第6話 俺はキャバクラバトルに参戦した
半日もしないうちにブクマが109、ローファンタジージャンル日間ランキング7位になりました。
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嬉しいから、もう1話投稿してみますね。
ドリンクを断ったアリサは席を立って、待機スペースに帰っていった。
「あー、すっとしたわ」
「ですよねぇ。あのアリサの顔」
「でも、どうしてアリサさんだけ断ったの?」
俺の行動を納得している顔なのがミキちゃんとマシロちゃん。
よくわからないって顔をしているのがスーちゃん。
あ、そうか。スーちゃんはまだ新人だったな。
「アリサはな。前に俺の席に着いたとき失礼な態度をしたんだ」
俺が前に店に来たとき、フリーで入ってたら、たまたまアリサが着いた。
いつものように、ドリンク断ると不貞腐れたような顔をして、まともに接客しようとしなかったのだ。
セット料金だけの客だとは言え、客は客だ。
俺はそんな態度のアリサを許す気はない。
「もっとも、アリサはその時のことを覚えていないようだったがな」
ミキちゃんとマシロちゃんは、アリサの話をいろいろと話してくれた。
仲間内でも評判が悪く、いろいろな噂があるらしい。
アリサは、この店に来る前は、同じオーナーがやっている別のキャバクラで働いていた。
その店はセット料金が倍以上する高級路線のお店。
そんなアリサ情報をお店の古株なミキちゃんが教えてくれた。
「そこでトップ争いしていて、負けそうになったから枕営業しちゃったみたいなの」
「枕営業? 本当にあるんだな。そんなものが」
「そう。それがお店にバレて、あっちにいられなくなってさ。こっちに廻されてきたみたいなの」
そういえば、前に俺に着いたときに、「私は他の女の子と違うのよ」って感じがあったな。
「彼女、あの通り美人でしょ。その上、若いし」
「ああ、そうだな」
「あっちの店からね。ついてきたお客さんが何人もいて、このお店の中では断トツのナンバー1なの」
「俺はパスだけどな。どんなに金があったとしても、アリサだけには使いたいとは思わない」
減らない財布があったとしても、使いたくない金というものがあるんだな。
ずっと使いたくても使えない金のことばかり考えていたから、初めて考えたことだ。
「だからね。すっごく、スカッとしたわ」
「それは良かったな」
「あ、ほら、みてみて。アリサ、スマホをいじっているでしょ」
「ああ。そのようだな」
「あれね。お客を呼んでいるのよ、きっと」
確かに、真剣にメールを打っているみたいだ。
それも真剣な顔をしている。
「どんな客だろう?」
「ハゲ親父よ。枕営業したって噂のお客」
「そうなのか」
「親の会社に入って副社長をしているらしいわ。経費でなんでも落とせると話しているのを聞いたことがあるわ」
あー。創業者の2代目か。
金はあるけど、能力は大したことないってイメージがあるな。
だから、キャバクラとかでは金の力でモテようとする。
なんだか嫌な感じだ。
「ほら、きた。アリサが飛んでいったわ」
「あいつか。見事に2代目のハゲ親父って感じだな」
キャバ嬢にいいように操られている鼻の下を伸ばした親父。
もちろん、金はもっているのだろう。
「ほらね。こっちが女の子3人もつけて楽しそうにやっているから気になるんでしょう」
「そうみたいだな」
「きっと、対抗しようというのね。あの親父の金で」
「それは面白いな。こっちはもっと楽しくやってやろうじゃないか」
使ってもなくならない経費を持つ2代目ハゲ親父。
この俺とどっちが強いのか試してみたくて、キャバクラバトルに参戦したのだった。
絶対負けないチート財布がポケットにあることを確認して。




