第46話 俺は現金主義を捨てることにした
ブクマ7775件になりました。ありがとうです。
現金1憶円は重いからという理由みたいです。
話はちょっと前に戻る。
現金主義の俺も、最近は面倒くさくなってきた。
1憶円を持ち歩くには、ナップザックに10㎏の紙を入れることになる。
重いし、扱いづらいし。
「それなら、プレミアムカードにしませんか」
マンションのコンシェルジュに相談したら、紹介されたのがアメリカ系のプライベートバンク。
プライベートバンクなら、スイス銀行が有名だが、運用よりも資金を移動させるならアメリカ系のプライベートバンクがお勧めらしい。
「パラジウムカードがあれば便利ですよ」
クレジットカードには、ゴールドカードやプラチナカードと言ったランクがある。
さらに上級ランクになると、ブラックカードが発行される。
しかし、さらにその上があるという。
それがパラジウムカードらしい。
ゴールドカードと言っても金色はしているが、金で作られている訳ではない。
だけど、パラジウムカードは実際に希少金属のパラジウムで作られている。
パラジウムカードの発行条件は最低30億円の運用資金を預けること。
だから、パラジウムカードを持つ人は30億円までクレジットカードで使用できるとみなされる。
ほとんど無制限に使える訳だ。
それを聞いたとき、使っても無くならないチート財布と似ているな、と思った。
もっとも、30億円使うとなくなるから、本当は無制限ではない。
チート財布は30億円ではなくならないことは確認済みだ。
パラジウムカードを作るため、4時間ぶっ通しで財布から金を取り出してみた。
その結果50億円まで引き出すことに成功した。
そのお金はプライベートバンカーに引き渡して、後日パラジウムカードが発行されるということになっている。
その引き取りをしてから、南の島に旅立つ予定だ。
☆ ☆ ☆
「これがパラジウムカードになります」
初老のプライベートバンカーが1枚のカードを差し出した。
銀色に輝くカード。
重さは普通のクレジットカードより重い。
金属製なので、厚さは変わらないが重さが5倍ほどある。
それでもカードなので、重すぎるということもない。
「まぁ、元の1万円札だと500㎏だから軽いか」
「そうですな」
プライベートバンカーは、感情を顔に出さない。
いつも穏やかな感じがある。
「これはどこでも使えるのか?」
「高級なところなら、どこでも使用可能です」
「そういうものなのか」
まぁ、明日から高級リゾートだ。
現金は少しだけ持っていくことにしよう。
1000万円の束を3つだけだな。
最高のプレミアムカードを持っても現金を手放せない俺だった。
パラジウムカード、便利そう。




