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ほこほこ金目鯛の煮付け☆

 熱を通して美味しい秋味は鮭、白子の豊かな鱈とございますが、煮付けで美味しい魚で金目鯛を忘れては行けませんな。

 秋爛漫、卵を蓄えた金目鯛は冬場を通して脂が乗ってまさに黄金期。しこしこと締まった身を刺身で味わうのもまた佳しですが、豊穣そのもの、脂を味わうなら煮付けで。若く肥った身こそ甘辛く煮つけてやるに限ります。

 肉厚の白身魚の煮付けを噛むときしきし、肉の弾力が心地よいものですが、脂がほどよい金目は、ぱさぱさにすら感じることもある白身の淡白さすら、とろり脂で包み込んで、大和撫子な潤い十分。

 ゼラチン質をまとった大きな目玉を食べるのを忘れてはいけません。鯛のあら煮やかぶと煮より甘く煮つけても、金目鯛の脂は力強くて、むしろ際立って。独演会を張るに相応しい花形役者です。

 寒くなるこの時期から、初春の足音を聞くまで寒さを忘れさせてくれる『沁みる』食材です。

 港近い方は、買って煮つけてもよいですが、獲れたてを漁師町で料理してもらうのもいいですよ。

 わたしの煮付けベストは年明け、銚子の犬吠埼灯台のお店で三十分ほど待って食べた、ぴかぴか輝くお刺身で食べても十分な大ぶりの煮付け。

 おうちで食べるときはぬる燗でしんみりがベストです。在りし日の最高の煮付けを思い出しながら、ありものの煮付けをぱくり。年の瀬、騒がしくなる前に銚子港に買い出しに行きたいなあ。銚子犬吠埼の街に落ちる秋の落日を思い出しながら、今日も乾杯です(`∇´ゞ

(2015年11月9日掲載)


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