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魔術師と喫茶店はセカンドライフを楽しんでいます! 3

三話目です!

 張飛の大剣が異空間の木々の壁を破壊し、ジャック・ザ・リッパーの被っているフード越しに鋭い睨みが張飛の両目とぶつかる。

 両手に持ったナイフが張飛目掛けてすっ飛んでいくが、張飛は大剣で攻撃を弾く。

 ジャック・ザ・リッパーは更に別方向へとナイフを投げ飛ばすが、張飛のから切り傷が出来てしまう。

 張飛は大きく跳躍して本棚を使って上の階へと避難するが、ジャック・ザ・リッパーは空間交換を使って張飛の居場所と自分の足元にあるゴミくずの場所を入れ替える。


「ギャハハ!最高だな!その顔だよ!!」


 張飛の喉元目掛けてナイフが鋭く空を切る。

 張飛は後ろに大きく飛ぼうとするが、顎下に切り傷が出来て血が溢れ出てしまう。


「分かったぜ!お前前世の記憶が無くなって戦い方が少し分からなくなったんだなぁ!!哀れだよなぁ!?」

「うるさい奴だな。そっちが本性だったわけだな」


 顎下から流れる血を右手で傷口毎抑え、ジャック・ザ・リッパーは狂気な声を最大限まで上げながら一旦距離を開けようとする張飛を追いかけていく。

 張飛との距離感を空間交換で距離を詰めてくるたびに大剣でカウンターを狙うが、張飛の右わき腹目掛けてナイフを突き刺そうとする。


「無駄なんだよぉ!分かんねぇかな!?」

「うっせ!黙っておけよ!」


 大剣を『拒否』してそのまま刀と小太刀を『創造』して距離感を狂わされる戦い方に対応しようとする。

 突き刺さろうとするナイフを小太刀で受け止め、刀でジャック・ザ・リッパーの左肩目掛けて振り下ろそうとするのだが、攻撃を空間交換で対応する。


 刀の攻撃が木目の隙間に突き刺さり、小太刀を握る左手の力を籠めつつ周囲への警戒心を最大まで高める。


 正直どこから襲い掛かろうとしているのかが分からない緊張感、それが張飛の背中に底冷えするモノを感じ取り、周囲から襲い掛かってくる。

 全身の肌が嫌な感覚に襲い掛かるが、張飛はその全てをはらいきる。


「怖い?どこから襲い掛かるか分からない感覚がすごいでしょ?襲われるとき、死んだ人たちはどんな気持ちで最後の瞬間を迎えたんだと思う?」

「知るかよ?お前は考えるのか?」

「当たり前。だって死ぬと分かった瞬間のあの恐怖に包まれた表情を見ていると………ア、アハハハハ!アッハッハッハ!!」

「最低だな……」

「お前だって同類だろうに!お前だって殺して楽しんでいたんだろ?お前は前世で人を殺しまわっていただろ?」


 張飛は前世の記憶が殆どないために簡単にうなずけない、フィリアは大きな声を上げて反論する。


「そんな事オジサンはしないもん!それは昔の事!」


 ジャック・ザ・リッパーの獰猛な視線がフィリアの方へと向いたような気がする張飛、大きく跳躍し同時にフィリアの目の前にジャック・ザ・リッパーが姿を現し、フィリアを庇おうとイリーナが前に立ちふさがる。

 ジャック・ザ・リッパーは一瞬ではあるが攻撃する手が止まり、張飛はその間に二人の間に割り込んで攻撃を背中で受ける。


「オジサン!」

「張飛様!」


 背中から感じる激痛に耐え忍び、思いっきり刀で斬りかかるがジャック・ザ・リッパーは上の階へと非難してしまう。

 張飛は膝をつき背中から流れる血が服を真っ赤に染め上げる。


「オジサン服脱いで!」

「フィリア………ここから離れろ」

「いいから服脱いで!血を止めるから!」

「駄目だ。まだあいつは俺達を殺すつもりだ………」


 フィリアは強引でも張飛の上着を脱がしていき、下に来ているTシャツも強引に脱がす。

 張飛の背中に両手を添えていると、張飛の背中から痛みが引いていく。


「フィリア……お前いつの間に『治療』の魔術を使えるようになったんだ?」

「オジサンが無茶するから教わったの!オジサンの側に居たいの!」


 イリーナが羨ましそうな表情をしているが、その姿を面白くなさそうな表情で見下しているジャック・ザ・リッパーの姿があった。

 ジャック・ザ・リッパーは空間交換で張飛の真ん前に姿を現し、ナイフを突き刺そうとするが、咄嗟の事で直ぐに反応できずにいると、イリーナは大きく目を開き張飛が持っていた刀を掴んでジャック・ザ・リッパー目掛けて刀を突き刺した。


 ジャック・ザ・リッパーは驚きで表情を崩しているが、致命傷にはならなかったらしくわき腹から微かにだが血が流れ始める。

 同時に最低限の治療を終えた張飛は小太刀を掴んで斬りかかろうとする。

 ジャック・ザ・リッパーはナイフで攻撃を受け止め、張飛の小太刀とナイフのつば競り合いが起きる。


「させるかよぉ!」

「お前さえいなければあのままでいられたのに………」

「ついて行けばよかっただろう?それだけで済んだはずの話だ!お前はただ単にイリーナを独占したかっただけだ」

「それがおかしいのか?独占したいという気持ちが!側にさえいてくれれば!」


 イリーナは刀を零し項垂れるが、それをフィリアが大きな声で遮る。


「だったら側にいればいい!一緒に暮らして!一緒の部屋で住めばよかった!ううん!住めばいいよ!受け入れる事!それが大事なの!」

「他人を受け入れてやればいいさ!他人を受け入れられず、他人を殺すだけというのはお前自信の器量の狭さが招いているだけだ!」


 ジャック・ザ・リッパーは両手で頭を押さえて悶え苦しみ始め、張飛は少しだけ離れてしまうが、イリーナが抱きしめながら叫ぶ。


「帰ってきてよ!一緒に住もう!絶対に幸せにするから!」


 ジャック・ザ・リッパーから暗い影のようなオーラが漏れ出てくるが、それがドンドン存在を成していきジャック・ザ・リッパーがアマリーの姿に変わると、その後ろで細身の貴婦人が立っている。


「これが………ジャック・ザ・リッパー!?」

「そうよ………これが本当の私。貴婦人とし過ごし、時として暗殺者としての姿をしているだけ」


 貴婦人が服の中から高級そうな包丁を取り出すと、張飛は小太刀を握り直す。


「貴婦人がストレスを解消するのに人殺しか?」

「ストレスの発散方法何て私の勝手でしょう?誰を殺そうが」

「いいわけがねぇよな!俺だってまともな人生じゃなかったのかもしれねぇ!でも!お前は今目の前にいるもう一人のお前自身を気づ付けた!元老長の推測は全く間違っていなかったわけだ!お前最初っからアマリーを操っていたんだな!」


 貴婦人姿のジャック・ザ・リッパーは口元が上へと持ち上げ、目元も上に持ち上がっているような狂気さを持っている。


「っていうか……このバカは気が付かないのが悪いのよ。自らの闇を利用してやったのは確かよ。でも、それでもこのバカは操られていることに気が付かなったけどねぇ。本当に馬鹿だよねぇ。これが私なんだって思うと………ぶっ殺してやりたくなるなぁ」

「俺がさせねぇよ!」


 張飛は小太刀を『拒絶』し矛を『創造』して構えなおす。


「てめぇはぶっ潰す!牢獄に叩き込んでやるから覚悟しろよ!」

「あなたは目の前で大切な人を皆殺しにされるのよ」


 睨み合う二人は死闘を始めようとしていた。


いよいよ最終決戦です。どんな決着を迎えるか楽しみにしてください。では明日!

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