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第7話 俺は定番のあれを投入してみた

連載開始1日を待たずして、ブクマ247でジャンル別5位! これも読者のあなたのおかけです。

嬉しいので、今日も最低2話は投稿しますね。


「じゃあ、こっちももっと楽しくやろう」

「いいわね。またドリンクもらってもいい? ミキの、無くなっちゃった」

「いや、ダメだ」

「そうよね。調子乗りすぎよね」

「いや。シャンパンにするぞ。みんなで飲めるしな」

「いいの? ありがとうっ。カフェ・ド・パリあたり?」

「それは、シャンパンじゃないだろ」


カフェ・ド・パリは、甘いスパークリングワイン。

一番安いものとして、キャバクラには、よくおいてある。


「もしかして、シャンパンの王様、ドンペリ?」


ミキちゃんが俺の顔を探るように見ている。

それはそうだ。


ドリンクも指名もしなかった男だからな、俺は。

しかし、今の俺は生まれ変わったんだ。


「その通り! ドンペリ入れてくれ」


キャバクラでドンペリ。

豪遊にふさわしい酒ではないか。


前に酒のリストを見せてもらったことがある。

たしかこの店では5万円だったはすだ。


「ドンペリ、入りました!」


ミキちゃんが黒服さんにオーダーを通すと、大きな声で言う。


全部で16卓あるテーブルは、半分ほどがお客さんで埋まっている。

そのお客さんとお店の女の子が一斉に俺の方を見る。


もちろん、あのハゲ親父とアリサもだ。


なんかこれ、すごく気分がいいな。

いままで知らなかった贅沢な気分だ。


豪遊の醍醐味というのは、こういうものなのか。

この気分だけでも5万円の価値はあるな。



黒服さんが美しいスタイルでシャンパングラスに注ぐ。

4つのグラスに綺麗な泡が入ったシャンパンが入った時点でそれぞれグラスを持った。


「「「「乾杯っ!」」」」


初めてのドンペリ。

どんな味がするのか。


おっ、シュワっとしてなかなかおいしいじゃないか。


5万円で6杯分だから1杯8千円ちょっとか。

これは間違いなく豪遊だ。


「私、ドンペリ飲んだの初めて」


新人さんのスーちゃんが喜んでいるな。


「どう? おいしいか?」


俺も初めてだが格好つけて、慣れているふりした。


「うん。とっても!」


シャンパンって飲みやすいが、意外と強いお酒だ。

シュワシュワしているけど、ビールと比べてアルコール度数が3倍以上だ。


4人で飲むと、ドンペリはすぐになくなるな。

みんな味わって飲んでくれている。

俺はすぐに飲み切って、お替りを入れてもらった。


「ドンペリ入りました!」


おっと、今度はアリサの席からドンペリ宣言が上がった。

アリサがこっちを見て、ドヤ顔をしている。


いよいよキャバクラバトルが本格化してきたな。


「アリサってさ。負けず嫌いよね」

「大丈夫なのかしら。どうせ、お客さんに無理強いしたんじゃない?」


ミキちゃんとマシロちゃんは、アリサに批判的だな。

こりゃ、相当お店の女の子に嫌われているな。

そんなことを思っている俺も嫌っているけどな。


「つまみも頼むとするか」

「いいわね。ミキもちょっとおなかすいてるの」


唐揚げと、野菜ステック、ウインナー盛り合わせ。

ちょっとパーティ気分で頼んでみた。


「そろそろ、時間になりますが」


黒服さんがこっそりと教えてくれた。

セット料金は1時間。

30分ごとに延長料金がかかる。


今の確認は2度目だから、入店から一時間半が経過した。


「あ、延長で。そうだな。とりあえずあと、1時間半」

「了解しました」


そのまま去ろうとする黒服さんを呼び留めた。


「黒服さんもドンペリ飲むか?」

「ありがたくいただきます」


キャバクラで女の子を落とすノウハウをどこかで読んだことがある。


鍵になるのが黒服に対する態度。

黒服に偉そうに接する男はモテない。

どういう形で接するのか、意外と女の子は見ているそうだ。


俺はお店の女の子を落とそうなんて考えていないが。


黒服さんはシャンパングラスをひとつ持ってきた。

俺が注いであげる。

これでドンペリは無くなった。


「あー。おいしかった」

「ミキちゃん、シャンパン好きそうだな」

「うん。ドンペリ、だぁーい好き」


なんか、どこかのCMで指でハートを作ったみたいな言い方だ。

きっと好きって気持ちを表現しているのだろう。


「だけど、ドンペリ飲むのは久しぶりなの。おいしかったわ、ありがとう」

「どういたしまして」


こっちのテーブルはいい感じで盛りあがっている。

アリサの席を覗くと、あんまり盛り上がっていないな。


お客さんがムッとしている。

やっぱりドンペリを無理強いしたんだな。


「あ、おつまみ来た。でも、お酒なくなっちゃった。残念」


居酒屋みたいなつまみだから、シャンパンに合うおつまみじゃない。

だけど、つまみが来たのに酒がないのはつまらないな。


「それではドンペリをもう一本」

「「「ええーっ」」」


女の子3人がびっくりして声を上げる。

やはり、女の子を驚かせるのは楽しい。


豪遊は、こんな反応を楽しむのもひとつだな。


「ドンペリ、またまた入りました!!」


黒服さんの宣言でまた店中の人たちの眼が俺に集まる。


アリサはというと。

怒りの顔になっているじゃないか、ざまぁ~。


「「「「乾杯っ」」」」


こっちの席は華やかにパーティ気分。

かわいい女の子が3人もいるから、会話下手の俺でも大丈夫だ。


ツーショットのアリサの席は相変わらず盛り上がっていない。

アリサがひとりで盛り上げようとしているが空廻りしている。


「そうそう。ほら、あの子」


ミキちゃんが指さした方向を見るとひとりの女の子が待機スペースに入ろうとしている。


「誰かな?」

「新人さんで、みゆちゃんって言うの。かわいいでしょ」


確かにかわいい。

ふんわりした感じで、ちょっとたれ目で。

小柄でハムスターみたいな小動物系だな。


正直言って、俺の好みのドストライクだ。


「な。あの子、こっちに呼べないか」

「そうくると思ったわ。彼女を指名でいいかしら」

「もちろんだ」


黒服さんにミキちゃんから告げてもらう。

しばらくすると、黒服さんが連れてくる。


「初めまして。みゆです」


おー、かわいいぞ。

まさに正統派アイドル系だ。


アイドルにはやたら詳しい俺が判断するとテレビに出たら絶対人気がでるぞ。


「かわいいでしょ」

「かわいいな」


なんか、みゆちゃんを勧めるミキちゃん。なんか男ぽい雰囲気になっているぞ。

そんなミキちゃんも魅力的だな。


「あ。ごめんなさい、マシロ、呼ばれちゃった。残念」


マシロちゃんは指名が入ったな。

代わりにみゆちゃんが俺の隣に座って俺の席は4人で変わらずだ。


「それ、もしかしたらドンペリですか?」

「みゆちゃん、ごめんね。もうあんまりないわ。これでいい?」

「はい」

「いやダメだ」

「もしかして」


ミキちゃん、嬉しそうに笑っている。

そう、追加オーダーだ。


「ドンペリ入りました!」


黒服さんを呼ぼうとしたら、アリサに先を越された。

アリサの席もドンペリ二本目か。


あっちは、ふたりで飲んでいるから酔っぱらうんじゃないのか?


「ミキちゃん。あっちも入ったな」

「そうね。だけどさ、大丈夫なのかしら」

「ん?」

「ほら、アリサのお客さん。相当機嫌悪そうよ」


確かにドンペリ頼んでいるのに盛り上がっていない。

アリサがひとりでしゃべっている。


アリサのところでドンペリを注ぎ終わった黒服さんを呼んだ。


「みゆちゃんに、ピンドンを」


ピンドンとは、ドンペリロゼ。

ピンク色に輝くドンペリだから、略してピンドン。


このお店では10万円と前に見たメニューに書いてあった。


「ピンドン入りました」


黒服さんがさらに大きな声とアクション声で宣言した。


「「「「カンパーイ」」」」


こっちの席はアイドルな、みゆちゃんが入って華やかさに磨きがかかったぞ。

大盛り上がりで、豪遊三昧。


いやぁー、キャバクラ豪遊は楽しいな。


一方のアリサの席は、バトル状態になっている。

お客さん怒りだしたみたいだ。


キャバクラバトルってそういうのを言うんじゃない。


おおっと、お客さん。

席を立ってしまったぞ。


カードで支払っている。


「あなたの勝ちね」


キャバクラバトルは終わったらしい。

隣に座ったアイドルな、みゆちゃんとピンドン飲みながらいちゃいちゃした。


気分だけだけどな。

触ったりしていないぞ。


あ、本当のこと言うと、手を触ってしまった。

俺もさすがに酔っぱらっているようだ。


さらに楽しい1時間を過ごした。


「どうもありがとうございました」


黒服さんとみゆちゃんを始め、女の子達の見送りを受けて店を後にした。



この日の料金は31万円とちょっと。

豪遊したけど、財布から一回で取り出せる金額の1/3。


「この財布。すごいチートものじゃないのか?」


呼んでもらったタクシーに乗りながら、酔いの回った頭で考えていた。


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