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元気な大学生は苦学生! 1

三人目のヒロイン登場です!

 エーフィー・ドラスタンはエーテルライトの一般的な大学に通う普通の学生である。明るく短く切り揃えられた髪、背丈は少し短いが出るところはきちんと出て居る。家から出てきた彼女は趣味に大量な金を費やしており、お金が常に存在しない。

 コンビニから始まり大学内の売店など様々なアルバイトを続けてきた。

 しかし、彼女は正直あまり要領が良くなく、アルバイト先から首にされることが多かった時期、彼女をスカウトしたのが張飛だった。

「うちで働いてみないか?人手不足で困っているんだ」

 厳つい人だな……なんて失礼なことを考えていたが、実際一緒に仕事をしていて要領よく教えてくれ、お陰で彼女は他のアルバイトで失敗することが少なくなっていった。

 荒っぽい人柄の中に優しさがあると気が付き、エーフィーは彼からの要請にはなるべき答えるようになった。

 それでも彼女は今までため込んだ家賃を支払う事が出来なくなっており、彼女は今日……アパートから追い出されてしまった。

 その日の朝、エーフィーの名前を呼ぶ声を前に振り返ると張飛が荷物を抱える彼女を前に頼み込んできた。

「悪いけどここ数日喫茶店を開ける事になりそうでな、マスター代行をしてほしいんだが………アパート追い出されたのか?」

「は………っス」

「うちで住み込みで働かないか?俺の仕事が終わるまでマスター代行で毎日入ってくれればいい。悪くない条件だと思ったが?」

「良いんすか!?ほんとうに!?」

「俺がお前の事で嘘を言ったことがあったか?」

「無いっス!ありがとうございます!」

 こうして彼女はファンシーキャットのマスター代行を引き受けることになった。


「エーフィー・ドラスタンっス!苦学生っス!」

 エーフィーの元気のよい声が喫茶店中に響き、フィリアがどこか不機嫌そうな表情と視線を向ける。イリーナはどうすればよいのか慌てて混乱している。

「フィリア……です」

「イリーナです。あの………エーフィーさん………その荷物は?」

 脇に寄せられた大量の荷物を前に二人は驚きと混乱を抱いていた。

「今日からこのアパートに暮らすことになったんス!皆さんとはよろしくお願いします!」

 フィリアはイリーナの隣に立つ張飛へと鋭い睨みを向け、張飛は慌てながら逃げようと体を180度反転させるが、それ以上の速度でフィリアは距離を詰め服の裾を強めに掴む。

「おじさん……また浮気?」

「だから!なんで本妻が愛人を見付けたみたいな反応をするんじゃない!」

「張飛さんが………困っていたうちに声をかけてくれたんス」

「痛たたた!?首筋に噛み付くな!」

「馬鹿馬鹿馬鹿!!知らない所で勝手に女を増やす!」

「だから!!困っている人に声をかけただけじゃないか!?困っている人間に声をかけない様な人間でなって欲しいのか!?」

「嫌だけど!もっとフィリアに声をかけてほしい!!」

「俺がマスターだからだ!それともフィリアがマスターするか!?」

「無理だもん!」

「威張るな!!」

 二人の不思議なやり取りを前にエーフィーは何気ない一言を告げた。

「二人は付き合っているんじゃないんスか?」

 イリーナは空間がひび割れるような気配を感じ取り、張飛は顔中を真っ赤に染め、フィリアは自信満々な表情になる。

「そうなの!」

「違うからな!」

 多少のズレこそあれど二人は全く違う言葉の中でエーフィーが笑いが絶えず、イリーナは苦笑いが続いていく。

「すごい関係っすね!」

「いいから仕事しろ!」

 張飛は顔を真っ赤にしながら喫茶店から去っていく、エーフィーのからかう声だけが聞えてきた。


 エーフィーは慣れた手つきで仕事をテキパキこなす、一方で学校終わりで仕事を何とかこなす二人。

 イリーナは時折注文を間違いそうになり、フィリアは出来ないことを無理してやろうとして失敗ばかりしている。

「こんな状況でちゃんとマスターできる張飛さん凄いっス………」

 お昼時、一番お客さんが多い時間帯であるが、学校があるイリーナとフィリアは喫茶店には手伝いが出来ない。

 お客さんが多く入ってくる時間帯故にこのままでは回らなくなりかねない時、人が待っている時喫茶店の玄関が開く。

「すいませんっス!ちょっとだけ……?張飛さん?」

「やっぱりこうなってたか………一時間だけ手伝ってやるから、注文を聞いてきてくれ。料理は俺が作ってやる」

 張飛が料理を三種類ほど同時に作りながら奥で注文を取っているエーフィーの声を聴き洩らさない。聞いていながら頭の中で次の料理の調理の段取りを頭の中で立てていく。

「ナポリタン二つ!オムライスを一つ!コーヒーを三つっス!」

「ナポリタンは後十分。オムライスはニ十分かかるとお客さんに伝えてくれ」

「了解っす!」

 張飛が作った料理をそれぞれのテーブルに運びながら張飛の方を少しだけ視線を送る。

 張飛は先ほどからエーフィーの注文を全く聞き逃さず、面倒な料理やめんどくさそうなお客さんの料理を優先に作っている。

「ウチ………助けてもらってばかりっス」

 救ってもらい。助けてもらってばかり。

 どうしようもないぐらい自分が情けなく思う。

 あっという間に時間は過ぎ去り、結果から見れば一時間半も手伝ってもらう事になった。その後、一緒に調査をしている魔術師の仲間達が昼食の為に喫茶店に入ってくる。

 実質貸し切り状態の店の中で張飛も昼食を食べている。

「助けてもらってありがとうございます」

「……?どうしたいつもの元気の良さはどうした?」

「え?そんなこと無いっスよ!元気いっぱいっス!」

 無理に元気よさを発揮するエーフィーはどこか空回りしている。

「………すいませんっス。助けてもらってばかりなので………助けて返したかったんすけど」

 一筋の涙を流すエーフィーを後ろから頭を優しく撫でる張飛に周囲はニヤニヤして返す。

「お前らなぁ!ニヤニヤすんじゃねぇ!」

「良いけどよぉ。お前の本妻が激怒だぜ」

「はぁ?何の話だ?………フィリアさんお帰りだったんです?」

「また………勝手に……浮気!?」

「待て………フィリア!?」

 フィリアは大きな机を持ちながら張飛を追いかけまわす。

 そんな姿を見ていて笑いを堪え切れなくなるエーフィーは腹を抱えて笑ってしまう。

「ここにきて良かったス!」


どうでしたか?では明日!

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