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モブが公園で泣いていた少女にハンカチを渡したら、なぜか友達になりました~彼女の可愛いところを知っている男子はこの世で俺だけ~  作者: くまたに
二章・波乱万丈の夏休み

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SS 嘘つきな兄妹

 今日は四月一日。琉生と朱莉は、まだ五歳だ。


「おにぃ、私知ってる!今日は沢山嘘をついていい日!」


 どこで覚えたのか、朱莉がドヤ顔で、僕の部屋までわざわざ言いに来た。

 こういう時は褒めるととても喜ぶんだよな。


「そんな事まで知ってるのかー!朱莉はすごい、偉い子だよ!」


 五歳ではあるが、小学四年生程度の知能のある琉生は優しいお兄ちゃんだった。

 琉生の予想は的中し、朱莉はこの上ない満足そうな表情で、「ふん!」と鼻を鳴らしている。


「実はあかりはおにぃの事が嫌いー」


 嘘でも言ってはいけない事。しかしこの時の朱莉は良い、悪い判断が出来ず、言ってしまった。

 もちろん琉生はそれが嘘だと言うことに気づいている。しかし一泡吹かせてやりたいと思ってしまうのだった。


「朱莉?大事な話をするね。今日は嘘をついてもいい日だ。でもね、朱莉が何回も嘘をつくと僕が死んじゃうんだよ。……いてて、体が苦しい」


 あとから思えば下手な芝居だった。だが、朱莉を騙すには十分だった。


「だめ、おにぃ死んじゃ嫌……!」


 うるうると目の端に涙を浮かべ、朱莉は琉生の胸に飛び込む。

 琉生は顔の前にある頭を、ぽんぽんと軽く叩いて言う。


「それじゃあ嘘はだめだよ、分かったかな?」


「うん、分かった。嘘、つかない。あかり、おにぃの事大好き!」


 見事に作戦を成功させた琉生は、心の中でニヤリと嫌らしい笑みを浮かべる。


 その日の夜、琉生は渾身のウザ顔を浮かべて言った。


「今日言った、朱莉が嘘をつくと僕が死んじゃうのは嘘だよ。僕の勝ちー!」


 体全体使って煽る琉生に、朱莉は悔しくて大声を上げて泣く。

 すぐに両親が駆けつけ、仲直りをするが、朱莉は「おにぃよりも賢くなるの!」と心に決めるのだった。

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