34.贈賄の町
聖教国を目指して、レフィたちは街道を進んでいた。
「なんか随分整備された道だね」
「近くに町があるからな。それも意外と大きいぞ」
「それじゃあ今日はそこに泊まろうか。ついでにどのくらいで聖教国に着くか聞けるもんね」
「よし、それじゃあ一気に向かうぞ!」
リルが一気に向かっていく。
そして、日が沈み始めたくらいに町にたどり着く。
ただ、そんな時間にもかかわらず町はたくさんの光でかなり明るかった。
街並みも今までよりも高級そうな家が立ち並んでおり、どこか王都の貴族街を彷彿とさせた。
「眩しいな……」
リルが少し目を細めていた。
「ルルカもここは苦手なの」
人工的な光が強すぎるからか、幽霊のルルカも眉をひそめていた。
「とりあえず今日の宿を取ろうか。苦手なら明日の朝にはすぐに出発しよう」
早速町へ入っていく。
ただ、入り口のところで止められてしまう。
「町に入るのか?」
「あっ、はい。今日は宿を取ろうと思いまして……」
兵士に止められる。
こうやって止められるのは初めてだなと思いながら話をする。
すると兵士が手のひらを向けてくる。
「えっと、どうかしましたか?」
差し出された手を見てレフィは思わず聞いてしまう。
「ほらっ、通行のために出すものがあるだろう」
通行のために?
そんなものあったかな?
レフィが首を捻っていると兵士がため息を吐く。
「もういい、中に入れ!」
なんだか怒った様子で言ってくる。
不思議に思いながらレフィは町へと入って行った。
◇
「さっきの人、なんだったんだろうね?」
宿を取ったあとも気になってリルたちに聞いていた。
「お腹でも空いていたんじゃないか?」
「うーん、そんな感じじゃなかったんだけどなぁ……。まるで何か欲しがってたみたい……」
「……、レフィ、ちょっといいか?」
リルが声を落としてくる。
「どうかしたの?」
「この部屋の周りに人がたくさんいるぞ。囲まれているようだ」
「この宿に泊まりにきた人じゃないの?」
「いや、じっとこの部屋を見ている感じだな」
なんだろう、それ。
レフィは不安になりながら対策を考える。
やっぱり相手を眠らせるのが一番いいかな。
「とりあえず様子を見てくるよ」
リルに部屋を見てる人の場所を聞いたあと、透明ポーションを飲む。
そして、部屋を出る。
その瞬間に外にいた人が反応するが、誰も出てこないとわかると再びこちらに注意を向けていた。
(本当にリルが言ってたとおりに僕たちの部屋を見てる人がいるな。一体何をしてるんだろう?)
そばにいる人に近づいて話を聞いてみる。
「本当にこの部屋に例の子がいるのですか?」
「あぁ、間違いない。町に入るときに上納金を納めなかったやつが……」
「しかし、本当に襲いかかっていいやつなのか?」
「子供が二人らしい。金品は奪い取ってあとは好きにしろとのことだ」
どうやら入り口で欲しがっていたのは上納金らしい。町に入るときにそんなことを言われたのは初めてかも。
(とりあえず捕まえておこう)
レフィは待ち構えている人を一人ずつ、睡眠ポーションを飲ませて眠らせていく。
そして、全員捕まえたあと、しっかり体を拘束して、眼を覚ますのを待つ。
◇
「ぐっ、俺は一体……」
ようやく一人目を覚ます。
ただ、状況が飲み込めていないようだった。
「どうして僕たちを狙っているのですか?」
「お、お前は……。ど、どうしてだ、俺たちの監視は完璧だったはず……」
「えっと、すぐにわかりましたよ?」
リルが……とは言わなかったが、その男の人は目にわかるほど落ち込んでしまった。
「まぁいい。どうせ俺たちを捕まえたところで解放される。この町の領主が口を利いてくれるからな」
「つまり、悪いのは全て領主さんなんですね」
しまったと男は口を閉ざす。
あれっ、正直に話すポーションは飲ませてないよね?
あっさり教えてくれたので、不思議に思ってしまう。
ただ、町の権力者が相手になると面倒だね。何かしたところでもみ消されるだろうし、あと一つ、駒がかけている気がする。
それなら厄介なことになる前にさっさと出ていくかな。




