2.アーリアの陰謀
「まぁ、こちらの方はアーリアが招待したのじゃ。たまたま呼べる人が彼らくらいだったから……。その……、他意はないからな……」
国王は冷や汗を流しながら答える。
「はい、それはわかっていますが……」
やはりアールデルスを追い出された身としてはこの場にいるのは居心地が悪い。
だからこそ、国王も心配そうに聞いてきたわけだが。
「とにかく今日はレフィが無事に戻ってきてくれためでたい日じゃ。思う存分食っていってくれ!」
まぁ気にしないでおこう……。
レフィは兄たちはなるべく視界に入れないようにしながら好きな料理を取っていくことにした。
するとカインが話しかけてくる。
「レフィ……少しだけいいだろうか?」
「何でしょうか?」
料理に視線を向けながら答える。
「また、アールデルスに戻ってくる気はないだろうか? もう、お前を追い出そうとしていた父達もトリスもいない。私たちはお前を馬鹿にすることはないし、むしろすごいやつだと思ってるんだ……。もしお前に少しでもその気があるのなら……」
「いえ、僕はもう帰るつもりはありませんよ」
話はそれだけならもう話すことはないとレフィは背を向けて料理を食べ始める。
するとカインは悔しそうに口をかみしめていた。
「やはり直接言うのでは駄目か……」
小声で呟くカイン。
その言葉はレフィには聞こえていなかったが、リルには聞こえていた。
「レフィ……」
「どうしたの?」
「あのカインという男、やはり何か企んでいるようだ」
「うん、わかってるよ。そうじゃないとわざわざここに来る理由がないからね」
それでも今は何もできないわけだから……。
とりあえず目の前にある料理は食べないと勿体無いもんね。
レフィは料理を食べる方に夢中になり、話についてはただ相槌を打つだけだった。
◇
そして、パーティも何事もなく終わろうとしたその時にアーリアがとんでもないことを言ってのける。
「そろそろレフィ様には爵位をお与えになられた方がよろしいのではないでしょうか?」
国王にそんなことを提案して、国王自身も乗り気になっているようだった。
「それはずっと思ってたことじゃ。ただ、レフィがな……」
レフィは必死に首を横に振る。
面倒ごとしか増えない貴族の位なんて絶対にいらないものだった。
「でもそれじゃあいつまでたってもミリーナとの結婚が……、いえ、これは内密な話でしたね」
今アーリアがとんでもないことを言わなかったか?
レフィは疑惑の視線をアーリアに送るが彼女は涼しげな顔をしてどこ吹く風だった。
仕方ないので国王に詳細を聞いてみることにした。
「国王様、今のアーリア様の話はいったいどういうことなのですか?」
「いや、そうなってくれると儂としては嬉しいな……と前に話していたのを勘違いしてしまったようじゃ。すまない……」
「あっ、いえ、僕の知らないところで勝手に話が進んでいるのかと思っただけですから……」
話が進んでいないのなら気にする必要はないかな。
ただ、今回の企みの主導はアーリアだろうな……。
レフィはそう思いながら再び料理に取りかかっていく。
そして、全て食べ終えるとお礼を言い家へと戻っていった。
◇
「それで何を企んでいそうかわかったか?」
ベッドで寝転がっているとリルが聞いてくる。
「まだなんとも言えないね。おそらく僕とミリーナを結婚させようとしている……と言うことはわかるんだけど、それ以上の企みまでは……」
「お前の兄弟も呼ばれていたことをみると貴族の家のこともあるんじゃないのか?」
「それならそれこそ、僕はいらないはずだよ。だって、今の僕だと功績をあげすぎてるから邪魔だと思われて仕方ないからね――」
そう言いながらこれもなにか関係ある気がしていた。
今はアールデルスの家の名声は地の底まで落ちている。
それを回復させる何か大きな一手……。
それを引き起こそうとしているのではないだろうか……。




