第28話 俺は人助けできたのか?
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ありがとうございます!
借金漬けの彼女まだ、寝ていたのかな。
頭はぼさぼさで、すっぴんで、寝間着姿だ。
だけど、ちゃんとすると、かわいい感じになりそうだ。
巨乳ではなさそうだけど。
そうだ。
それだけは確認しておかなければ。
「一つ、質問いいか?」
「なによ」
「バストは何カップだ?」
「Cよ!」
ふーん。ほどよいサイズか。
巨乳じゃないな。
それから沈黙が起きた。
彼女は何も言わないし、俺も巨乳じゃないと分かったら質問はなくなった。
「あの……」
「なんだ?」
「あのお金、どうなるんでしょうか」
「そうだな。返済したから闇金屋さんのものになるはずだろう」
「そうじゃなくて。私はあなたに肩代わりしてもらったということなんですか?」
「いえ。借用書はあなたがもっているな」
「はい」
「だから、それは終わりだ」
なんか、頭を使っている様子だ。
状況確認をしているのかな。
「あ、分かった!」
「何にが、ですか?」
「もしかして、私のことを助けて善人になりたい人?」
「えっと、困っている人を助けたいのは当たってますが、善人なんでしょうか」
別に善人というほどの者じゃないだろう。
チート財布を持っている、ただの男だ。
「わかったわ。あなた、きっと、善人になりたいのよね。すっごいお金持ちで」
「善人より、人助けしたいだけだ」
説明が難しいな。
分かってもらえるのだろうか。
「だけどね。甘いわ」
「そうなのか?」
「そんな簡単に助けられないのよ。甘いわ」
「そうなのか?」
彼女が急に元気になってきた。
さっきまで崩れるように座っていたのに、すっと立ち上がった。
「私、他にも借金あるの。あいつらのだけなんとかしてもダメよ」
「まだ、困っているのか?」
「あと借金が600万円もあるわ。それもなんとかしてくれるって言うの?」
「おう。困っているなら、解決するぞ」
「あー、もう。やだやだ。お金持ちって。借金さえなんとかなれば、とか思っていない?」
「それは分からないな。借金以外に困っていることがあると?」
「私はね、東北の田舎の出身なの。18才の時上京して専門学校を出て、今は21才よ」
別に年齢を聞いたつもりはないんだが。
女性に年齢を聞くのは失礼だし。
「東京ってとこは、魔界よ。買い物という魔物が住んでいる魔界よ」
えっと、魔物が住んでいるのは、魔界というより異世界じゃないか。
そんな突っ込みをしたかったがやめておいた。
そういうことを言いたいとは思えなかったから。
しっかりと空気が読めるようになってきたな、俺。
「いくら稼いだって、すぐなくなっちゃう。欲しい物が次から次へと出てきて、クレジットで買ったらこのザマよ」
そんなに欲しい物があるのか。
俺と違うな。
いくらでも使える財布があっても、使い道、よくわからないしな。
「今、借金なくなっても、同じよ。また、なんか買ってしまって。どうにもならないわ」
「あ、分かったぞ! 買い物をするお金が足りないんだな」
そうそう、巨乳(確定)人妻さんもすき焼きのお肉代がなくて困っていた。
「そうよ。お金がないのよ。欲しい物はたくさんあるのに」
「じゃあ。お金があれば、解決するんだな?」
「あんた、話を聞いていた? 欲しい物がいくらでも出てくるって」
なんか、さっきと違う言い方したぞ。
まぁ、女性の話ってそういうものだって、聞いたことがある。
あんまり気にするのをやめよう。
「どのくらいお金があったら、解決するんだ?」
「1億円よ、1億円。それだけあればなんとかなるわ。どう? 出せやしないでしょう」
「1億円でいいのか?」
デイバックから出してみた。
1千万円の束がひとつ、ふたつ…全部で8つ。
100万円の束が8つ。
「ちょっと足りないな。8千800万円では足りないか?」
「8千800万円って、冗談でしょう」
「残りは明日、とかで大丈夫か?」
「あんた、ふざけているの? それともバカ?」
なんか、ひどい言われようだな。
1億円にしては、ちょっと足りないだけなのに、ひどい言われ方だな。
明日なら用意できるのに。
「とりあえず、今日8千800万円で、明日、1千200万円。それで手を打たないか?」
「もういいわ。訳わかんない。もう、帰ってよ」
「それでは、足りない分はどうする?」
「どうでもいいわ。あんた、帰ってよ」
「分かったよ。帰るよ。このお金は必要なら使っていいぞ」
「・・・・」
「あと、他にも困っているらしいから、電話番号の紙を置いていく」
「・・・・」
「もう帰るぞ」
俺はそのまま、彼女の部屋を出て行った。
☆ ☆ ☆
人助けというのは、なかなか難しいな。
あとは、ポケットに入っている140万円しかなくなってしまった。
今日はもう、闇金屋に戻らずに、帰ろう。
いやー、1軒目はうまくいったが、2軒目はいまいちだった。
人助けというのは難しいものだな、本当に。
しかしまぁ。
今朝、人助けの指針を作っておいてよかった。
人助けにおいては、今の俺の時給感覚を使うってルール。
これは使えるな。
元々、俺の時給は1200円だった。今は、12億円だ。
100万倍になっている。
だから、人助けをするときは、1/100万の価値判断をする。
今日、デイバックに詰めてきた1億円。
1億円の1/100万で、100円。
今日使ったのは、前だったら100円だ。
別に大したことをした訳ではない。
ただし、キャバクラでそんな感覚で使いまくったら、周りの人がおかしくなるだろうな。
だから、お小遣いが1日100万円くらいの感覚でいこう。
普通のサラリーマンだとお小遣いは1000円くらいだろうから、それでも1/1000の価値判断だ。
使うところで価値判断基準を持たないと、ぐちゃぐちゃになってしまうからな。
これからも、このルールは徹底しておこう。
そう考えて、俺はいつものキャバクラに向かった。
大金は暴力だぁー。
どうなることやら。笑




