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第65話 俺は弁護士を用意することにした

ブクマが9654件になりました。ありがとうございます。

芸能プロダクション最大手のビーペックスからクレームが来た。

それも内容証明付きで、あちらの弁護士の署名入りだ。


トライアイドルが『アイドルになろう』に登録していることが問題らしい。


ビーペックスに所属しているアイドルは事務所に無断で動画等の配信はできない。

そこに抵触するとの主張だ。


もちろん、登録を削除するのは簡単だが、元々は所属前のことだ。

とやかく言われるようなことなのか分からない。


もし対応をしていただけない場合は、法的手段を講じせていただきます、だと?


最初から敵対的な文章ではないか。

マジむかつくな。


しかし、法律的なことは俺は全くの素人だ。

素人が下手な判断をしたらややこしいことになるのは目に見えている。


「こういうときこそ、なんでも解決してくれるパラジウムカードだな」


法律関係は当然、パラジウムカードのコンシェルジュが手配してくれるだろう。

それも普通だったら、良い弁護士を探すのは大変だと聞くが、パラジウムカードのお墨付きの弁護士なら間違いないだろう。


「分かりました。芸能関係の最高の弁護士をすぐ用意します」


うん、予想通りだ。

こういう問題は、お金持ちなら大抵巻き込まれることなのだろう。


パラコンシェルジュの心強い言葉がもらえたから、弁護士にすべて任せてしまうことにした。


 ☆   ☆   ☆


「これで大丈夫ですよ」


弁護士同士の交渉の結果、ビーペックスとの間で覚書を交わすことになった。

ビーペックスに所属しているアイドルは一切、「アイドルになろう」には登録不可ということ。


これは、「アイドルになろう」の規約サイトに正式に載せることにした。


さらに、過去に登録していた動画等もビーペックスに所属したタイミングですべて削除すること。

これに関しては、ビーペックスから連絡をもらって削除作業を行うとした。

みゆちゃん達、トライアイドルも含まれる。


すでにトライアイドルの動画や登録、コメントに至るまで削除は完了している。

さらに、一発で指定メンバーの関係情報を見えなくするハイド機能まで完成してある。



「ただ。この問題はビーペックスだけの問題ではありませんよ」


芸能界に詳しい弁護士は、そんなアドバイスもくれた。


弁護士がもっている芸能事務所のリストを使って、「アイドルになろう」との関係性を芸能事務所に確認する作業も行った。


所属しているアイドルが「アイドルになろう」での活動をどこまで認めるか、どうかだ。

ビーペックスと一緒で全否定の事務所から、部分否定、完全肯定と対応は様々だった。


それぞれの対応をアイドル登録をする人に通知する機能も追加された。


「いやぁ、こんなに早くプロダクションとトラブルとは想定外でした」


リーダーをしている誠人も驚いていた。

もちろん、俺だって同感だ。


「それだけ目立っているということだろ。いいことだ」


俺はそんな気持ちを隠して、そう伝えていた。


目立つという言葉を使ったのは、『アイドルになろう』の状況がそんな状況だからだ。


アクセスはうなぎのぼりで、アイドル関係のサイトとしては断トツ化している。

もちろん、他のサイトはほとんどアイドル情報を提供するだけのサイトだからアクセスの比較はあまり意味がないともいえるが。


現在登録しているアイドルは1500人にもなっている。

正式公開からまだ1カ月もしていないのにだ。


とにかく、今は『アイドルになろう』は絶好調だ。


芸能プロダクションと揉め事なんか起こしている場合じゃない。

だから、あらかじめできることは、弁護士をはじめ芸能関係に詳しい人達に対応をお願いした。


もちろん、チート財布からはバンバンとお願いに添えるものを出しているぞ。

そんな対応が功を奏して、法律関係のトラブルは解決したし、それ以上起きることもなかった。



そのことがひと段落した段階で、俺の構想がスタートした。


ミュージカル製作だ。


元々は、ケモ耳アイドルと『人気作家になろう』の原作者を引き合わせた時に出た話だ。


「こうやって、リアルな美尾ちゃんと会えてしまうと、ミュージカルとかもやってみたいですね」


すでに「バレーの王子様」や「剣鎧乱舞」と言った漫画やゲームから生まれたミュージカルが人気になっている。


原作の小説を書いているなら、アイドルを使ってミュージカルをやってみたいと思うのは自然なことだろう。

ただし、その場合は製作費とか興行収入とか広告方法とか、いろいろとクリアしなければいけないことがたくさんある。


俺はそれらをすべてチート財布でクリアするつもりだ。


「なろうミュージカルが始まる件」なんて「アイなろ」登録者への一括告知を出したら、これまたすごい反響があった。


俺のチート財布が出資元だと思っていたら、なろうミュージカルのエンジェルをしたいという申し込みが多数あって、俺の出資比率は20%まで下がった。

まぁ、そういう関わりを持つ人が増えるのは歓迎だから、俺も嬉しいんだけどな。


勝手に資金が廻るのは面白い現象だな。


「僕が『人気作家になろう』で書いてきたことが、本当にミュージカルになるなんて!」


一番驚いているのは、原作者かもしれない。


こんな経緯で、ミュージカル『狼獣人の美少女にTS転生して奴隷になりました』プロジェクトがスタートした。


狼獣人の美少女にTS転生して奴隷になりました、を、なろうで書こうかどうか、悩んでいる天野です。笑


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