第57話 俺はかわいい女の子がびっくりする顔が好きだ
「わー、着いたぁ。すてきなとこね」
みゆちゃんが嬉しそうに言っている。
「本当に宮古島なのね。昨日までここに来るって考えもしてなかったわ」
美咲さんが応える。
トライアイドルのコーディネータを依頼してここに来てもらった。
「美咲さんが一緒で心強いわ。ここでPV撮影もするって話だし初めてのことばかりだから不安だったの」
「PV用にみんなお揃いの白の水着を用意してますよ」
「水着! 早く綺麗な海で泳いでみたいわ」
他にも、トライアイドルの5人。
今回は3人のチームではなく、全メンバー6人が来ている。
そして、もうひとり。
「いやぁ、楽しみです。ガンガン動画撮りますよ」
ユーチューバー・シバだ。
「はい。宮古島について喜んでいるシーン行きますよ。準備いいですか?」
「「「「はーい」」」
トライアイドルの6人が集まって、いきなり動画撮影が始まった。
ユーチューバーの彼は、台本無しにいきなり始めるのが得意だ。
「きらきらりーん。シバのアイドルチャンネル。きょうはこの娘達だよ」
「「「トライアイドルでーす」」」
「そう、今、話題の試食アイドル、トライアイドルさん達と宮古島にきてるんだ」
さすが、ユーチューバー・シバ。
アイドルをノセるのもうまいらしい。
☆ ☆ ☆
「ウエルカム、宮古島~、みゆちゃん」
「あ、悠斗さん。本当にきちゃった」
「うん。よくみんな来れたなぁ」
「だって、悠斗さんの招待だもん。どんな予定でも全部キャンセルして来るって」
みゆちゃん、あいかわらず、かわいい。
ピンクのTシャツにデニムパンツ。
ラフな格好もかわいいね。
元々かわいかったけど、トライアイドルとして人気が出てから、もっとかわいくなった気がするぞ。
女性って、見てくれる人が多くなれば多くなるほど美しくなる。それって本当だな。
「さて。行きましょうか」
「えっ、だけど、車ないよ。歩いていくの?」
「そんな訳ないだろ。みゆちゃん達のために、あれ買っちゃったぞ」
「あれって? もしかしてあの豪華なクルーザー?」
うふふ。驚いているな。
いきなりクルーザーは、想定通り驚くらしい。
「そうだよ。12人乗りだから、ちょうどいいかなと思ってな」
「嘘ッ~」
うんうん。
そのみゆちゃんのかわいい驚いた顔だけで、クルーザーを買った価値があるな。
「みんなー。あれで行くんだって~」
「「「ええー」」」
みんな驚いているな。よしよし。
えっと、美咲さんとユーチューバー・シバだろ。
あと、トライアイドルが6人。
大樹さんと俺で全部で10人。
ちゃんと定員内だな。
本当にちょうどいいサイズのクルーザーだったな。
「さぁ、みんな乗ってくれ。出発するぞ」
☆ ☆ ☆
ところ変わって試食ステージが行われる大樹さんの民宿前。
すでに80人ほどが集まってきている。
男女比は7:3で男が多いが、女も意外といる。
トライアイドルは女性人気もなかなかあるのだ。
その観客のうち3人ほど、かわいい女の子がいる。
その子達に声を掛けている男がいる。
「ねぇ、君たちさ。一緒にクルージングしない?」
その男は、悠斗達が泊まっているリゾートでブラックカードを見せびらかしていたボンボンだ。
「ええっ。これからアイドルのステージだって」
「いいじゃないか、そんな田舎アイドルなんて。クルージングの方が楽しいよ」
「クルージングって、どのボートで?」
「ほら見てごらん。あそこのクルーザーだよ」
「うわぁー、すごい。あのクルーザーの持ち主なの?」
「もちろんだよ」
本当はパパのだけどね。
あのクルーザーは6人乗りだから、この3人と一緒だとちょうどいいな。
クルーザーの中にはお酒もたんまり積んであるから、酔わせてあんなことやこんなことを。
「宮古島だとこんな大きなクルーザーはないだろう?」
「うん。見たことないわ。他のは漁船かヨットみたいのだから」
「どうだい。一緒にクルージングしてみないか?」
よしよし。
やっぱり南の島では車よりクルーザーだな。
女の子ウケが全然違う。
パパ、貸してくれてありがとう。
ブラックカードボンボンは女の子ウケが良くて喜んでいた。
そこに別のクルーザーが近づいているとは知らずに。
ブラックカードボンボン再登場。常連化してしまうのか?
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