第26話 俺は闇金屋に戻ってきた
ブクマが5662件になりました。ありがとうです。
今日の5話目の更新です。今日は夜にあと1話を更新予定です。
「ただいま」
俺は闇金屋の事務所に戻ってきた。
事務所にはさっきいなかった人がいる。
兄貴と受付女さん。
このふたりは朝もいた。
偉そう親父とチャラい若者。
このふたりが新登場だ。
「兄貴、お世話様でした…じゃなくて、だったな」
今度は注意される前に気づいたぞ。
闇金らしさがすこしは身に着いたか?
「あ、帰ってきた」
「あいつがそうか?」
偉そう親父がギロリと俺を見た。
迫力がハンパないな。
「こんにちは! 今朝、同行を頼んだ者だが」
「おお。話は聞いている」
「それはよかった」
偉そう親父がニカッと笑った。
だけど、やっぱり怖い。
「それでだな。次はどうするんだ?」
「もちろん、また同行を頼む」
「わかった」
偉そう親父が合図する。
チャラい若者が何やらごそごそと準備する。
何枚かの紙を重ねて、ホチキスで閉じている。
それを偉そう親父に手渡した。
「これが滞納している客のリストだ」
「たくさんいそうだな。楽しみだ」
「いくらでもいるぞ。で。どんな奴がいいのか?」
「どんなとは?」
「男か、女か。若いのか、老人か」
俺が選んでよいのか。
なかなかサービス旺盛だな。
「やっぱり、若い女が良いだろう」
「それなら、それで」
「分かった。そうだな」
パラパラと手渡された紙をリストを見て選んでいる。
「こいつなんかどうだ。どうしようもないやつだ」
「もしかして、困っているのか?」
「あー、困っているぞ。他のとこから回ってきた債権なんだが、まったく返す気がない女でな」
「その女も困っていると思うか?」
「あー。借金に追いまくられているから困っているだろう」
「いいな、それ」
その女で決定した。
これからその女を追い込みを掛けるために出かけることに。
それも今度は、偉そう親父と兄貴とチャラい若者の3人セットだ。
おー、すごく怖いチームだ。
「お前はどうするんだ?」
「俺は後から行っていいか」
「おう、そうするか。お前が出てくるまでに追い込みをしまくるぞ」
いや、そんなに頑張って困らせなくてもいいんだが。
やる気十分になっている偉そう親父だから、下手な口だしはよくないだろう。
「よし、いくぞ」
偉そう親父の車、ベンツで行くらしい。
俺達はベンツに乗り込んだ。
俺はベンツの後部座席で偉そう親父と並んで座っている。
運転はチャラい若者で、助手席が兄貴だ。
「この車はな、12年落ちで買ったんだ。50万だ。安いだろう」
「おお。なかなか、リーズナブルな値段だな」
ちゃんと普通の金銭感覚で答えておいた。
「しかし、お前が700万円も回収してくれたからな。もうちょっといい車にできるな」
「回収したのは、俺じゃない兄貴だ」
俺は単に金を出しただけだ。
いや、金を出したのは財布か。
俺はそれを右から左に移したに過ぎない。
宅配便だと配達人みたいなものか。
「そうだったな。お前はただ、通りがかっただけだ」
そういう設定として決まったらしい。
俺はたまたま通りがかる善意の第三者って設定だ。
俺が人助けするには、ちょっどいい役割だ。
まるで、副将軍の時代劇みたいかな。
印籠の代わりに札束だ。
それとも、チート財布かもな。
「ここだ」
ちょっと小奇麗なマンションだな。
それも、若者の街として俺も知っているとこだ。
確か、住む場所として、人気があったはずだ。
このマンションの女を助けるってことだな。
5月末に僕の書籍化した作品の第2巻発売になります。
『超強力な土魔法使いの実力。土建チートで巨大建造物を造って世界を変えてしまっています2』
なろうでは、ここで連載しています→ https://book1.adouzi.eu.org/n9609et/




