■月星暦一五四三年十一月⑦〈毒〉
人がいる以上医師がいて、医療的な話が出てきますが、
作者の知識が追いつきません。
調べてもよく解りませんでした。
悔しいですが、伝家の宝刀「お話だから」で許して下さい
「お連れしました」
登城し、案内された会議室に入ったアトラスは、待っていた面子を見て顔をしかめた。
軍部統括のヴェスト、各隊の隊長格、宰相、王の補佐官であるネウルス、そして王宮筆頭医官。
アウルムは居らず、上座に空いている席は一つ。
「お帰りなさい」
「ご足労感謝致します」
「戻ったばかりでしょうに、申し訳ありません」
声がかかるが、アトラスは応えずに空いていた席に着いた。
自分の役割はここまでと、下がろうとするハイネをアトラスは引き止める。
ハイネはアリアンナの婚約者ということになってはいる。
アリアンナから求婚し、アウルムも許可したが、外国人である、実績が足りない等という周りからの反対で実質保留状態にある。
『有事の際のアトラスへの連絡係』という立場上、最低限の情報は与えられているが、それ以上は踏み込ませたくないという空気が、一部から露骨にあった。
「よろしいですね」
アトラスの有無を言わせない声音に、口を開きかけた面々は引き下がる。
席はないので、ハイネは扉脇に立ったまま留まった。
状況説明をしようとする宰相を手をで制し、アトラスは筆頭医官に尋ねた。
「で、兄上の容態は?」
まだ説明はされていないが、状況から導き出される答えはアウルムが伏しているとしか考えられない。
異国の医師が城を訪れるというネウルスの筋書きも、意味を持っていたと理解できる。
「は、はい。毒物の特定が叶わず、中和が上手く行っていません。毒素の排出に尽力しています」
「毒?盛られたのか?」
「いえ。吹き矢のようなもので穿たれたと」
ぴくりとアトラスの眉が動く。
竜護星で倒した刺客の持ち物を、ウィル達が確認していた理由に思い当たる。探していたのは解毒薬ということだ。
(なぜ、早く言わなかった?)
怒鳴りつけたい衝動を抑えてハイネに問う。
「毒素の排出に注意点は?」
「とにかく水分を摂ること。熱があるなら尚更脱水症状に気を付けねばなりません。塩分補給が必要ですね。毒の吸着の良いものを食べて排出を促すことです。擦り下ろしたトマトやブロッコリーなども有効かと」
実践経験は無いが知識だけは持つハイネはすらすらと答える。
「だ、そうだ。神殿の医療班とも協力して治療を進めなさい。あちらも独自に解毒や薬に研究している」
アウルムの主治医は渋い顔を見せたが、目の前の人物の言葉の重さを思い出して了承する。
アトラスは扉を示した。
即ち、すべきことをさっさとやれ。
医官は慌てて退出して行った
ハイネの毒出しは、デトックス的な意味合いで、この場合に相応しいのかはアトラス達も判断ついていないとご理解ください。




