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結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


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第17話 またご指導ですか?

 広い訓練場には誰もいません。

 ただ一人私だけが基礎訓練をしています。


 一日でも怠れば、身体はなまっていきますから。


 身体が温まれば、一人で模擬戦を行います。敵は私の頭の中にある敵です。


 とはいっても剣だけで相手できる人物になりますけどね。

 流石にアディフィール将軍ですと、剣だけでは惨敗。私の首と胴がものの数分で離れてしまいますわね。


 さてと、今日は誰と模擬戦をしましょうか。

 そのとき、殺気を感じて身体を斜め横にずらします。


「手合わせをお願いできますか?」


 レクス。それは従騎士にいう言葉ではありませんよ。

 私の背後には剣を携えたレクスがいました。


 昨日ご指導というものをしたと思うのですが?


「団長。今日は朝早くからいらしたのでお疲れでしょう。早く休まれたほうがいいのではないのですか?」


 どうも寝ていなさそうなレクスが朝から仕事をしていましたので、帰って休んだほうがいいと思うのです。


「昨日のやり直しをお願いしたいのです。あれは私の本意ではなく……いいえ、隊長のお怒りはご尤もです。ですから、やり直しをお願いしたいのです」


 だから! 隊長と呼ばないでと言いましたわよね。

 それに、周りの人たちがレクスの奇行を心配していたからと理解しています。なので、私を試したことは氷漬けにしたことでチャラですよ。


「団長。私は従騎士マルトレディルですよ。どちらかと言えば私が団長にご指導を願う側です」


 まぁいいですわ。

 私は背を向けてレクスと距離を取ります。そして剣を鞘に納めて振り返りました。


「それで、ルールはどのようなものを?」


 騎士の剣のみでもいいですわよ。それが本来の騎士としての戦い方ですから。


「なんでもありで、相手の急所に一撃または降参を言わせたら勝ちです」

「わかりやすくていいです」


 私は身をかがめ、地面から石を拾い上げます。


「石が地面に落ちたら開始でいいですか」

「よろしくお願いします」


 だから何故に従騎士が団長に指導しているみたいになっているのよ。

 私は石を投げます。

 そして、地面に落ちた瞬間に地を蹴り上げ、一気に距離を詰めます。


 身体強化。魔装。武器強化。を瞬時に行い勢いを殺すことなく剣を抜き下から上に切り上げます。

 上から叩きつけられる剣圧をいなす。

 互いの刃が合わさり火花が散っていく。


 やはり、力技では私のほうが部が悪いです。


 剣をいなしながら横に移動し、背後に回ったところで指をパチンと鳴らしました。


 雷電を帯びた槍が現れ、レクスに向かっていくも、剣で叩き落されました。


 やはり無詠唱だと弱いですわね。


 距離を取りつつ、次の魔法を使おうとしましたが、下からの殺気に飛び上がります。


 地面から影の槍が突き出てきました。


「ちっ。『爆光(レイアズ)』」


 いくつもの光の玉を出現させ、レクスに向かって投下します。

 触れれば爆発する魔法です。

 ということは、地面に落ちても爆発するのです。


 私は宙を蹴って、その爆煙に紛れ込みます。

 が、私の位置を正確に把握したように向かってくる炎の矢。


 そういえば、人の気配を察知するのが得意でしたわね。

 これは失敗でしたわ。


 私は一気に距離を詰め、剣を振おうとしましたが、地面から次々と影の槍が突き出てくるではないですか!

 私はそれを避けるためにジグザクに走ります。


「『氷結の颶風(エルアスト)』」


 自分でやっておきながら視界の悪さに土煙を吹き飛ばします。


 凍てつく風が吹き荒れ、土煙を飛ばしていきました。

 そしてレクスの姿を視界に収めます。


「『嵐風(バレスト)』」


 嵐のような風を小さな剣にまとわりつかせます。

 そして距離を詰め、レクスに剣を叩きつけるも、やはり受け止められましたか。

 しかし、私の剣は……雷電!


 ちっ! 私が風を剣にまとわしたように、レクスも剣に雷電をまとわしていました。


 風と雷とは最悪です。


 慌てて剣を引こうとしましたが、時はすでに遅く剣撃の火花と全てを切り裂き吹き飛ばす風。そして剣を覆う雷。それが嵐を呼び込んだかのように膨れ上がり、風と雷を発しながら爆散しました。


 あーこんな派手な技を訓練場で使ったら、怒られるやつですわ。


 私は吹き飛ばされ、地面に着地するも、爆発した中心をみてうなだれます。


 もの凄く大きな穴が空いてしまっています。

 やりすぎてしまいました。


「参りました。さすが団長です」


 ここは潔く負けを認めたほうが色々無難ですわ。


 ですが、私の声は大きな歓声に包まれて消え去ってしまったのでした。

 え? もしかして、派手な音がしていたので、人が集まってしまったのですか?



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― 新着の感想 ―
これは…昔の面々に全員確信持ってバレるコースですか…?(ㆁωㆁ)wktk
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