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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
1.1.ユーフェリアの町編
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10.頼み

 しばらく待っているとユウスが戻ってくる。


「あの、領主様は?」

「あぁ、バカ息子か。しっかり叱りつけたあと、あの拘束の薬を使わせてもらったよ。あとはしかるべきところに連れて行って罪を問うつもりだ」


 遠目で見ると領主は目を回して倒れているのが見えた。かなり叱りつけたのだろう。

 これで一件落着のようだ。


「それでは僕はこの辺で失礼します」


 用も済んだのならさっさと帰ろうとしたのだが、それはユウスが止めてくる。


「ちょっと待ってくれ。まだ礼も済んでいない……」

「でも、今は色々ありましたのでお疲れだと思います。ゆっくり休んでください。お礼の方はまた後日でいいので」

「すまない……。必ず後日お礼を渡させてもらうから……」


 ユウスももう体が限界だったようで、あっさりレフィの提案を受け入れてくれる。


「では、僕は失礼しますね」

「本当にありがとう」


 再び頭を下げてくるユウスに見送られて、レフィは館を後にした。

 そして、宿には帰らずに町の入り口へと足を運んでいくと、そのままレフィは町を出て行った。


「ねぇ、本当に出てきても良かったの? お礼も貰ってないけど?」

「うん、だってあの領主様……、僕のことを気づきかけてたよ。下手にバレてしまうと家のこととか調べられて厄介なことになるかもしれないからね」


 会ったことがあり、自分のことを覚えているユウスならそれも十分に考えられた。

 それに一度殺してやると言われている以上、十分な力をつけるまでは下手に名乗らない方がいいだろう。

 父、ライバルドより身分も力もある人物に味方になってもらうまでは……。


「あの領主……って人だったら駄目だったのか?」

「すごくいい人そうだったよね。でも、催眠スキル持ちの息子に後れをとるなら怖いよ。だって、お父様の魔法スキルはかなり高いから……」


 昔に話だけは聞いたことがあった。

 EXを除いて、スキルはレベル一から十まであるらしい。

 もちろん数が大きいほどそのスキルは強いのだが、ライバルドの魔法スキルは上位の七らしい。

 この国でもかなり強い魔法使いみたいで重宝されている……と本人が話していた。


「とにかく、次の町に向かおうか。リル、場所はわかる?」

「あぁ、もちろんだ。それにしてもこの姿に戻るのも久しぶりだな」


 リルは元の大きな姿に戻っていた。その背中によじ登ると次の町へ向かって出発した。


 ◇◇◇◇◇


 実の息子を牢屋に捕らえた後、再び領主の座に返り咲いたユウスは部屋の中で落ち着きなく動いていた。


「どうしてだ? 私が何かしただろうか? あの少年……、レフィがいなくなってしまうなんて……」



 あの日、ゆっくり休んだユウスは次の日、レフィにお礼をすべく何でも屋の方に足を運んでいた。


「すまないが、ここにレフィという少年はいるか?」


 店の前にいた老人に確認をする。


「いや、今日は来ておらんが……、ってあなたは領主様。ご、ご無事で何よりです……」


 老人は目に涙を浮かべて喜んでいた。


「あぁ、町の皆には馬鹿息子のせいで迷惑をかけてしまったな。今後はこのようなことがなくなるように徹底させてもらうから、安心するといい」

「ははーっ。そうじゃ、レフィと言えば奥に彼が捕らえた者がおりますがいかがいたしましょうか?」

「連れてきてもらえるか?」

「はっ、今すぐに」


 老人は嬉しそうに店の奥に入っていく。

 そして、すぐに団子状の男を連れてくる。


「この者なのですが、一日たってもこの拘束は解けず、いかがしようかとおもいまして……」

「よし、それならばこの者も私の方で預からせていただく。大義であった。これは礼だ」


 ユウスは老人に数枚の金貨を手渡す。


「こんなにいただいてよろしいのでしょうか?」

「よい、そちにも迷惑をかけただろうからな。その代わり、もしレフィという少年がここに来たら一報をいただけるだろうか?」

「かしこまりました」


 何でも屋の老人に話した後、ほかにレフィが行きそうな場所を探していった。

 宿屋、料理屋、冒険者ギルドなど……。

 しかし、そのどれもレフィを見つけることはできなかった。


 どこに行ったんだ? も、もしかしてもう町を出てしまったのか?

 それなら門番が見ているかもしれないな。よし、行ってみるか。


 今度は慌てて町の入り口に向かっていった。


「えっとレフィという少年……でしょうか?」

「あぁ、特徴は……特徴は……そうだ、彼は白銀の小さな犬を連れていた。そんな少年が来なかったか?」


 すると門番はピンときたようでレフィ達が向かった先を指さした。


「彼らならあちらの方向へ進んでいきましたよ」

「やはりか……」


 しっかりお礼をして、その上で私にできることなら彼の力になってあげたかった。

 いや、彼ならいつか戻ってくるだろう。

 そのときにしっかりとしたお礼をできるように手を尽くしておこう。


「それがレフィにできる唯一の恩返しだからな……」

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