15話 デート再開
「エーヴァ嬢の言う通りにしよう。各島に連絡を」
「承知致しました」
二人きりに戻りバーツ様から「ありがとう」と感謝される。
「素晴らしい判断だ。それに博識で」
「ありがとうございます。ソッケ王国はドゥエツ王国よりも先に体調不良者が出始めていたので」
新聞でも大きく載っていたのを理由にした。私が中枢でシャーリー様と共にその対応をしていたことはバレないだろう。
「助かりました」
「私の拙い説明を瞬時に理解してくださるバーツ様の方が素晴らしいですわ!」
「はあ……」
そしたら気を取り直して、とバーツ様は何事もなかったかのように続けた。
「お店、行きましょう」
「はい!」
そうだ。体調不良や海賊の話で暗くなってしまったけど、本来は逢引きで外に出てきたんだったわ。
届いた銀を見てみたい気持ちもあるけど、領民の厚意にも応えないといけない場面だ。
「では服から」
「ええ」
諸島では様々な問題に溢れている。中でも大陸と大陸の間が原因で海賊の襲撃は日常茶飯事だ。
すぐ切り替えられるのは、領民と領主がきちんと話せているから。そして領民が各島を守れているから。
「エーヴァ様にぴったりなものを用意してあります!」
先程の会話があったからか準備万端だった。いらないと言う雰囲気にもならず、バーツ様は次から次へと私の服を選んでいく。スマートね! 素敵!
「折角だから領主様も買っていかれますか」
最近買ってなかったでしょうと数着出てくる。さすがドゥエツ王国、服飾も三国の中ではとびきりセンスがいい。しかも大陸のデザインも混じっている。
「バーツ様、こちらとこちら買いましょう!」
「え?」
「まいど~」
「え?」
店主はささっと奥へいってしまった。いけない、先走りすぎた。
「すみません……つい」
倹約家だったらひどく不快だろう。けどバーツ様は「まあいいですけど」と許してくれた。
「なんて寛大! ありがとうございます! 好きです!」
「エーヴァ嬢も目利きがいいですね。南の大陸で流行り始めたデザインと、三国跨いで保護している職人達が紡いだ刺繍入りのものをすぐに見留めるなんて」
「珍しいものだったのでつい。ソッケ王国は他国のものが中々入らないから新鮮です」
「使う場面があるものでしょうから助かりました」
淡々と言うのに感謝は欠かさない。さすがバーツ様だわ!
「日用品も買い足しましょう」
「はい」
さすが諸島リッケリというところだろうか。他国のものがそこかしこにある。ソッケ王国に入ってこないものも多かったから刺激ばかりだった。
食べ物も同様で多種多様なものを扱っている。市場ではしゃいだ私に今日の夕飯にしようと変わった魚を買ってくれたし、南の大陸にあるファンティヴェウメシイ王国特有のお菓子や香る蝋燭まで買ってもらった。最初からこんなにいいのだろうか。
「バーツ様とお揃いのカップまで!」
「いやそれ僕用ではなくて、エーヴァ嬢用に新調しただけで」
「バーツ様と一緒に飲む時だけ使いますね!」
「……そうですか」
バーツ様自身は謙虚に遠慮しているけどすごいことだ。諸島におけるよう采配し、取引を可能にしているのだから。
「さすがバーツ様ですね! 各国の良いものをバランスよく揃えていて素晴らしいです!」
「場所柄揃えやすいので」
「貴重な伝統工芸品もあるのはさすが銀細工師筆頭! それぞれの伝統文化を知り、尊重することができます! 領主としてやはりバーツ様は優秀なのですわ!」
エーヴァ嬢はいつもそんな感じなんですか、と聞かれ少し考える。
「いえ……当たらずも遠からずです、ね……」
シャーリー様に対してはここまで多く言葉にはしてなかった。場所も場所だったから私の言動行動がどう影響するか分からない。
そもそも好きという感情を表現してなかった。持っていたのだろうけど、発揮する場所がない。これが回答だろうか。
「バーツ様が初めてかもしれません」
少し瞳を丸くして小さく「そうですか」と返された。
ここにきてから解放感に自由度が増してきているのかもしれない。
たくさんの小説の中からお読み頂きありがとうございます。
好きですコールに動揺せず、スルーできるようになったバーツ(笑)。けどそれを上回る勢いで褒めまくるエーヴァ。そして好きです以外の口説き文句も無自覚に投下していくエーヴァ……末恐ろしい。




