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第79話 俺は同級生が付いたウソを知ってしまった

「お誘いありがとう」

「おー、来たか」


星川社長はすでに来ていて店の女と一緒に飲んでいた。


「あれ? ひとみちゃん、だっけ?」

「あ。はい、ひとみです」


あ、ここではひとみちゃんなんだな。

間違えないようにしないといかんな。


「どうして悠斗さんと一緒に来たのかな」

「実は悠斗さんとは中学の同級生なの」

「なんと! それは、すごい偶然だな」

「ええ。お店の前で会ってびっくりして」

「なら、一緒に飲もう。久しぶりなのか?」

「ああ。中学卒業以来だから、14年ぶりだな」

「それなら再会を祝って乾杯しないとな」


さえちゃん、じゃないか。

ひとみちゃんと俺のグラスが用意された。

最初はビールだな。


「「「「かんぱーい」」」」


それから、星川社長と一緒にビジネスの話をした。

星川社長の話は巾広くて面白いぞ。


「しかし、本当にビジネスを知らないですごい金を動かしているんだな、悠斗さんは」

「いやぁ、恥ずかしいな。ビジネスは全くのど素人だ」


星川社長は、俺のことを心配してくれているらしい。

ビジネスの素人が金をもっているとカモられるという。


「はぁ、そういうものなのか」

「そりゃ、そうさ。金というものは人を変えてしまうからな」


いろいろと紹介したい人がいると言う。

それぞれ、いろんな仕事をしているプロで俺の役に立つらしい。


「それでは、会う手はずをよろしく頼む」

「わかった。まぁ、まとめて会わせることができる連中は、ここで酒を飲もう」

「ここは仕事の場でもあるのか」

「まぁ、半々だ。酒や女がいたほうが、話しやすいことも多いからな」


それは同感だ。

男ばかりの会議はできればパスしたい方だ。


一通り星川社長は話すと満足したらしく、お気に入りの女性と楽しそうに話し出した。

俺はひとみちゃんのことが知りたいから、やっと解禁になった感じだ。


「あのね。私がこのお店に入ったのは5カ月前なの」

「なんでまた。こういう店で働くことにした理由はなんだ?」

「実は真治さん。リストラされちゃってね。今は無職なの」


なんと。5カ月前から無職だと!

同級会のときもそうだったのか。


一流の機械メーカーの新事業のグループ長をしていると自慢していたな。

俺はもらわなかったが、名刺をもらっていた人もいたな。


「その名刺、前の会社のなのよ」

「そうか。だから、代わりに働いているのか」

「そうなの。今、住んでいるマンションのローンを払わないといけないし」

「高いのか?」

「ええ。リストラされる前なら無理なく払えたんだけど」


うーむ。

闇金に借りていたら、俺が代わりに払ってやったんだけどな。

そこまではいってなさそうだ。


「だから、ここを紹介されたとき、すぐにオッケーしたの」

「娘さんは?」

「真治さんと一緒にお留守番。寂しがるけどしようがなくて」


なんか、寂しいな。

初恋の女性は幸せでいて欲しいと思うな。


「ごめんなさい。湿っぽい話になってしまって」

「いや。俺が知りたかっただけだからな」

「でも、悠斗さんはすごいわね。真治さんに聞いてびっくりしたわ」

「あ、先週会ったときの話だな」

「そう。高い外車に乗って綺麗な女性を連れていたと言っていたわ」

「ああ、そうだな」


なぜ、だろう。

女の話をされると、ごまかしたくなる。


別に愛人がいると知られても問題はないんだが。

やっぱり初恋の人は違うのか。


「私ね。本当のこと言うとね」

「なんだ?」

「悠斗さんのこと、いいなって思ってたの。中学の頃」

「!」


嘘だろ。

あの頃、ほとんど接点なんてなかったじゃないか。

俺は中学の時は勉強もせずにバイトで絵を描いていたからな。


まぁ、銀座の女の言葉ってことだな。


「学校で絵ばかり書いていたでしょう?」

「ああ」

「うまいなーって。一度だけ似顔絵を描いてもらったわよね」

「覚えているのか?」

「もちろん。ちゃんと日記帳に挟んであるわ」


なんでだろう。

すごく嬉しいぞ。


今となったら、もっと綺麗な人が周りにいたりする。

アイドルや美咲さん、美波さんも。


だけど、初恋の人は別だな。

彼女と話していると中学の頃に戻ってしまうな。


独り住まいの資金をためるため、絵ばかり描いていた中学時代に。


「そうだ。さえちゃん。困っていることがあるか?」

「ううん。大丈夫。ここのママさんがいい人でね。なんとかやっているわ」

「そうか。残念だ」

「えっ、どういうこと?」


あー、しまった。

いつもの人助けの癖がでてしまった。


初恋の人にする話じゃないな。


「いや。最近、人助けをすることが多くてな。困っていそうな人をみるとついな。余計なお世話だったな」

「いい人ね、悠斗さん」

「そうでもないぞ」

「困ったこと、あるの。本当は」

「どんなことか」

「真治さんが荒れているの。家に帰るとケンカが多くて」


参ったな。

そういう問題は苦手分野だ。


「どこか真治さんを雇ってくれるところがあったら紹介して欲しいの」

「そういうことか」


それなら、なんとかなるかもしれない。

即答は避けたが、動くことにした。


あんまり色気のある話にならないのね。

世の中、そんなに甘くないってことか。


それでも面白いと思ってもらえたら、ブクマと↓で評価をよろしくです。

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