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モブが公園で泣いていた少女にハンカチを渡したら、なぜか友達になりました~彼女の可愛いところを知っている男子はこの世で俺だけ~  作者: くまたに
二章・波乱万丈の夏休み

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第25話 兄思いの妹とその協力者(後編)

「よ〜っし!私、家から使えそうな物を持ってくるね!」


「唯ちゃんお願い〜」


 近衛宅のリビングにて。唯は張り切り、見えない頭にハチマキを巻く。

 朱莉は、面白そう、と思いながら玄関から出て行く唯を見送る。


 ◆


「いっぱい持ってきたよ〜!」


 琉生が目を覚まさないくらいのボリュームで言いながら、再び近衛宅に来る。


「何を持ってきたの?」


「えっとね。アイス枕と使えそうな食材。後は風邪薬!──ちなみに風邪薬は琉生くんが飲んでも大丈夫なのだから安心してね」


「そこまで用意してくれたの!?ありがとう!」


「どういたしまして!──それじゃあ作戦開始だねっ!」


「お〜っ!!」


 朱莉は右腕を高く上げる。そこからは溢れ出るやる気が分かる。

 早速唯は持ってきた物をテーブルに広げる。


「朱莉ちゃん。このアイス枕を琉生くんの枕と変えてきてくれない?」


「いいけど……。自分でしなくていいの?」


 朱莉は一応聞くと、唯の動きが止まる。


「うん、いいの。──琉生くんは私のせいで風邪ひいちゃったから」


「それは違──」


「ううん。違わないよ。──よし。私ははちみつレモンでも作ろうかな!」


 無理やり話しをそらされ、朱莉はこれ以上聞くことが出来なくなってしまった。



 朱莉がアイス枕にバスタオルを巻いて、冷たすぎないように調整していると、キッチンの方から、できたっ、と嬉しそうな声が聞こえた。


「朱莉ちゃん。このはちみつレモンもお願い!」


「わかったよ〜!──あっ、薬も持って行っていい?」


「うん。お願い!」


 それから朱莉は琉生の部屋に行き、アイス枕を敷いてからはちみつレモンを手渡した。

 終いには風邪薬を渡したのだが、全て唯のしたことなのに、自分が褒められてなんとも言えない気持ちになってしまった。



「おにぃが元気になったら、はちみつレモン作ったの唯ちゃんだよ。って言ってもいい?」


「ん〜、いいかな」


(なるほど。いい……。OKってことだね。唯ちゃん任せてね!)


 しっかりと断らなかったため、朱莉は琉生と唯の関係が上手くいくようにこっそりと根回しをすることを決めたのだった。


 ◆


 琉生の風邪がすっかり治り、二人で夕食を食べようとした時だった。


「おにぃ。大事な話があるの」


「彼氏が出来たのか?」


「おにぃ」


「ハイ。なんでしょうか」


 琉生はふざけて言ったが、朱莉から謎の圧を感じ、すぐに背筋をピンと伸ばし、朱莉と目線を合わせる。


「実はね、昨日アイス枕やはちみつレモン。あとは風邪薬。全部用意してくれたのは唯ちゃんなんだよ。だから今度合ったらしっかりとお礼を言って、今度花火大会にでも誘ってあげて」


「そう、だったのか……。わかった、教えてくれてありがとう。しっかりと誘うよ!」


 案外単純な兄を見て、ちょっぴり小悪魔な妹は内心大笑いしているのだった。

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