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第48話 俺は贅沢の意味を知ることになった

ブクマ8093件になりました。いつの間にか200万PV超えしました。ありがとうございます。


俺は美女とふたりだけでプライベートプールにいる。

南の島の燦々と輝く太陽の下で。


プールというと授業で25mを泳がされたことばかり覚えている。


元々、努力するのが苦手な俺は、がんばって泳げるようになるクラスメイトを横目にそれなりにやっていた。

美女と一緒にプールで戯れるなんて考えたことなかったな。


「これだけのプールがあるのだから泳がないとね。ちゃんと泳いだし、さぁ、上がりましょう」

「えっ、もうか?」


美女と戯れタイムは終わりらしい。


「リゾートではね。のんびり過ごすのがいいのよ。だらだらと」

「それは賛成だ」


また俺は、ビーチベッドにうつ伏せに寝転ぶ。

しかし、本当の目的は、反応してしまった一部分を隠すことだ。


美波さんは俺のビーチベッドのすぐ横に自分のビーチベッドを移動させて、やはり寝転ぶ。


「やっぱりいいわね。リゾートって」

「そうだな」


美波さんは目を閉じている。

寝てしまうのか。


俺たちが今いる場所は、ビーチから少し入った丘にある。


見下ろすと林の向こうに白いビーチが見える。

そこもリゾートのプライベートビーチなので、それほど人は多くない。


「私、贅沢が好きなの」

「そうだな」

「だから、エスコートコンパニオンになったの」

「そうか」

「だけど。エスコートコンパニオンだと贅沢は味わえないわね」

「そうなのか」

「そりゃそうよ。依頼してくる男にとって私はアクセサリーにすぎないのよ」

「そうだな」


俺も美波さんをそんな感じで利用している。


マンションを買うときの同伴者としてエスコートを頼んだ。

新居パーティのときのコンパニオンとして頼んだ。

そして、今回はリゾート旅行の同伴者として頼んでいる。


「あ。悠斗さんは別よ。十分贅沢を味わせてもらっているわ」

「そうなのか。ほかの人とは違うのか?」


分からないな。

エスコートを頼んでいるのは同じはずだが。


「ほかの男は自分の財力を見せつけるために私を使うの」

「そうか」

「おしゃれな服を着て高そうなアクセサリーをして。スマートな対応ができる美女を連れている。それが男のステータスなの」

「そういうものなのか」


どうも俺は、そういうのは興味がないらしい。

ひとりでは恰好が着かない所へ行くのに、美波さんをエスコートで依頼する。


必要性があってしていることだ。

今回はひとりでは寂しいというのも入っているが。


「だから、男はアクセサリーの私の気持ちなんて気にしない」

「そうなのか」

「悠斗さんは違うわ。私が喜ぶことをニコニコとみていてくれる」

「そうだな」


そうか。それか。

分かった気がする。


俺が美波さんと一緒にいると快適な理由。


贅沢を肯定的に受け入れる美波さん。

微妙な反応をしてしまう俺。


美波さんを見ていると、こういう贅沢が快適なんだということが感じられる。

俺は美波さんを通して贅沢を受け入れているんだろう。


「だから、悠斗さんと一緒にいるとつい、エスコートコンパニオンだって忘れてしまうの」

「そうだな」

「あ、最初の日のこと、思い出したでしょう。ごめんなさい。あの日は暴走してしまって」

「いいんだ。あれはあれで面白かったからな」


めんどくさい愛人というのはどんなものか。

まだ愛人を持つ前に体験させてもらったからな。


「中にはね。ひどいクライアントもいるのよ。一番嫌なのは親が金持ちで甘やかされたボンボンね」

「そうなのか」

「お金の使い方が綺麗じゃないわ。いかにもって感じで金で人をこき使って。そんなんで優越感を感じているんでしょうね」

「それはイヤだな」

「でしょ。先月のクライアントがそれで参ったわ」

「俺は違うのか?」

「悠斗さんはクライアントじゃないの。この1週間はね」


えっ、そうなのか?

リゾートに1週間、エスコートを頼んだつもりでいたんだが。


「えっ、まさか。私がお仕事で来たと思ってないでしょうね」


あ。ちょっと顔が険しくなったぞ。

まずいな。そういえば、何も考えていなった。


リゾートにひとりじゃつまらないから。

それしか考えてないぞ、やばい。


「そ、そんなことは、ないぞ」

「あ、噛んだわね。悠斗さんが噛むときは、考えていなかったことを言われたときよ」


なんと、そんな癖が俺にあったのか。

だいたい、そんなこと、よく見抜いているな。


「あーあ。プライベートで誘ってもらったと思ったのになぁ」

「そうだ。プライベートだ。だから、料金交渉していないだろう」

「それもそうね」


終わってから請求書が来るんだろうと思っていた。

払えないような料金になるとは思っていなかったから、あいまいなまま頼んだんだがな。

それは黙っていたほうがいいだろう。


「ね。私を悠斗さんの愛人にしてくれない?」

「愛人か」

「結婚してくれなんていわないわ。恋人じゃなくてもいい。都合がいい女でいい」

「なんでだ? 美波さんになんのメリットがあるんだ?」

「贅沢をさせてくれるわ。悠斗さんと一緒にいると」


分かりやすい考えだな。

そこまですっぱりと贅沢のために愛人になると言われると潔さまで感じてしまう。


「私ね。贅沢がしたいの。私が育ったのはとっても貧乏な家だったの」


それから、美波さんは生い立ちを話し出した。


贅沢って、人によって違うんだな。俺にとっての贅沢って何だろう。

そんなことを考えている主人公でした。


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