第88話 俺はSheShockガールの魅力を体感した
「いよいよ、始まるな」
ずっとユーチューブ広告で流していたSheShockガール情報。
もう第13話になっている。
だんだんと視聴回数が伸び続けている。
見ている人の興味があがってきているのを感じる。
そして、今日、SheShockガールがデビューする。
極秘のうちに進められたデビュー計画。
翔の力を借りて、東京TVの深夜枠を確保した。
翔は知り合いが多く、マスコミに対する影響力も持っているらしい。
デビューするのは、深夜番組「アイドル売っちゃいます」
元々はアイドル情報番組で、アイドルが私物をテレビでオークションに出すという番組。
普通は4組ほどのアイドルが登場して、オークション落札金額を競うバトル番組だけど、今回は登場するのがSheShockガールだけ。
オークションの内容は、ファーストコンサートのプレミアムチケット100枚。
100人しか参加できないファーストコンサート。
深夜に行われるプレコンサートの会場から中継される。
もちろんネットでの視聴も可能で、ライプ配信される。
「それでは、最初にして最後。SheShockガールのデビュー前のプレコンサートを始めます」
会場には100人のアイドルファン。
全ては『アイなろ』サイトの会員だ。
サイト会員で活動ポイントが多い順に招待をした。
だから、こてこての『アイなろ』ファン。
そして、『アイなろ』が全面バックアップで結成したSheShockガール。
限定的な情報しか与えられていないこともあって、興味が最高に強くなっている。
「みなさん。今日は私達、SheShockガールのプレコンサートに来てくれてありがとう~」
アイドルの原石と評価された14歳の梨花ちゃん。
ステージの中央、センターポジションでの登場だ。
「「「「「「うおおおおーーーーー」」」」」」
それまでシルエットと歌声しか知らないアイドルだから、スポットライトに浮かび上がった姿を見て熱狂している。
「だけどさ。なんか、衣装地味じゃないですか?」
「試食販売員だからな」
翔が心配している。
俺はもちろん、すべての計画を聞いているから、どんな結果になるか楽しみで仕方ない。
「それでは、試食販売スタートです」
会場がざわざわし始めた。
普通なら、歌が始まるパターンなのに、なぜか試食販売がスタートした。
「あ、もしかして。トライアイドルか?」
そう。『アイなろ』の初期からのファンは、トライアイドルを知っている。
試食販売と聞くとトライアイドルを思い出すらしい。
最初にやってきたのは、3人の元トライアイドル。
しかし、衣装は元トライアイドルの衣装ではなく、地味な感じの試食販売員姿。
ざわざわざわ。
何が起きているのか、全然分からない様子。
「試食をお願いします」
観客は折りたたみ椅子に座っていて、縦4列ごとに通路がある。
ステージが目立つように観客席は薄暗い感じだ。
その通路を通って、試食販売員姿のアイドルが試食トレイを配っている。
3人が小さく切ったピザを小さなトレイに載せて配りはじめた。
ひとり、また、ひとりと受け取り始める。
ステージ正面に設置されたスクリーンに数字が表示された。
99…98…97
スクリーンの数字がカウントダウンを始める。
試食トレイを受け取ってもらえると1つ下がる。
79…78…77
さらに試食販売員は4人現れて計7人になった。
51…50…49
人数が増えたから、カウントダウンのペースが上がり始める。
さらにステージにいた、梨花ちゃんも試食配布を始めた。
12…11…10
メロディーが流れ始める。
最初はかすかに、そして大きくなっていく。
4…3…2…1
カウントダウンと共に、観客が数字を読み上げる。
0
いきなりスクリーンが光り始める。
そして、試食販売員の衣装もカラフルな色の発光をし始める。
スクリーンには大きく文字が映し出される。
「アイドル革命」
いよいよ、SheShockガールの本気を披露するタイミングが来たな。
いよいよ、『アイなろ』プロデュースのアイドルの活躍が始まります。
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