11.平穏
『ポーション売りの少年』の書籍化が決まりました。詳細は活動報告にて
トリスが捕まってからレフィたちはのんびりした生活を送っていた。
朝は日が昇ると同時に起きて、畑にいる人たちに挨拶をする。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう。今日も朝早いね」
畑の男性が挨拶を返してくれる。
ずいぶん平和になったなと安心しながらレフィ達は歩いて行く。
ただ、トリスの残した呪術がもうないかを調べながら――。
「そろそろすべて解除し終えたかな」
「そうだな。もう大丈夫そうだ」
町の中を一通り見て回った結果、発動はしてないもののまだ残されていた呪術が十個近く残されていた。
「一応全て解除していったし、もうよさそうかな?」
「あぁ、あとはこの町でゆっくり過ごすだけだな」
ようやく念願ののんびりとした生活を送れる。
そう思ったのだが、まだ引っかかる部分があった。
「一旦王都に戻るよ。一度他のお兄さん達に会って話をしておかないと」
今回も魔法至上主義であるレフィの兄が引き起こしたものだった。
それを考えるとこれからも他の兄たちが何かしらの事件を引き起こすことも考えられた。
「面倒だな……」
「うん、でも仕方ないよ」
これは自分が解決しておくべき問題なのだから……。
大きくため息を吐くとレフィはリルの背中に乗って王都へと戻っていった。
◇
「そうか、トリスが暴走したか……」
王都の中にある豪華な館、その一室に男達三人と女性が一人、密談をしていた。
「やつは不安定なところがあったからな。あのレフィの能力を考えたら襲うことは愚の骨頂だとわかるだろう」
「そうだな。レフィの能力は【ポーション作成】レベルEX。元々EXレベルはその能力に一人しか現れないと言われるほどのもので、その力はどんなことでもできるほどだ。そんなやつ相手にまともに当たるなんて愚か者の考えることだな」
「そうですわね。幸いなことにレフィという子にはミリーナが恋い焦がれてると聞きます。そちらの援護をして籠絡してしまうと言うのはいかがでしょうか?」
「それはいいな。あと父達だが、牢の様子はどうだ?」
「おとなしい感じですわ。レフィがいないと静かなものです」
「それならば当面は妨害されるおそれはなさそうだな。では、作戦通りにレフィにはいっっさい手を出さず、なんだったら支援をしながら――」
「王国の忠実な兵士になって貰うと言うことですね」
男達と女性は低い笑い声を上げて、窓の外を眺めていた。
「では、僕はそろそろ戻らせて貰うよ、兄さん。これでも王国軍魔法部隊の一部隊を任されている隊長だからね」
「あぁ、急に呼び出して済まなかったな、リューズ。我ら兄弟、なんとしてもアールデルス家を守っていかなければいけないからな」
「それは兄さんに任せておけば良いでしょ? 何せこの国の第一王女様に好かれているわけですもんね」
「いや、でもくっつくためには何か大きな手柄を立ててもっと爵位を上げてからでないといけない。しかも、最近うちのバカ親のせいでアールデルスの名が地に落ちている。幸いなことにレフィがアールデルスかも……と言う噂を流すことで事なきを得ているが……」
「その中で今回の事件だもんな。もう僕たちには時間がないもんね。下手をすると貴族位が剥奪されてしまうかもしれない。そのためにはレフィの力が必要だ」
「あぁ、だからなんとしてもレフィにはアールデルスに戻って貰う!!」
◇
ようやく王都に帰ってくる。
まずはいつも住んでいた家に戻ってくると、前ではミリーナが寂しそうな表情で家の中を眺めていた。
「どうかしましたか?」
「いえ、いつレフィ様が帰ってくるのかと待っているのです……えっ!?」
ミリーナに声をかけると彼女は驚きの声をあげていた。
「れ、レフィ様、帰ってこられたのですか?」
「うん、ちょっと王都で用事があってね」
「お帰りなさい、レフィ様」
ミリーナがうれしさのあまり飛びついてくる。
それを躱しきれずにレフィは受け止めるより他なかった。




