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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
1.3.パーティ
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28.ライバルド脱走

 ミリサは何度も王城に出向き、夫ライバルドに会えるように話していた。

 ただし、一度も会うことができなかった。


 どうして……。普通は妻が来たのなら会うことができるはずなのに、よほどのことをしてしまったの?


 知り合いに当たってみても皆一様に口を閉ざしていた。


 確かに魔法こそ全て……という魔法至上主義な考えはあったけど、それで何かトラブルを起こすような人ではなかった。


 あの人に何かあったの?


 ミリサは不安に思いながら王城を見上げていた。すると城の一部が欠けていて、穴が開いているのが見えた。


 あんな穴あったかな?


 不思議に思うミリサだが、それでも今はそれどころじゃないと中に入っていった。


 ◇


 怪しげな聖教国のことは相談した方がいいかなとレフィは王城へとやってきた。

 すると王城は何やら騒がしかった。


「何かあったのですか?」

「あっ、ドラゴン討伐の……。実は何者かに王城の壁を壊されていまして……」


 近くにいた兵士の人に話しかけると詳しく教えてくれる。


 よく見ると確かに人が一人は入れそうなくらいの穴が開いていた。


「それとアールデルス男爵が行方不明ですので、現在そちらも併せて捜索中となります」


 どうやらライバルドが逃げ出したようだ。


 あれっ? でも、魔法を封じていたよね?

 さすがにまだ効果は切れていないと思うんだけどなぁ……。


 つまり誰か協力者がいるのだろう。


「多分、お母……ミリサさんか。回復魔法のスペシャリストだって聞いたことがある……」


 それでレフィの魔法無効の効果を治してしまったのだろう。

 とりあえず国王に話に行こう。


 レフィは兵士の人に伝えて、謁見の間に案内してもらう。


 ◇


「よくぞ参った、レフィよ。して、今回は何の用じゃ?」

「実はミクロマルク聖教国の使者という人がうちにやってきまして……」


 そのことを伝えた瞬間に国王は驚き大きな音を鳴らし、席を立っていた。


「そ、それで、その用事はどのようなものじゃったのだ?」

「なんでも僕を聖教国へ連れて行こうとしていたみたいです」

「そ、それはダメじゃ!!」


 国王が慌てたように大声を上げる。


「えっと……、まぁ断ったらまた来ると言ってました」

「よし、それならばお主に護衛をつけよう! 千……いや、二千ほどいればいいか?」

「いやいや、いりませんよ!」


 第一それだけ人数を集められるならもっと王女様に護衛をつけてあげてほしい。


 そんなレフィの考えを読み取ったのか、国王は溜め息を吐きながら答える。


「護衛をつけようとしておるのじゃが、ミリーナが勝手に出て行くせいで最低限しかつけられないのじゃ……」


「おっと、それよりもお主じゃ。本当に護衛はいらないのか?」

「はい、僕にはリルもいますから……」


 肩に乗っているリルの頭を軽く撫でる。


「神狼じゃな。確かに神狼とお主のポーションがあればそうそう敵はいないじゃろうな」


 褒められたリルは嬉しそうだった。


「そうだ、国王様。さっき兵士の人に聞いたのですけど、牢から……」

「あぁ、アールデルス男爵のことじゃな。しっかり兵士に護衛をさせていたのじゃが、それも倒されていた。少し油断しすぎだったかもしれぬ。魔法使いとしてはかなり有名な家族じゃったもんな。とにかく今そっちは必死に捜索しておる。ただ、狙いはお主じゃろうからくれぐれも注意してくれ」


 国王から心配されたのでレフィは頷く。

 そして、謁見の間を後にした。


 ◇



「なんかさっきの国王様の言い方、まるで僕とあの人が会うと思ってるみたいだったね」

「まぁ向こうが探しているなら会うかもしれないな」

「リルは気配を感じない?」

「この町は強い気配が多すぎる。どれがレフィの親か判断がつかんな」


 リルは首を振っていた。

 やっぱりそう簡単にはいかないか。

 でも、向こうから会いに来てくれるなら突然襲われないように警戒だけしていたらいいのかな?


「それにしても最近なんだかトラブルが多くないかな? 僕としてはもっとのんびり過ごしたいんだけど……」

「仕方ないだろう。レフィの力は誰でも欲するだろうし……。それにそんなことを言ってるとまたトラブルに巻き込まれるぞ!」


 ドゴォォォォォン!!


 突然側の建物が破壊される。


「見つけたぞ、レフィ!! 今度こそ覚悟しろ!!」


 そこから現れたのは目が血走り、怒りのあまり血管が浮き出ていたライバルドだった。

 全身からバチバチと雷の魔力を纏っているようだった。


 ただ、前以上に冷静さを欠いている様子だった。

 前のライバルドならこんな町の中で魔法を放つなんてことはしなかったはずだ。


「とにかく、危ないね」


 レフィは魔法無効化のポーションを投げつける。

 ただ、それはライバルドの雷の魔力が防いでしまう。

 瓶を割り、中身を一瞬で蒸発させ、ポーションがライバルドにかかることはなかった。


「くくくっ、そんなポーション、効果さえ知ってしまったら防ぐことくらい容易だ」

「なるほどね……」


 やっぱり直接かけるものは簡単に防がれてしまうね。それなら――。


「わかったよ、それじゃあ次はこれでどうかな?」


 レフィは新しいポーションを生み出すとそれを一気に飲み干す。

 その瞬間にレフィを覆うように魔力が集まっていった。

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