第45話 俺は旅に出ることにした
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第6章 美女とリゾート編が始まります。
マンションを買ったり。
アイドル育成をしたり。
人助けをしたり。
俺はいろいろなことを一遍にやりすぎて疲れてしまったようだ。
一度都会を離れて静かに旅行でもしてみるか。
お金に困ることはないし、時間もある。
仕事はしないでもいいし、時間は自由に使える。
今の俺は、そんな環境にあるのに、なぜか実感できるようなことはしてこなかった。
いつも、忙しくしていた。
お金と時間があると、なにかしなければ、と思う変な癖がついていた。
お金がないときは、そんなガムシャラに仕事をすることはなかったのにな。
月に15日だけ働いて、それで得られる収入でつつましく生活する。
そんな生き方がガラリと変わって2カ月ほど経つ。
毎日、いろんなことをやっている俺。
意味が分からないな。
ここでひとつ。
1週間くらいはお休みにしようか。
☆ ☆ ☆
「それで、どこに行きたいの」
「どこでもいいんだ。のんびりできるとこ」
旅行する話は美波さんに話していた。
だから、ちょっと相談してみた。
「私も時々、のんびりしたくなるのよね~。そんなときは絶対リゾートよ」
「リゾートか」
「南の島でのんびりする。これこそ一番の贅沢よ」
「それもいいな」
南の島、特有ののんびりした時間。
たしかにいいかもしれないな。
「リゾートで美女と一緒にトロピカルドリンクを飲むの」
「ん? 美女ってなんだ? 一人旅だぞ」
「何言ってるのよ。私が一緒に行くに決まっているじゃない」
なぜか、そういうことになっているらしい。
一人旅のイメージだったんだが。
美波さんはもちろん贅沢が大好きだ。
俺との旅行なら思いっきり贅沢な旅行ができる。
そう思って勝手にイメージを膨らませているらしい。
本当は、そんな贅沢な旅行でなくてもいいんだが。
宿があって、食事がある。後は移動手段。
それだけあれば、旅行には十分だ。
だけど、相談した相手が悪かった。
最初から同行して贅沢旅行に決めていたらしい。
「じゃあ、タヒチあたりにしましょう」
「駄目だな」
「なんでよ?」
「俺はパスポートがない」
「なんでないのよ」
「海外なんて行ったことないし。あまり行くつもりもなかった」
このあたりは、まだ草食系が残っているな。
海外旅行なんて、いかなくていいって思っていた頃と一緒だ。
「しょうがないわね。じゃあ、沖縄。沖縄だって、南の島よ」
「沖縄か。それはいいかもな」
「沖縄でも離島がいいわ。そうね。宮古島。いいリゾートがあるのよ」
美波さんが勧めてきたのは、宮古島にある高級リゾート。
そのリゾートには、スイートルームがあって、1人1泊40万円らしい。
「一度でいいから泊まってみたいのよ」
「一度でいいのか? とりあえず1週間は泊まろうと思うのだが」
「えっ、1週間! うれしい」
「お仕事の連絡もあるでしょ。私がいれば専属秘書にもなるわ」
それはいいかもしれないな。
いろいろと関わっていることも多くなってきたから、電話番くらいは必要だろう。
「よし、行くか。まずは1週間。その後はそれが終わってからでいいか」
南の島に行く。
ただひとつ、やっておくことがあったな。
それだけ済まして、飛行機に乗ろう。
南の島でのんびりしたい。
ちょっといいかも。




