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元気な大学生は苦学生! 2

元気な大学生は苦学生!二話目です。

 エーフィー・ドラスタンの通う学校では様々な学科が存在しているが、基本は家庭科方面や芸術方向に強く、エーフィーは調理科と呼ばれる学科に通っている。

 料理のレパートリーを増やしたいという気持ちがあり、そういう意味でファンシーキャットに通っているが、張飛が実質一人でキッチンを回しているためあまり料理のレパートリーを増やせずにいる。

 マスター代行を引き受けてからキッチンに入る様になり、改めて料理の品のレシピに目を通し、一つ一つのレシピを記憶していく。

 看板メニューは『オムライス』と『ナポリタン』の二つ。飲み物は『コーヒー』を看板に『紅茶』もいくつか品ぞろえをしている。

 マスター代行をする間はこの辺在庫を確認しなければいけない。

 今日の消費分は今日中に発注するのが基本であり、張飛からその辺もきちんと学んでいる。

 イリーナとフィリアが返ってくると、六時からの時間を二人に任せる。

 六時前後は夕食の時間だが、基本的にファンシーキャットは人が少なくなる時間で、この時間は二人だけでも喫茶店を回すことが出来る。

 その間に夕食の買い出しを行う。

 近くのスーパーに買い出しに向かう。勿論買い出し費用も全部張飛から事前にもらっているはずだったのだが………エーフィーはスーパーには言った所で財布がなくなっている事に気が付いてしまった。

 喫茶店からスーパーまでは十分ほどしかないはず、その間は人通りの少ない道を通っていない。

 考えられる可能性は掏られたという事しか存在しない。

 そう思って大通りまで出てすれ違った人を探すこと五分、ようやく怪しい人物を追跡することにした。

 エーフィーは幼い頃より武術を習っており、魔術こそ使えないが戦うこと自体は普通にできる。

 いざとなった時の防衛手段ぐらいは存在する。

 怪しい人物は頭を灰色のフードで隠しており、下は簡単はジーパンとスニーカーと代わり映えの無い服装、後ろからなので体型や顔が見えない。

 背中から見るとおおよそ男性ぐらいの感想しか抱けず、エーフィーは近づかず離れずをモットーに追跡する。

 スマフォが鳴り響いて振動がエーフィーに伝わると、慌ててスマフォの画面を取る。画面にはフィリアの名前が見え慌てて電話に出る。

「どうしたっすか?」

「夕食まだ?お腹すいた」

「実は財布を掏られてしまって、待ててくださいっす!直ぐに取り返して夕食の食材を買って帰るっす!」

 なんて言っていると怪しい人物はそのまま細い通路に消えてしまう。

 その意味を全く考えなかったエーフィーは急いで路地裏に入っていってしまう。急いで追いかけると曲がって五秒で何かにぶつかってしまう。

 ぶつかった拍子にスマフォがエーフィーの元を離れ、エーフィーは尻餅をついてしまった。視線をゆっくりと上を向くがフードの奥にある怪しげな女の姿が見えた。

 マスクとサングラス姿だが、卵型の顔立ちに微かに見えている素肌が女性だと告げている。

 よく見ると胸元が膨らんでいて、だらしない恰好をしているが肌は荒れていないのできちんと手荒れがされているのが見て取れる。

「貴様………ファンシーキャットの……従業員だな?丁度良かった……貴様のような人間に……用があったんだ」

 逃げ出そうと両足に力を籠め、後ろに走ろうとするが怪しい女性からファンシーキャットの制服の裾を強めに掴まれてしまう。

 エーフィーはあえて近づいていき、殴ろうと踏み込んで右ストレートをたたき込む。

 しかし、彼女はストレートを受け止め彼女を思いっきり叩かれてしまう。

 エーフィーは勢いよく立ち上がり、制服を脱いで路地裏へと逃げていく。

 彼女の方も追いかけていき、曲がりくねった道を突き進む。

 運の悪いことにこの裏路地は入ったところ以外に出る場所が無い。しかし、その為には怪しい女性を超えていく必要がある。

 一番奥のゴミなどが捨てられている場所までたどり着くと彼女は壁を背に振り返る。

 頭の中でどうやって逃げればいいのかという思考を繰り返すうち、彼女は最近のニュースを思い出してしまった。

 ここ数日顔の皮を剥がして殺す殺人事件が多発しており、エーフィーも今朝その話をスマフォのニュース欄で見たばかりだった。

「もしかして……彼女が犯人だったんすか?やばいっス………勝てる気がしないっス」

 ここで殺されるかもしれないという恐怖が体に震えがどんどんこみあげてきて、手足がブルブル震えている。

 助けてほしいという言葉を小さく漏らし、頭の中に遠くの地にいる両親や学校の友人、喫茶店にいるはずのフィリアとイリーナを思い出し、最後に張飛の顔を思い出したとき通路の奥から怪しい女性が現れた。

 片手にナイフと鉄線を握りしめ、足音をさせずに近づいてくるその姿はまるで暗殺者のようにも見える。

 一筋の風が上から下に流れてきて、女性のフードを取り払おうとする。

 風が吹いていくたびにフードが揺れ、彼女はその辺に転がるゴミを踏みつけながら近づいていく。

 エーフィーは勇気を振り絞り、ゴミを投げつけて視界を封じその隙に逃げ出そうとするが、逆にゴミがエーフィーに帰ってきてしまう。

「何すか!?今投げたはずなのに?」

「その程度ですか?先ほどの威勢のよさはどこに行ったのでしょうか?」

「いいすよ!戦ってやるっす!」

 右手を前に左手を低めに構えて殴れるように構え、ナイフの動きをよく見る。

(ナイフの攻撃範囲はそんなに広くないはずっス。攻撃をよく見れば回避は出来るはずっス)

 斬りつけられる距離まで耐え忍び、ナイフがエーフィーの首筋の頸動脈狙って素早い動きで斬りつけようとするが、エーフィーはそれをうまく回避しナイフを吹き飛ばして一気に近づいていく。

 しかし、そのとたんナイフがいきなり右端から切りかかってくるのを急いで回避する。

 その瞬間に尻餅をつき、エーフィーは驚きと共に彼女を見上げる。

「鉄線を持っている事を考慮しませんでしたね?」

 彼女は鉄線を使ってナイフを遠距離から操っていた。

 ナイフを持ち上げ振り下ろそうと力を籠めるが、そのナイフを吹き飛ばす強烈な一撃を前に彼女は大きく壁を蹴って後ろに飛ぶ。その瞬間にエーフィーに背を預けて立ち尽くす人間が現れた。

「ちょ、張飛さん?どう、どうして?」

「大丈夫か?エーフィー」


今回からラスボス登場ですね。少し巻き目で行きますので!では明日です!

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