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第35話 俺はプロダクションに依頼を出してみた

ブクマ6694件になりました。応援ありがとうございます。


「それはもう。みゆ、ですか? それならチーム1ですね」

「衣装も送ったデザインもので?」

「それはもう。完璧です。うちの公式衣装にしたいくらいです」

「それなら、プレゼントしよう」

「本当ですか?」


あ、しまった。

みゆちゃんにプレゼントする予定だったのだが。

まぁ言ってしまったから仕方ないか。


みゆちゃんが所属するデモンストレータ・カンパニー。

スーパーからの公式依頼ということで、1カ月間毎日、試食販売を頼むことになった。


トライアイドルのチーム1の3人。

みゆちゃんがセンターのチームらしい。


「あと。こちらで用意する楽曲も使ってもらえるかな」

「それは聴かせてもらってからでいいですか?」

「もちろん。イメージを壊す感じなら、断ってもらっても結構だ」

「了解しました」


よし、ちゃんとプロダクションの了解をもらったし。

楽曲も作るとするか。


 ☆   ☆   ☆


「えっ、すると。あの国民的アイドルの楽曲も作っているのか?」

「いやぁ、作っていると言っても。しょせん影ですから」 


今、会っているのはゴースト・ソング・ライターで一輝さん。

ファッションデザイナーの真希さんは芸能界にも詳しく、楽曲を作れる人を紹介してもらった。


いろんな歌手の歌を作っている。

ただし、ゴーストなので名前は一切でない。

大御所の名前で発表になる。


時には、シンガーソングライターの名前で作る。


「私の仕事はとにかくたくさん作らないといけないんです。単価が安いですから」


彼の作った歌がミリオンセラーになっても一切、彼には入ってこない。

最初の製作代だけが唯一の収入だ。


「自分の名前で発表したくないのか?」

「私の名前では通用しないんです。芸能界はそんなものです」

「いや、通用するとかでなくて。自分の名前での発表はイヤなのか?」

「そりゃ、できれば、自分の名前で発表したいですよ」

「それを聞いて安心した。この件はそちらの名前での発表としよう」

「本当ですか? でも、無名アイドルですよね」

「その通り」


芸能界というのは、いろいろとややこしいルールがあるようだ。

俺は関係ないがな。


「しかし、試食をさせる楽曲ですか。面白い依頼ですね」

「まぁな。試食販売アイドルだからな」

「これから作りましょう」

「どのくらいで完成する?」

「今日中に作りますよ」

「めちゃくちゃ早いな」

「こういうのは、ノリで作るに限るんです」


芸能界の人たちは、意外と協力的だった。

言い換えるとお金でなんとかなることが多いのだ。



 ☆   ☆   ☆


その他にも、こまごまとしたやりとりがあった。


たとえば、スーパーの店主とは、試食販売するものを何にするか。

その計画を立てて、試算もおこなった。


200万円の場所代はすごくよく効いて、なんでも店主は協力的だった。

みゆちゃん達、トライアイドルの3人にも連絡が行って新曲の練習も行われた。


そして、いよいよ、スーパーでトライアイドルの3人による試食販売のスタート当日を迎えたのだった。


いよいよ、アイドル養成が本格スタートしたぞ。


闇金で苦しんでいる人を助けると、なんでも言うことを聞いてくれる。

そんなことを主人公は学びつつある・・・ダークサイドに落ちそうだな。笑


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