第64話 俺は好事魔多しという言葉を実感していた
ブクマ9581件になりました。ありがとうです。
『アイドルになろう』を有名にする。
そのために、ユーチューブ広告をガンガンにいれてみた。
ほとんど制限がないくらい広告費を投入した。
すると、『アイドルになろう』のアクセスがとんでもないことになってきた。
だけど、今度はサーバーが止まったりしない。
そして、登録したアイドルの数も増え続けて、3日後には300人を超えたらしい。
アイドルだけでなく、ファンの数も30万人を超えてしまった。
「スペシャリスト枠の登録もどんどんと増えているんですよ」
スペシャリスト枠というのは、アイドルになろうに登録できるもうひとつの種別。
アイドル。
ファン。
資金的な援助をするエンジェル。
そしてスペシャリスト。
この4つが登録できる種別だ。
ひとりで登録できる種別はひとつではなく、複数登録もできる。
スペシャリストとは、アイドルをサポートするサービスを提供できる人。
メイクやコーディネイト、映像関係や、作詞作曲、演奏家まで。
他にも、プロデューサやアイドル原作まであるな。
例のケモ耳アイドルの原作小説を書いている彼もちゃんと登録してくれている。
「すでにオフ会フェスの企画が持ち上がっていて、来週やるそうです」
「誰がそんなことを考えたんだ?」
「プロデューサ登録した男なんですがね。こいつがやり手みたいで」
「それはすごいな。そういう企画がサイトの中で起きるのか」
「ただ、資金的にきついらしくてエンジェルになってくれる人を探しています」
「それなら俺がなるぞ。1000万円もあればいいのか?」
「そんなにはいりません。募集資金は200万円です」
「よし、全額、俺が払うぞ」
面白いな。
アイドル支援をサイト化したら、やたらといろんな物事がスピードアップした。
ただ、登録者が増えるにつれて、登録者それぞれの要望も増えている。
そのため、宮古島の開発チームは人員がどんどんと増えている。
誠人にちゃんと管理しきれるのかな。
管理職ができる人員も見つけないといけないのか。
「しかし、このサイトの収益構造はどうするんですか? このままだと経費はどんどんと増えます」
「気にするな。今は広げるタイミングだ。一切、収益のことは考えるな」
こういうときこそ、チート財布の出番だな。
普通なら規模が大きくなると経費が増大して収益がおいつかない。
だから、大手企業に資金支援を求めたりするが、それが結局あとあと足かせになる。
チート財布があれば、心配はないからすごく便利だな。
「ところで俺が投資したアイドルは人気が出ているのかな」
ケモ耳アイドルは……おおっ。
株価がなんと、50ポイントになっているじゃないか。
すごいな、大人気じゃないか。
他にも投資しているけど、ケモ耳アイドルが一番上がっているな。
これ楽しいな。もっと投資をしてみようか。
そんなことを考えていたら、また誠人から電話だ。
「まずいことが起きました」
「なんだ?」
「クレームです。ビーペックスから内容証明付きの手紙が届きました」
「なんだと!」
内容証明は怖いよな。




