第39話 俺はアイドルの進化に手を貸した
ユーチューバーが登場した。
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「それでですね。ドローンを使うとこんな感じになります」
「面白いなー。それ。ガンガン使ってみよう」
「撮影方法はふたりで決めてくれていい」
トライアイドルの試食販売3日目。
ユーチューバーが参加することになった。
ドローン操縦のプロも来た。
みゆちゃん達トライアイドルを立体的に撮影しようというのだ。
今日の試食はやみつきカレーだ。
なんと作るのに3日もかかるというこの逸品。
知る人ぞ知るカレー店のマスターを口説いて商品化したものだ。
「とにかく一度食べたらやみつきになります」
そんなマスターの一言を信じての商品化、そして試食実演だ。
「試食はこれでいいですか?」
ななちゃんが小皿にちょっとご飯を乗せてカレーをかけている。
スプーンをつけて試食セットが完成だ。
早速、俺がそれを試食してみる。
おっ、うまいじゃないか。
そこそこ辛いけど、ただ辛いだけじゃないから辛いのが苦手でも食べられてしまうだろう。
「はい、インタビュー入ります」
そう言って試食カレーを作っているななちゃんにマイクを向けているのは、チャラい兄ちゃん。
有名なユーチューバーだ。
シバって名前で活動している。
元々は、ペットの柴犬ばっかり撮っていたが、今ではアイドル関係の動画が中心になっている。
強度のアイドルオタ属性をもっている男だ。
俺がネットで見つけて、トライアイドルを取材してもらうことにした。
もちろん、取材費はたんまりと盛ったぞ。
彼は10万人もフォロワーがいる。
もしかしたら、トライアイドルの人気に火が付くかもしれないな。
今回のカメラはドローンを使ったもの。
高いところからの撮影もできる。
どんな映像になるのか、今から楽しみだ。
「それではスタートします。こんにちはー、アイドル大好きシバです」
はじまった。
まずは、ユーチューバーとななちゃんのトークだな。
うん、ななちゃん、かわいいぞ。
よし、インタビュー終わった。
次は歌が入るな。
スーパーの店頭は、すでに観客が集まってきている。
もうすでに2日間試食をやったから、今日もランチするって、男子学生を中心に知られてきているんだな。
「恋の試食販売も聞いてください」
うん、みゆちゃんも慣れてきたな。
おっ、振りが全然変わったな。
アイドルっぽい、しぐさがいいぞ。
昨日の夜、振り付け師を手配した。
ソングライターの一輝のリクエスト。
彼の一押し振付師に無理を言ってきてもらった。
振付師のトライアイドルのPVを見た最初の一言はこれだった。
「もったいない。振り付けが普通すぎる」
もちろん、振り付けが新しくなった。
しかし、みゆちゃん達、どんどん良くなる。
それを見ている俺は、本当にプロデューサーみたいだ。
シバみたいなアイドルオタクではないけど、俺も普通にアイドル好きだ。
何十枚かDVDをもっている程度にはな。
そんな俺がアイドルをプロデュースする。
そんなことができるのもチート財布のおかげだな。
特別な知識もない俺がいろんなプロに依頼できるのも、チート財布パワーだ。
お金があれば、なんでも、とは言わないが。
相当レベルでやりたいことができる。
アイドルのプロデューサーみたいなこともできてしまう。
本気でそれを仕事にしている人から見たら、笑われそうだが。
「いいなー。トライアイドル」
「そうなのか、シバ」
「ボイストレーニングとか全くできていない、それがまた粗削り感があっておもしろい」
「そうなのか」
「あと試食との組み合わせが面白い」
「そうなのか」
「この後、試食タイムになったらまた突入するよ。トライアイドルの魅力を発掘するぞ」
「頼んだぞ」
「任せろって」
まぁ、俺みたいなニワカアイドルプロデューサーより、ずっとおっかけしているシバの方がよくわかるんだろう。
しっかりと魅力を発掘してもらうとしよう。
今日からブロマイド付き商品も始まるらしい。
結果はどうなるのか。
これも楽しみだ。
ユーチューバーに期待だな。
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