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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
1.4.御使い様
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36.領主の秘密

 扉が開き、中からミリーナが出てくる。

 そして、歩き去って行くが、ふと振り向いてくる。


「レフィ様? ……がいるはずないですよね」


 一瞬ドキッとしてしまった。

 レフィは冷や汗を流しながらリルに聞いていた。


「ねぇ、今の僕は匂いも気配も姿も消えているよね?」

「あ、あぁ……」


 リルも驚いたようで、ただ頷くしかできなかった。


「魔力的なもの……かな? お兄ちゃんは魔法は使えないけど、前にポーションを飲んで使ったことあるよね。それで少しだけ魔力が出てるのかも……」

「えっと……、それってそんなに出てるの?」

「ルルカにはわからないかも……」


 魔力とかの探知に優れてるルルカですらわからないなら気のせいだろうな。


「それよりも扉が開いてるうちに中に入ろう」


 レフィたちは領主がある部屋へと入って行く。


 ◇


「さまざまな種類のポーションが生み出せる少年か……。そんな金になりそうな奴を逃すなんて国王も馬鹿な奴だな」


 中には豪華なソファーに腰掛けて、目の前に置かれた料理を食べながら領主はニヤリと微笑んでいた?

 いつも豪華なものを食べているからか、その恰幅はかなりいい。


「しかし、そんな少年、どうやって見つけるのですか?」

「簡単なことだ。神狼を連れているといったな。そんな奴はそうそういない。それらしい人物を全てひっ捕らえればいい」

「では、そのように指示を出してきます」


 兵士は慌てて飛び出していった。

 そして、部屋には領主一人残される。


「全く、奴らは儂の指示がないと動けないのか」


 それを見て、リルが小声で話しかけてくる。


「やはり金にがめつい感じだな」


 すると突然領主が目を光らせる。


「誰だ!」


 レフィとリルの間にフォークを投げつけてくる。

 そのまま壁に突き刺さるフォーク。


「なんじゃ、気のせいか。誰かいたと思ったのだが……。いや、儂の気配察知スキルは誤魔化せん。この部屋に誰かいるな。おいっ、兵士たち! 今すぐ来い!!」


 大声を上げてくる領主。しかも、唯一の出口、扉の前に立っていた。


「ど、どうする、レフィ。逃げ場がないぞ」

「うん、まずいね……」


 再び周りを見渡す。

 こういったときの対策なのか、この部屋には窓がない。しかも部屋の中もソファーとテーブル、あとは壁に掛けられた絵画くらいしかない。


「仕方ないね、ここの壁を抜けよう」


 レフィは壁抜けポーションを出すと壁にかける。


「ここから逃げるよ」


 それだけ言うとレフィは壁に向かって進む。


 その後に続くようにリルたちも壁へと進んでいく。


 ◇


 抜けた先は隣の部屋だった。


「とりあえず気づかれないように……」


 効果消しポーションを使い、元の壁に戻しておく。


「それにしても厄介な効果の持ち主だな。あれはかなり高位の気配探知スキル持ちだぞ?」

「ちょっと厄介だな。あれっ、ルルカ、そんなもの持ってた?」


 リルと話しているとルルカが箱のようなものを持ってることに気づいた。


「なんかね、隠してあったよ? 絵の後ろに。だからちょっと元の姿になって取ってきたの」


 わざわざ隠してある箱。何か重要なものが入っていそうな気がする。


「とりあえず今日はここまでにしておこう。さすがに今の警戒状態だとこれ以上は領主さんに近づけないよ」


 そして、レフィたちは隙を見計らって領主の館を出た。


 ◇


 外に出ると透明化を解いて、深呼吸をする。


「な、なんとか出てこられたね」

「あぁ、ただこれから私がいるだけで捕まる可能性があるぞ? そっちはどうする」

「それなら簡単だよ。前にリル、人化してくれたでしょ? あれをもう一度してくれたらいいから」

「そうか、確かにあれならバレないよな」

「ただ、もう少し人に寄せてくれないかな? 変に目立っちゃうとそれはそれで目をつけられそうだから……」

「あ、あぁ、頑張ってみる」


「……んっ?」


 訳がわからないルルカが首を傾げている。

 ポンっと言う音を鳴らし、リルが白い煙で覆われる。

 そして、煙が晴れてくると白い耳と尻尾だけは残っているが、あとはどこから見ても人間の美少女にしか見えない子が立っていた。

 何も着ていない状態で……。


「わ、わっ、だ、ダメ!!」


 レフィは慌てて地面に煙幕ポーションを投げつけると、周りからは何も見えなくなる。


「と、とりあえずもう一度リルは透明化のポーションを飲んでおいて! 服を買ってから姿を現して!」

「な、なんだか腑に落ちないぞ。レフィがこの姿になれっていったのに……」

「いいから! もし飲んでくれないなら僕はもう知らないから!」

「仕方ない。もう少し我慢しておく」


 再び透明化ポーションを飲んで透明になるリル。


「リルってすっごく可愛い子だったんだ……」


 ルルカは頬を紅潮させて、惚けていた。


「とりあえず急いでリルの服を買わないといけないけど……、ルルカに任せてもいいかな?」

「うんっ、もちろん」


 嬉しそうなルルカ。

 彼女にお金を渡すと透明化してるリルと一緒に服屋へ行ってもらった。

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