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最終話 エピローグ

これで最後となります。短いお付き合いでした!

 ジャック・ザ・リッパーが引き起こした一連の連続殺人事件は見事に解決され、エーテルライト中に平穏が訪れた。

 俺はその日のうちに魔術協会に報告書を上げ、アマリーはひとまず王城で引き取る事になった。それに伴い翌日にはイリーナもきちんと父親に許可をもらう事になり、いったん王城に帰る事になった。

 フィリアや俺たちに必ず帰ってくることを約束し、事件の翌日エーテルライト駅へと見送りに来ていた。


「必ず帰ってきます。お父様を説得してアマリーと一緒に」

「待ってるね。おじさんと一緒に待ってるから」

「はい」


 フィリアとアマリーがいつの間にか仲良くなっているのかと驚きながら、エーフィーやメリビットとも必ず帰ってくると約束をしており、俺はそれを少し離れた所から見守っていた。


「張飛様。必ず帰ってきますね」

「ああ、お前の部屋はちゃんと残しておくからな。いつでも帰ってこい。今度はきちんと父親を説得してから来るんだぞ」

「はい。私がきちんとお父様を説得できていたらそもそもこんな事にはならなかった………」

「そうかもしれないが、それでも………お前がこの街に来た事は間違いじゃないはずだ」


 イリーナが少しだけ俯くので、俺は優しく頭を撫でてやると後ろでフィリアから強烈な嫉妬を感じ取った。

 俺は急いで振り返りジェスチャーで『何もしていない』とアピールしてみるが、フィリアは怒りを右腕に込めて俺の体を殴りつけてくる。


「フフフ」

「楽しそうっすよね」

「………そうですね」

「これも二人のコミュニケーションと言った所でしょうか?」

「あのな!周囲はそう見えるかもしれないけどな!本人は必死なんだよ」

「またイチャイチャする!!」


 俺は何とか逃げ回っているが、結局の所でフィリアに降参するしかなかった。

 土下座しながらなんとか許し乞うている間に列車の出発の合図が駅のホーム中に響き渡る。


「では………行きますね」

「帰ってきてね!」

「はい………では、行ってきます」


 イリーナは急いで列車に乗り込み、列車の窓から遠ざかっていくその姿をフィリアはいつまでも追いかけていった。



 エーフィーも一度故郷に帰るといい始めたのはその日のうちの事であった。

 なんでも今回の事件で両親から帰ってくるようにと言われてしまったらしく、イリーナと同じく両親を説得して帰ってくるといってそのまま別の列車で帰っていった。

 メリビットは図書館の修復やそれ以外にも諸々の手続きの為に、二日ほど王都に帰るという事で王都行きの列車を見送る事った後の事。


「寂しくなったな」

「うん。でも数日の事だから」

「………そうだな」


 二人で喫茶店への帰路についており、俺とフィリアは手を握りしめ合いながら帰り道を歩いて帰る。

 特に夕方でもない時間帯であるため、昼食も食べなければと思いつつも特に考えることなく歩いているわけだ。


「どっかで食べるか?」

「ううん。喫茶店で食べる」

「………そっか。何食べたい?」

「……カレーライス」


 カレーか………余っていたかな?

 なんて考えているといよいよ喫茶店に帰ってきていた。

 俺は部屋のカギを開けてお昼からでも営業しようと室内で準備していくと、お店で提供する予定のカレーライスをフィリア用に分けてやる。

 フィリアは美味しそうに食べているのだが、俺は適当な具材で胃を満たしつつコーヒー豆の準備をしつつ各食材の準備に明け暮れていると、フィリアはカレーライスをスプーン一杯分をおれの口元まで運んでくる。


「はい。オジサンも」

「いいのか?」


 フィリアは黙って頷くだけ、俺としては食べても食べなくてもいいのだが、黙って差し出されると俺としては食べるしかなくなる。

 俺も一口だけ食べる。


「美味しい?」

「まあな」


 俺が作ったカレーだし。

 でも、どういう経緯で俺にカレーを分けるという事になるのだろうか?


「どうした?」

「ううん。おじさんどこにもいかない?」

「どうして?なんなんだ?何があったらそんなに哀愁に満ち溢れた雰囲気が出来るんだ?」


 フィリアは目の前にあるカレーを覗き込んで黙り込むだけ。

 本当にどうしたのだろうか?やばい食べ物でも食べてしまったのだろうか?


「どうしたんだ?何かあったか?」

「だって皆いきなりいなくなるから………」

「いなくなるって…数日だろ?直ぐに帰ってくるさ」

「そうかもだけど………ねえ。おじさんはいなくならないよね?どっかにいかないよね?」


 不安に思いそう尋ねてきたのかもしれない。

 今日の事だけじゃない、きっとジャック・ザ・リッパーの事件もあってそういう感想に辿り着いたのだろう。

 俺はフィリアの額にキスをしてやる。


「居なくなるわけねぇだろ。これからも一緒だよ」

「ほんと?絶対にいなくならない?」

「最後の一瞬まで一緒にいるさ」


 フィリアはイマイチ言葉では安心してくれない。普段であればこれで安心してくれるのだが、どうやら今日は一段と不安に思っているらしい。中々引いてくれない。


 俺がどうするべきかなんて俺にも分からないが………フィリアを安心させる魔法の言葉ぐらい俺にだって知っている。


 その言葉を軽々しく口にできる言葉ではないが、きっとこのまま逃げて仕方のない事でもある。


「愛してる」

「え?今なんて?」

「フィリアの事をこの世界中で一番愛している。最後の瞬間まで一緒にいよう」


 フィリアは涙目になりながらキッチンまで入ってきて、俺に思いっきり抱きしめる。


「私もオジサンが大好き!大好き!大大大好き!!」

「俺も好きだ………」


 照れているとすっかり時刻はお昼の一時を迎えようとしていた。


 一週間が経過し、イリーナはアマリーと共にエーテルライトの駅へと帰ってきていた。


「大丈夫ですかお嬢様?」

「大丈夫よアマリー、早速で悪いんだけど喫茶店に帰りたいのだけれどいいかしら?」

「勿論です」


 駅前から喫茶店までの道のりを間違えることなく二人で歩きながら、猫、犬などの動物の相手をしながらゆっくりと帰っていく。

 喫茶店の前に辿り着き一旦深呼吸をしてドア伸びに手を伸ばすイリーナ、しかし度の向こう側からみんなの声が聞えてきた。


「待てフィリア!それは違う!」

「だったらこれ何!?これってエロ本じゃないの!?」

「ち、違うぞ!それは………精神的鍛練を主だった貴重な本だ!」

「だったらこれも自己鍛錬本すっか?」

「………これもそう?」

「お前達も俺のエロ本を探り出すなって!ていうか後一時間で喫茶店を開ける時間だぞ!!」

「オジサン誤魔化すつもり!?」

「違うって………!もうやめてくれ!!」


 イリーナがつい笑ってしまう中、隣のアマリーが呆れかえっている。


「入りましょう」

「分かりました」


 イリーナがドアを開けると中では四人がちょうどドアを開けた先でこちらを見ていた。


「あ!イリーナだ!」

「イリーナさん!帰って来たんすね!」

「………お帰りなさい!」


 張飛を踏み台にして三人は一斉にイリーナの元へと駆け寄ってきた。


「ただいまです!皆さん」

「でも良かったすよね。お父さんから許可をもらって」

「はい。お父様も今回の一件はお母様から随分おしかりをいただいたらしく…」

「……私の方でも聞きました。王妃様が珍しく王城中に響き渡る様な声で怒鳴っていたと」

「はい。それで随分落ち込んでいたらしく、アマリーの精神検査が終わり次第こっちに帰ってこれるようになりました」

「これからお嬢様共々よろしくお願いします」


 張飛がゆっくりと立ち上がり近づいてくる。


「部屋はそのままにしてあるから荷物を持って帰ってきてくれ。早速で悪いで今日から仕事に戻ってほしい」

「分かりました。でも何かありました?」

「まあな。エーフィーやメリビットなんかが妙な営業してしまってな。客足が妙に多くなっているんだ。全く………お前達がいやらしいお店みたいに営業するとはな」


「「「だって実際女性ばかりだもん」」」


「やり方が他にあっただろうが!駅前でなんな大きな声で営業したら誰だって誤解するわ!!」


 イリーナが微笑みながらアマリーと一緒に自分の部屋に帰っていき、一旦部屋から喫茶店に戻っていき喫茶店の服に着替えるが、後ろにいるアマリーだけはメイド服から着替える気が無かった。


「アマリーは喫茶店服を着ないのですが?」

「メイドはメイド服を着るものです」


 後ろで張飛が料理を作って準備をしており、フィリアはそれを手伝っているのだが、イリーナとアマリーは張飛とフィリアに何か変化があったのだと素早く悟ったが、あえて突っ込んだことは聞かないことにした。


 喫茶店を開ける時間になり、張飛がドアの看板を『オープン』に帰ると直ぐにお客さんが喫茶店に入ってくる。


『ようこそ!ファンシーキャットへ!』

どうでしたか?思い付きで始まったお話ですが、きちんと終わらせることが出来ました!では!どこかでお会いしましょう!

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