表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/212

第69話 俺は猫島に行ってみた

ブクマ10079件になりました。1万突破しました。ありがとうございます。

俺はビジネスジェットのチャーター便の中にいる。


俺以外の乗客は、拾ってしまった子猫3匹と飼い猫4匹、そして飼い主の30女だ。


「すごい。もう瀬戸内海の上を飛んでいるわ」


宮古島に比べると瀬戸内海は近い。

目的地の高松空港は東京から1時間ちょっとで着く。


「高松からは船がでているの。1日2便しかないけど」


もっとも俺は、そのフェリーで行くつもりはない。

パラジウムカードでセッティングを頼んだチャーターボートの予定だ。


「今日中に猫島に着くわね」

「ああ」

「でも、さすがに今日、改装できる訳ではないわね」

「それは手配はしてある」


リフォームのプロが今日一緒にボートで同行する予定だ。


「すぐには完成はしないが。だいたい1週間あれば最低の住むところは用意できると言っている」


移住に関する申請も準備はすでに終わっている。

猫島のある香川県は、移住プログラムが用意されていて、離島も対象になっているという。


そういうことも、すべてパラジウムカードのコンシェルジュは調べて役所と交渉済みだ。


「すでに、大きな屋敷を借りる手配は終わっている。もっとも、今は住める状態ではないらしいが」

「いつのまにそんなことをしたの?」

「優秀な人材が揃っているからな」


これは嘘かもしれないな。

人材ではなく、金の力だな。


金の力で優秀な人材は利用できる。


「猫島に移住を最速で実現してくれ」


たったその指示だけで、必要なことがすべて用意される。

もちろん、「金に糸目はつけない」という暗黙の了解の元でだ。


「でも。私だけなら、そんなに大きいとこは必要ないわ」

「一番状態がいいのが、その屋敷ということだ」

「部屋ってなん部屋くらいあるの?」

「8つだ」

「8つ? とても使いきれないわ」


それはそうだろう。

8つと言っても4畳半が8つという訳ではない。

最低でも8畳はある部屋だという。


「大は小を兼ねるというじゃないか」

「大きすぎるわ」


なかなか、文句が多い女だ。

それなら、ひとつ提案をしてやろう。


「そんなに気にするなら、民泊をしてみたらどうだ?」

「民泊? あっ、民泊!」


なにやらテンションが上がったぞ。


「そうよ。民泊よ。猫島って、宿泊できるとこがないのよ。だから、フェリーで渡って、その日のうちに高松に帰らないといけないの」

「そうなのか」

「だから、民泊があったら、すごく嬉しいわ」

「いや。お前が民泊に泊まる訳ではないだろう」

「もちろんよ。猫好きの人なら、絶対泊まりたいって言うわ」


話をしていたら、なんか話が大きくなってきたぞ。

古民家カフェもやりたいとか、猫パークも作るんだとか。


「だけど、そんなことをしようとしたら、もっとお金が必要になるわ。神様、お願いっ」


なんで俺を見て神様にお願いするんだ?

しかたがないな。


また4束ほど、一万円札を降らせることにした。

チャータージェットだから、他に誰も乗客はいないから問題はない。


「神様、ありがとう」


まぁ、喜んでいるから良しとしよう。


 ☆   ☆   ☆


「じゃあ、こっちの縁台から入れるようにすると古民家カフェになるわ」

「そうですな。この廻り廊下はこことここを遮断して、こっちのトイレは使えるようにすればいいですな」

「この広い和室をふたつ、廊下も入れると20畳ぶんくらいあるわ。坪だと10坪。十分な広さね」


大工の親方相手に古民家カフェや民泊設備など。

いろんな指示を出している、猫大好き女、名前は美代子さん。


「しかし、これだけ広いと満席になったら私ひとりじゃ無理ね」

「ああ。近所の婆さんにでも手伝ってもらえばいい」

「そうね。最初は誰もこないでしょうけど」

「そうでもないだろう」


すでに調べたところ、猫島の土日祝の来島者は70人くらいはいるらしい。

他に店がある訳でもないから、お客が来ても不思議ではないな。


「どうかしら。素人の私がはじめる古民家カフェ。お客さんは来てくれるのかしら」


可能性はあると思うが、実際はどうか分からないな。

まぁ、別に客が来なくても困ることもないか。


ネットで仕事はいくらでもみつけることができると彼女は豪語しているからな。


「でも、カフェやりながら猫と遊ぶ毎日がいいな」


ライターは嫌いじゃないけど、収入のための仕事、ライスワークだという。

カフェや民泊なら、猫好きが集まるからライフワークにできるんじゃないかと言う。


ライスワークなんて言葉があるのか。


俺がやってきたのは全部ライスワークだったな。

今はそれすらも辞めてしまったが。


俺はその日、島にいる猫とじゃれていた。

確かに癒されるな、猫は。


自分勝手にやりたいことをしているじゃないか。


腹が減ったときだけ、人にすり寄って「にゃあ」と鳴く。


美代子さんから預かったネコ餌のカリカリ。

それを上げると嬉しそうにする。


中には警戒して寄ってこないのもいるが、ネコ餌を置いて離れてみると。

慎重に近づいてきて食べた。


いろんな性格の猫がいるな。

たしかに猫は見ていると飽きないな。


「さて、俺は帰るぞ」

「もう?」

「ああ。明日は別の用事があるからな」


そう。

明日はアイドル合コンなのだ。


猫相手に遊ぶのも癒されるが、アイドルとの合コンはどうだろう。

きっと、もっと面白いことがたくさんあるはずだ。


猫の次は合コンだぁ~。


次話から新章に突入します。第8章アイドル合コン編です。

ここからいよいよ、新しい世界に主人公が踏み込みます。


続きが気になるって方は、ブクマと↓で評価をよろしくです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
参加中。クリック→<なろう勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ