7.リルのダイエット
しばらく全力で走っていたリル。
ただ、十分も経たないうちに息を荒げていた。
「はぁ……、はぁ……、こ、このくらい走ればどうだ?」
「……まだ全然変わらないよ。それにリル、前はもっと長い間走れてたよね?」
「ま、まさか我が走れなくなる……だと!?」
「だ、大丈夫だよ。たまたま調子が悪かっただけだよ。もう一度走ってみよう」
「そ、そうだな……。いや、レフィ、頼みがある」
「どうしたの?」
もしかして、痩せるポーションについて気づいたのだろうか?
レフィが聞き返すとリルは真剣な表情を見せながら答える。
「走り続けても疲れない、ずっと走れるようになるポーションは作れないか?」
そっちできたか……。
どちらにしてもポーションの力を借りるわけだ。
まぁ、多分作れるから作ってみせるけど……。
いや、ポーションを使わずに思い込みの力を使った方が良い気もする。
よし、それなら――。
「これでいいかな?」
出来上がったポーションをリルに渡すと一気にそれを飲み干していった。
「よし、なんだか力がみなぎってきた気がするな。よし、レフィ、もう一度乗ってくれ。今度こそもっとたくさん走ってみせる!」
「うん、頑張ってね」
リルの背中に乗ると再び周囲を全力で駆け出していった。
◇
そして、一時間後。
「はぁ……、はぁ……。さ、さすがにもう走れない……。レフィの薬の効果が切れたのか?」
息を切らせながらリルは大の字になってその場で寝転がっていた。
そんなリルを見てレフィは小さく微笑む。
「違うよ。今のは正真正銘リルの力だよ。だって僕が渡したポーションはただの疲労回復薬だよ。疲れを取る効果しかなかったからリルが長い間走れたのはリルの本来の力なんだよ」
「い、いや、だって、思ったより体が軽かったぞ? それこそポーションの力じゃないのか?」
「そんなことないよ。単なる思い込みだよ」
レフィから事実を聞いてリルは呆然としていた。
「まぁ、まだリルの本来の力までは遠く及ばないけど、それでもかなり元の力を思い出せたんじゃないかな?」
「そうだな。あぁ、これを続けていけば元の体型に戻れそうだな。レフィも付き合ってくれるか?」
「うん、リルの気が済むまで付き合うよ。僕も全然気づいていなかったからね。同じものを食べていたはずなのにどうしてだろう……?」
「いや、その……、最近いろんな人から食べ物をもらうことが増えてな……。あまりにおいしかったから……つい……」
なるほどな。小さい状態のリルは子犬みたいに可愛らしいからな。餌を与えてくる人がいるんだろうな。
「よし、とりあえずしばらくは間食禁止ね」
「……あぁ」
新作を公開させてもらってます。
現在週間総合2位の作品になります。
よろしければそちらも併せてどうぞ。あらすじ下のタイトルより飛べるようにしてあります。
タイトル
『転生領主の優良開拓〜前世の記憶を生かしてホワイトに努めたら、有能な人材が集まりすぎました〜』
あらすじ
元社畜の俺は過労死の末、魔族や有力貴族の領地に挟まれた弱小領主の息子に転生していた。
魔物の襲撃による両親の死で領地を引き継ぐことになったものの、領民もその騒動でいなくなってしまう。
しかしこんな危険な領地に来てくれる人なんているのだろうか?
いや、それなら求人の条件を良くすれば良いんだ。
『毎週二日の休日』『残業はなし』『安定した給料』『福利厚生』
徹底的にホワイトとなるように心がけると、Sランク冒険者や賢者、聖女、挙げ句の果てには勇者や魔王すら雇われに来てしまった。
もしかしてこの世界も意外とブラック?
よし、それなら俺が徹底したホワイトな領地を目指してやろう。




