第22話 俺は闇金に遊びいくことにした
キャバクラシリーズから、闇金シリーズへ。なんか裏街道歩いている主人公。何したいのかな。
6日でローファンタジー月間2位になりました。ブクマは5506件で5000越えしました。ありがとうです。
俺はネットで検索して探し出した闇金に来ている。
実は簡単に闇金が見つかると思ったら甘かった。
闇金でサイトを出しているとこはないらしい。
確かにそんなことをしたら、表になってしまうから闇金じゃなくなる。
そこで俺は債務者になったつもりで、とにかくどこでもいいから貸してくれそうなとこを探した。
電話でその話をして、「なんでも貸す」というスタンスのとこを見つけた。
どうみても、闇金だろう。
その闇金は新宿の繁華街の裏通りに立つ雑居ビルの4階にあった。
エレベータがないから、タワーマンションの47階より上るのが大変だ。
「お電話の方ですね」
「おう」
「それでは担当の者をつれてきます」
うーん。ちょっと崩れた感じの女性だな。
年齢は30歳くらいか。
彼女も、お金に困ってここで働いているのかもな。
「おー、待たせたな」
現れた担当者。
『ザ・街金のおっさん』
そんなテロップが出てきそうな感じだ。
角刈りの頭。
無精ヒゲ。
変なアロハシャツ。
金のぶっといネックレスと、本物かどうかは分からない金色のロレックスみたいな時計。
「で、いくらなんだ?」
「30万円で、どうでしょう」
「あ。それだけでいいのか?」
「はい」
「身分証明書を出せ」
「あ。もってきてません」
「あ。なんだ? お前、俺たちをバカにしているのか?」
やばい、怒らしてしまった。
お金の問題からどうにでもできる自信があるが、暴力はダメだ。
きっとこれは、誤解があるのだ。
まずは誤解を解かないといけないだろう。
「これなんですが」
誤解を解くにはこれが一番ということで、封筒入りの現金を出してみた。
「なんだ、これは」
「30万円です」
「はぁ?」
「だから、30万円です」
「あれっ? お前、返済なのかよ。ごめん、勘違いした。おーい、蘭子!」
おしい。
ニックネームはランちゃんになるのかな。
キャンディーズ、コンプリートを狙えるかもな。
「はい? なんでしょう」
「こいつ、借入じゃないだろ。返済だ」
「そんなはずないです。相談したいって」
「こいつの借入金はいくらか?」
「だから、初めてのお客さんです」
どうも、混乱させてしまったらしいぞ。
頭がよくなさそうなおっさんだから、すぐに暴力になりそうだ。
俺の用件を説明させてくれないかな。
「うちの客ではない?」
「借金のことで相談に来た人で、うちの客だわ」
「まだうちでは借りていないのか?」
「初めての来店よ」
俺の顔と、30万円入りの封筒を見比べている。
よくわからないって顔はしているが、30万円入りの封筒を自分の内ポケットに入れたぞ。
「まぁいい。これは預かっておく」
「はい。それで相談なんですが?」
あれ。
なんか言葉遣いがおかしいぞ。
いつもは、タメ口なんだがな。
こういう暴力がでそうな状況だと、俺は丁寧語になってしまうのか。
要は俺って小心者だってことだな。
「よし、聞こう。言え」
「はい。よかったら、取り立てに同行させてほしいのですが」
やっぱり、丁寧語だ。小心者が決定だな、俺。
「あぁ? 取り立てに同行だぁ? なんで?」
「ちょっと勉強のためにでして」
「あー。もしかして、同業か?」
「うーん。違うと思います」
ニートだけど、闇金ではないとはず。
財布から金を出すのと、高利貸しをするのは、別だよな。
「まぁ、いい。取り立てに同行させれば、30万円くれるということだな」
「そうです。そうです」
よかった、ちゃんと俺の用件が伝わったぞ。
闇金だろうがそこは人間、それも日本人。
話せばちゃんと伝わるのだ。
「じゃあ、いくぞ」
「もうですか?」
「すぐにいくに決まっているだろう」
「分かりました」
「お前、そのしゃべり方やめろ。闇金らしくないだろ」
そういうものか、となると。
「わかったぜ、兄貴。よろしくな」
「そうだ。それでいい。行くぞ」
よし、計画通りだ。
思ったより簡単に取り立てに同行できることになった。
☆ ☆ ☆
「このアパートだ。お前は少し離れていろ。お前じゃインパクトがないから逆効果だからな」
「わかったぜ。離れてみているからよろしくな」
まぁ、同行だけだから、見ているだけで俺の役割はない。
闇金おっさんは、ボロアパートの外階段を上がっていく。
「おい。いるのは分かっているんだぞ」
ボロアパートの2階で3つある部屋の一番奥。
203号室。
そこに闇金のお客さんがいる。
それも相当滞納している感じだ。
「おい、出てこないと、壊すぞ」
いないんじゃないのかな。
出かけていることもあるんじゃないか。
「ちゃんと、電気メーターが回っているのは確認してあるんだぞ」
あ、そういう確認をしているのか。
一応、ちゃんと考えているのだな。
「でてこい。でてこないと、騒ぐぞ」
騒ぐ?
なんだ、その脅し文句は?
「皆さん~。聞いてください~。この部屋の女性は、お金を借りて返さない人で~」
「や、やめてください」
あ、出てきた。
さすが、取り立てのプロだな。
闇金さんと仲良くするらしい。




