの無言の威圧と、せっちゃんの天然妨害工作。
それにめげることなく勝ち名乗りをあげ、逃げきった英雄センチェス・カルダモン(24)。
そんな彼のご主人様な一日は…
《奴隷その1 兵士Cの場合》
ほとんど初対面に近い相手を前に、センさんは思案顔。
いきなり奴隷だなんだと言われても、どうしたものか。
とりあえず何か指示を出し、一日好きに扱えと言うことだろう。
納得できないモノを感じたが、魔境に徐々に毒されつつあるセンさんは細かいことに目をつぶった。
「お前、確か辺境国の騎士だっけ?」
「雉になったつもりはないけど?」
「騎士だ、騎・士!」
「ああ、それなら間違いない」
「――んじゃ、手合わせといこうぜ? 俺の命令権はそれでいい。一日勝負といこう」
「それでいいって言うんなら、こっちも楽だけどね」
→どちらも基本体育会系の本領発揮。ガチバトル勃発。
《奴隷その2 せっちゃんの場合》
センさんは、全身からだらだらと脂汗を流していた。
原因は目の前の可憐な美少女――ではなく、その背後に仁王立ちで佇む鬼神様だ。
彼の麗しき顔面は、如実に語っていた。
即ち、
『てめ、うちの可愛い妹に卑猥な命令でもしようもんなら………
わかってんだろうな、ああん?』
―である。
そのモノを言うにも雄弁な眼力を真っ向から受けて、センさんは今にも鶏にジョブチェンジしそうな状況だ。
…鳥肌が、立ちすぎて。
やがてからからに乾いた喉を駆使して、青年は何とか声を発した。
「そっ それじゃっ孤児院のちび共の面倒を見るの、手伝ってもらおっかねー…」
「はぁい、ですのー。ちっちゃい子たちと遊ぶのは大好きですの!」
その瞬間、センの耳には小さく「よしっ」という青年の声が聞こえてきた。
自分は一命を取り留めたのだと、緩む緊迫感の中で悟る。
恐怖に酷使された心臓。
胸を何とか撫で下ろしながら、彼は安堵に倒れそうだった。
→ 保護者が恐ろしすぎる&つるぺたには興味なかったため、無難な命令で生きのびる。
《奴隷その3 勇者様の場合》
いま、彼の前にいる者。
金色に輝く金髪の、青い瞳の美青年。
幾度となく試合で刃を交え、友と呼んだ相手だ。
今この時、彼を前にしてセンさんが言える言葉は一つしかない。
そう、それは既に決まっていた。
「勝負だ…っ ライ!」
「ああ、望むところだ!」
勇者様はどれだけ強くなっただろう?
自分は今、どれだけ奴に近づけただろう。
それを今から確かめられると思うと……それだけで、全身の血が滾る。
センさんはじっくりと勝負の時を楽しむことを考え…獰猛な瞳を、喜悦の色に綻ばせた。
そうして二人は、日が暮れるまで刃を交え続け…
センさんはぼろぼろの襤褸雑巾のように、ずたぼろになった。
→ YOU WIN! 勇者様
《奴隷その4 まぁちゃんの場合》
センさんの全身から、滝のように滲み出るもの。
→冷汗。
「それで? 俺になんて命令するよ」
「いや…その、勘弁して下さい」
「あ?」
ハテノ村で寝起きするようになって、約一か月。
今となってはセンさんも、まぁちゃんの正体を知っていた。
だからこそ、全身を襲う悪寒が半端ない。
この緊張感から逃げる為、とにかく何か命令しよう。
センさんはようやくソレに思い至り、恐る恐る口を開いた。
「それじゃ………俺の代わりに休んでくれ」
「あ?」
「休んでくれ。俺の代わりに」
「???」
→ 両者混乱した末、何故かセンさんの代わりにまぁちゃんがお昼寝をするという意味不明の結果に落ち着く。
《奴隷その5 リアンカ嬢の場合》
負けたモノは仕方ない。
そう言って肩を竦めて見せるリアンカに、何故かセンさんは安堵の息。
その瞬間、彼の全身を鋭い殺気が貫くが…(発生源:まぁちゃん)
センさんは気付かなかったふりで、リアンカちゃんに命令を与えた。
「あの鳥野郎……ヨシュアンの、弱点は?」
「ヨシュアンさんの弱点?」
「何かないのか、弱点。弱点でなくても、何か情報は!?」
「えー………?」
いきなり問いかけられて、こてんとリアンカが首を傾げる。
考え考え、やがて思いつく事項を口にする。
「ヨシュアンさん、手羽先とささみチーズが好きだよ?」
「………焼き鳥?」
「うん、そう。それで軟骨はあんまり好きじゃないって」
「共食いじゃないのかよ!?」
「やっだ、鳥って元々獰猛な生き物なんですよ? 爬虫類の近親種だし」
「うわー…」
「それで、あれで意外に家族思いの孝行息子さんなんですよ? お母さんとか人質にしたら一発ですね!」
「弱点ってそういう意味の弱点じゃねー!」
「ちなみに、一発で殺してもらえるよ?って意味です」
「しかも危ないのは俺の方か!!」
センさんに向かって「ぐ」と親指を立ててくるリアンカに、センさんの顔は引き攣っている。
「そんなんじゃなくてさ、戦う時の注意点とか、さ」
「それなら、センさんのしっぽビンタには気をつけた方が良いですよ? 下級のドラゴンならしっぽビンタ一発で倒せるって言ってましたから」
「しっぽ強っ!? え、てかアイツ、尻尾とかあったか!?」
「水に濡れると出てくるよ?」
「……………俺、絶対にアイツに水辺では戦い挑まねぇ」
「それがいいですね!」
→ 某魔族さんと戦う時の注意事項伝達で一日が終わる。
→真っ当な方、勇者様。
いえいえ、彼一人くらい真っ当じゃなかったら、どうするんですかw
メリハリつけて引き締めるためにも、やっぱり一つはまともな例が必要ですよね。
こういった場合、その規範となる人が勇者様しかいないというww
全員の奴隷パターンに納得いただけたようで安堵しておりますw
でもたまには意表をつかないとね………(にやり)
リアンカちゃん
「あ、そういえば翼が重いせいか執筆活動のせいか、肩こりが酷いとも言ってましたよー」
センさん
「だからそういう情報じゃねぇぇえええええっ!!」
→まぁちゃんの過保護
一日奴隷なんて、言葉からしてギリギリですからね!
お兄ちゃんの鋭い眼光が冴え渡りますv
彼という地雷を踏み抜いた瞬間、ご主人様はご主人様でなく、ご主人様(故)となることでしょう。
あなおそろしや。
→画伯のしっぽびんた。
これ、実は補正が入っています(笑)
ガルーダのお父様譲りで、竜種に対して優位補正持ってるんですよw
流石にそれがなかったら一撃とはいかないでしょうね。
→画伯の有能ぶり
だからこその魔王直属武官!
これで副業さえなかったら……っ!
多分、そう思う魔王城の偉いひとは絶対に多いはず。
でもそういいつつもお世話になっていそうなジレンマwww




