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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
2.1.蘇生ポーション
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3.万能の木

「でもいつまでもここに生えていたら邪魔なんですよね……。移動とかはできないのですか?」


 ユウスがドライアドに確認してくる。


「木なんだから、移動できるはずないだろう?」


 当然のように言ってくる。

 移動させるなら木自体に足を生やして動いてもらうとか、一旦別の空間に移して違う場所で取り出すとか、地面ごと持ち上げて動かすとか、いっそのこと爆風で飛ばすとか……。


 ポンッポンッポンッポンッ。


「どれがおかしくないかな?」


 四本のポーションを見せながらリルに聞いてみる。


「……いや、どれもおかしいぞ」


 あきれた様子を見せるリル。


「とりあえず一つ試してみるね」


 まずは地面ごと運べるようになるポーションを使ってみる。

 ポーションを飲み干してみる。

 一瞬光を放ったものの、その後にレフィの体が変わった様子はない。


「えっと、これで持てるのかな?」


 万能の木に両手を回してみる。

 当然のことながら手を回したところで両手がつくことはなく、ただ木に抱きついているようにしか見えない。


「な、何をしてるんだ?」


 ドライアドが顔を強張らせながら聞いてくる。


「この木を移動させるんだよね。よいしょっ……」


 ポーションを飲んでいるからだろうけど、意外と簡単に持ち上がってしまった。


「お、おい、や、やめろ!!」


 ドライアドが慌てて声を荒げる。


「えっ、移動させるんだよね?」


 城からは邪魔にならないように少し離れた位置に持っていき、植え直す。


「だ、大丈夫なのか?」

「多分?」

「な、なんで聞き返してくるんだ。お、お前がしたことなんだぞ……」

「うーん、心配ならもう一回ポーションをかけてみるよ」


 蘇生ポーションを作り出して万能の木の根元に振りかける。


「そ、そんなポーションをかけたところで……。あ、あれっ?」


 万能の木は少しだけ光ると更に成長して木の実ができていた。


「ど、どうしてこんなに成長してるんだ?」

「れ、レフィさん、今かけたポーションはもしかして木を成長させる成長促進ポーションとかですか?」


 少し違うんだけど、同じ効果ならそう言ってもいいかな。


「まぁ、似たようなものですね」

「そ、そんなものがあるのか!? す、すごいな!」


 なぜかドライアドに感動された。


「そ、それを大量にかけたらもっとこの木が大きくなるんだろう? ま、まだないのか?」


 あまり大きくしすぎるのもよくないよね。

 レフィは首を横に振った。


「そっか……、まぁ後は自然と大きくなるのを待つよ」


 ただ、これ以上大きくなるのか……。

 レフィは万能の木を見上げてみる。

 すでにその大きさは幽霊城よりも大きくなっており、下からじゃてっぺんの部分は見えなかった。

 これ以上大きくなるのは流石に問題がありそうな気がする。

 それを聞いてユウスもホッとしていた。


「そ、そうだな。流石にこれ以上大きくなるのはまずいからな……」


 ◇


「それより、万能の実ってこれのことだろう?」


 いつのまにか木に登っていたリルが木の実を一つ落としてくれる。


「あぁ、そうだ。せっかくだから食ってみるといい。うまいぞ」


 ドライアドに言われるがままレフィはそれを口に含んでみる。


「うん、美味しいね」


 果物特有の瑞々しさと程よい甘みが口の中に広がっていき、レフィは笑みをこぼす。

 あと、体が元気になっていくような気もした。

 これが万能の実と呼ばれる所以なのだろう。


「なっ、うまいだろう」


 褒められたからか、ドライアドは嬉しそうだった。


「なるほど、確かにこれは美味いね。新しい名産品になりそうだ」


 ユウスは何やら考えている様子だった。


「ただ、名産とするには量が足りないか。まずはこの実を植えて、万能の木を増やしていくところから始めないといけないか……」

「でもそうなると――」


 レフィは思わずドライアドを見てしまう。

 この万能の木を増やすということはドライアドも多く増えていくということなんじゃないだろうか?

 ただ、その考えはあっさりと否定してくる。


「いや、万能の木一本ごとに俺たち、ドライアドが生まれるわけじゃないんだ。中でも特に立派にしっかり成長したやつだけに宿ると言われてるな」

「つまり、君みたいなドライアドは生まれないんだね。よし、それなら――」


 ユウスは嬉しそうに微笑む。


「それならこの辺り一帯を万能の実の採取場としよう。近々、それに必要な人員を割いて準備しよう」

「うん、俺も仲間が増えるから歓迎するよ」


 ドライアドとユウスは互いに手を取り合って微笑んでいた。


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