第58話 俺は南の島のステージを楽しんだ
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「よし、着いたぞ。みんな、ステージの準備をよろしくな」
「「「「「「はーい」」」」」」
トライアイドルの6人達は飛び出して行った。
俺は大樹さんと一緒にクルーザーを係留している。
だけど、ちょっと気になることが。
「なぁ、大樹さん。この小ぶりなクルーザーは誰のかな?」
「あー。たぶん、トライアイドルの観客の人のだと思うんですが」
「じゃあ、勝手に係留しているってことだな。迷惑な奴だな」
「車だったら無断駐車ですね」
その迷惑な奴は、女の子3人連れてこっちに来た。
「うわぁー大きいわ。すごい。中も豪華なのかな」
「こっちのほうがいいわ」
「おいおい、待てよ。そんな業務用のクルーザーなんて比べるなよ」
あ、あいつ。ブラックカードのあいつじゃないか。
「やぁ、ブラックカードの! また会ったな」
「なんだお前。俺はこれから、このクルーザーで女の子達とクルージングをするんだ」
「それは良かったな」
「お前はアイドルの送り迎えか。大変だな」
うーん。そうなんだが。
好きでやっているから大変じゃないぞ。
「まぁ、そうだな。しかし、そんなとこにクルーザーを勝手に留めるなよ。迷惑だぞ」
「はぁ~。お前だって留めているじゃないか」
「俺はこの桟橋の持ち主の了解済だ。だいたいお前のクルーザーはずいぶん小さいな」
「これは俺のだぞ。お前のは業務用だろ」
「いや。昨日買ったばかりのプライベート用さ」
「なんだと!」
それから俺は中を見たいと言う女の子3人をクルーザーに載せて見せてみた。
「うわぁ、ベッドがあるー」
「このキッチンもすごい。あ、おふろまでー」
3人の女の子がきゃいきゃいしているのを見て、ブラックカードボンボンは。
「ちくしょー。覚えていろよな」
と走り去ってしまった。
☆ ☆ ☆
「皆さん~。民宿『たんでぃが~』の宮古そばの試食会に来てくれてありがとう」
「「「おーーー」」」
すごいな、トライアイドルの人気は。何人いるんだよ。
ざっと見ただけで、80人はいるな。
「まずは私たちの歌を聞いてください。『恋の試食販売』です」
「「「おーーー」」」
しかしまぁ。人気があるのはいいことだ。
大樹さんの民宿の予約も一気に埋まってしまったし。
まぁ、今はアイドル人気だけど、この動画が視聴されたら宮古島の魅力と民宿の魅力も伝わるだろうから、ちゃんと宿泊客も来るだろう。
わざわざトライアイドルを見るために宮古島まで来たファンもいる。
沖縄にたまたま来ていた人がネットで知ってきた人もいる。
あとは、島の若い人も来ている。
いろんな人たちが集まって、試食ライブを盛り上げている。
今回の試食は宮古そばらしい。
宮古島の名物で、大樹さんの民宿でも出している料理。
「宮古そばの試食でーす。おいしかったら民宿の食堂でどうぞ~」
「おいしく食べてくださいねっ」
最近のトライアイドルは人気がすごくて東京で試食ステージをすると、観客全部に配れないって状態になっているらしい。
宮古島での試食ステージは2.メンバー6人もいるし、観客も東京よりは少ない。
だから、試食配りが自然にできる。
「みゆちゃん。僕にも頂戴」
「はーい。順番よーーー」
試食アイドルはやっぱり、ひとりひとり手渡しするのが自然だなぁ。
このくらいの観客とアイドルのバランスが一番いいのかもしれない。
そして、今回のステージはサプライズ企画がひとつある。
そろそろ、サプライズのタイミングだな。
「それでは、みなさん。私達と一緒に泳ぎましょう」
「「「「「おーーーー」」」」
どよめきと一緒にトライアイドルの後ろからついてくるファンたち。
衣装を脱ぎ捨てて、お揃いの白い水着になった。
海に向かって走っていく。
すでにステージで歌って踊っているから、準備体操は必要ないな。
トライアイドルの6人を追いかけてファンたちも海に向かって走る。
服を着たままのファンも多いが、遠浅の砂浜だから大丈夫だ。
「みゆちゃーーーん」
ファン達はもう、熱狂度マックスになっている。
トライアイドルの宮古島ステージは大成功みたいだな。
俺はちょっと離れたところで、美波さんと一緒にステージを見ていた。
「さて、ライブはトライアイドルに任せて俺たちはリゾートでぽーっとしよう」
「そうね。せっかくのリゾートだからね」
昨日はダイビングでアクティブに動いたから今日はのんびりしよう。
やっぱりリゾートはアクティブとのんびりが両方楽しめるのが贅沢だな。
アイドルのお話に戻りました。
アイドルと一緒に南の島で何しよう。




