表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブが公園で泣いていた少女にハンカチを渡したら、なぜか友達になりました~彼女の可愛いところを知っている男子はこの世で俺だけ~  作者: くまたに
二章・波乱万丈の夏休み

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/36

第24話 兄思いの妹とその協力者(前編)

 三人でプールに行った日の翌日。

 夏休み中だが、いつも通り7時までにベッドから降りる。

 《《今日も》》部活は休みだ。

 朱莉は少し残っている眠気を吹き飛ばすため、洗面所で顔に冷水をぶっかける。


「──っは!」


 目がぱっちりと開く。

 いつもなら朱莉が起きる頃には、朝食を作るために琉生は起きている。しかし今日は朝食を作っているどころか、部屋から出てきていない。

 昨日はプールに行っていたから疲れているのだろう。と察し、朱莉はリビングでテレビを見ることにした。



 ふと時計を見てみると、短い針は『8』を指している。


「えっ!?もう八時じゃん」


 朱莉は横に寝転がっていたソファーから飛び起き、琉生の部屋に向かって声を張って言う。


「おにぃー、もう八時だよー!!」


「……」


 反応はない。

 遅起きは健康に良くないので、朱莉は琉生の部屋へ突撃する。

 ベッドの上で横たわる琉生の顔は真っ赤だった。どうやら熱を出したらしい。


 朱莉は一応「お薬手帳見させてもらうからね」と言って部屋を出た。


「どうしよう……」


 朱莉は思わず口に出してしまう。なぜなら朱莉は料理音痴だからである。

 以前祖父から送られてきた高級な肉を半生で食卓に出し、琉生が腹痛で苦しむことになったくらいだ。

 考えるだけじゃ何も変わらない。ということで朱莉は食品棚を開く。

 あるものはカップ麺。……焼きそばの。


「こ、こんなん簡単に決まってる……!」


 自信をつけるために、あえて口に出す。

 朱莉はカップ焼きそばの側面に表記されている作り方を見て、順調に手順を踏んでゆく。


「あと少し!」


 しっかりと《《熱湯を流し込んですぐにソースをかけた》》。

 スマホのタイマーアプリで三分計る。


 テレビを見ていたら時間はあっという間に過ぎた。スマホが、ピピピ、と間抜けな音を鳴らしている。

 朱莉は湯切り口を開き、シンクで水気を切る。

 その瞬間、湯気と共にソースの食欲をそそる香りがする。完成だ。


 朱莉はコップに緑茶を注ぎ、食卓に着く。


「いただきます」


 そう言い、朱莉は一口焼きそばを頬張る。

 その味は……。


「……うす」


 そう。味がほとんどしないのだ。

 その原因は、遡ること約三分前。朱莉は熱湯と一緒にソースを入れたからだ。

 やはり朱莉は料理音痴だった。


 朱莉は今更ながら琉生の大切さに気づき、目の端に涙を浮かべながら残りの焼きそばを食べたのだった。


 ◆


 夏休みの宿題に取り掛かっていると、目の前に置かれているスマホがメッセージを受信した。

 視線を向けると、メッセージの送り主は唯だった。


『今から家に行っていい?』


『いいよ!』


 朱莉がそう返すと、すぐにインターホンが鳴った。

 どうやら唯はエントランスでメッセージを打っていたようだ。


 唯は部屋に来てまず初めに「琉生くんは?」と言った。

 朱莉は心の中で腹を抱えて笑っているが、表には出さない。


「おにぃは熱で寝込んでるよー」


「……絶対私のせいだ」


「そんなことないよ!」


「違うの!私を送ってくれたから風邪ひいたんだよ」


 朱莉は言葉に詰まる。そんなことない、とでも言えば良かったかもしれないが、それでは唯が一人で追い詰めてしまう。


「朱莉ちゃん。私、《《こっそり》》琉生くんの看病していい?」


「えっ!?」


 いきなり過ぎて困惑する。しかし面白そうだ。

 朱莉は好奇心に負け、二つ返事で了承した。

 こうして唯と朱莉による、『琉生の看病大作戦』が幕を開ける。

「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!


していただいたらモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!


ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ