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第70話 俺は合コンに興味を持った

ブクマ10098件になりました。ありがとうございます。


いよいよ、新しい章、第8章アイなろ合コン編がスタートします。

ここから一気に、主人公を取り巻く環境が分かる出会いが起きるんです。


そもそも、始まりは3日前の電話だった。


「悠斗さんは合コンに興味ありませんか?」


宮古島オフィスのリーダー誠人からの電話だ。


合コンといえばリア充の代名詞だ。


ずっと人間関係が希薄でネットの世界に没頭していた頃の俺には縁遠い言葉。


それが。


【 合 コ ン 】


だ。



俺が合コンに誘われる日が来るなんて。

3カ月前の俺だったら信じることができないだろう。


合コンでいろんな女の子と知り合う。


そして、あんなことやこんなことをする。



全く女に縁がなかった俺は。


合コンの文字の前に「禁断」の二文字をつけていた。



「あー、ないこともないな」



嘘だ。本当はバリバリあるぞ。

合コンがセッティングできるなら、ぜひやってもらいたい。



「それじゃ、今度開催される『アイなろ合コン』参加します?」


おいまて。

なんだ、「アイなろ合コン」と言うのは。


アイなろは、もちろん、アイドルになろうサイトのことだろう。

それに合コンが着く意味が分からない。


アイドルと合コンするってことか?

そんなとこ、文秋にスクープされたら大変だろう。


「アイドルと合コンってことか。マスコミにバレたら大変だろう」


「ちっちっち。違うんですよね。『アイなろ』は大丈夫です」



『アイなろ』は、別名、恋人になれるアイドルと出会う場所。


このサイトに参加しているアイドルのうち、ハートマークを付けているアイドルは恋人募集中。

もちろん、18歳未満はハートを付けられないという制限はある。


「おいおい。そんなことをしたら、ファンがストーカーになってしまうんじゃないか?」

「大丈夫です。ストーカー対策はばっちりです」


アイドルとファンが直接会う場所は、サイトが公認したお店だけ。

そのお店には、アイドルが行く場合連絡があって、ちゃんとチェックしてくれる。


そのうえ、ストーカー対策特別チームが存在するらしい。


「元々はストーカー経験者なんですけどね」


ストーカーの考えることは一般人には想像しづらい。

しかし、ストーカー経験者は別だ。


やりそうなことをイメージして、先回りして防止する。

それがストーカー対策チームの役割だ。


「あと、アイなろファンには信頼ポイントというのがありましてね」


ストーカーまがいなことをしたら、いきなり信頼ポイントが落ちるらしい。

合コンにしろ、デートにしろ、信頼ポイントが低いファンは参加できないらしい。


「だけど、俺は信頼ポイントなんて溜めてないぞ」

「何を言っているんですか。最高出資額のエンジェルさんが。当然、最高信頼レベルになっていますって」


そうなるのか。

まぁ、オペレーションは誠人とかに頼んでいたからな。

自分でそういうのをするのはめんどくさいタイプだからな。


「そして、今回、アイドル合コンシステムが完成しまして。今回は初開催です」


今回のアイドル合コンは、初開催ということもあってVIP版だという。


VIP版は、ハートマーク付きで人気レベルが高いアークアイドルと、出資者のうち高額出資者にあたえられるアークエンジェルの称号持ちのみが参加する合コンだ。


このVIP版の存在を知らされているのは、アークエンジェルとアークアイドルだけ。


「すごそうな合コンだな」


正直言うと、俺は腰が引けている。

そんなレベルの高い合コンに俺が出てもちゃんと対応ができるのか?


「何言っているんですか。超アークエンジェルさんが。アイドルの間ですごい人気ですよ、アークエンジェル・悠斗さんは」


ああ。確かにそうかもな。


すでに俺がアイドルに投資した額は3億円とちょっとだ。

エンジェル仲間でも桁違いに多い。


「しかし、デートや合コンなんてアイドルとしては問題じゃないのか?」

「そこですよ。アイドル産業に限界がある理由が」


メジャーデビューしたアイドルは別にして、インディーズアイドルはバイトしながらアイドル活動をするのが当たり前らしい。


「キャバ嬢だったら、いい給料もらっているのに、もっとかわいいアイドルが貧乏なんておかしくないですか?」


たしかにそうだ。


アイドルにはキャバ嬢に比べて何かが足りない。

そうなのだろう。


「だから、売るんですよ、夢を。アイドルの恋人になれるって夢を」


おおーっ。それは凶悪だな。


リア充に怒りを感じているアイドルオタにそんな夢を売る。

当然メジャーアイドルにはできないこと。


「それは金が回るな」

「でしょう」


越後屋、おぬしも悪よのぉ、と言いそうになった。


もちろん、アイなろ合コンに俺は参加を決めた。


さて、主人公はちゃんと合コンで活躍できるのか。


「実はヘタレでした」なんて結果になったらどうしよう。


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