番外『マグロス』編13話 俺は高音の歌姫がカギになると知った
「だからさ。新しい歌作ってくれ」
「いきなりですかっ」
みゆちゃんに、『みゆちゃんの歌』って自信を持って言える歌を作る。
しっかりと、約束をした。
しかし、実際に俺が歌を作れる訳でもなく、やっぱり、こいつに頼むしかないな。
「だからな、一輝。時代を超える歌を作ってくれ」
「それって、ムチャブリですよ」
どんな歌がいいのか。
イメージすらない。
しかし、時代を超える歌だというのは決まっている。
「予算はしっかりと用意するぞ」
「えっ、どのくらいです?」
「お前が必要だと言う額だ!」
俺の大切な嫁、みゆちゃんのために作る歌だ。
安っぽい歌にしないぞ。
「あ、ひとつ、アイデアがありまして」
「よし、それ、採用!」
「えっ、そんな聞く前から」
「お前の顔を見れば分かるぞ。すごい歌ができるって。自信あるんだろう」
「はい。もし、私のアイデアが実現するなら、完璧です」
「で、どんなアイデアなんだ?」
はぁ~!? 小諸竜哉だって?
おいおい、あの人、終わった人だよな。
20年以上前なら大ブームでCD売上トップ10のうち7曲も入ったという伝説のプロデューサー。
出す曲が連続でミリオンばかりで、歴史に残った人じゃないか。
「だから、オワコンじゃないんですよ。隠れて活動しています」
そうなのか? さういえば、ちょっと前にアイドルに楽曲提供したと聞いたぞ。
だけど、あんまり評価良くなかったはずだ。
いかにま小諸曲で、古臭いって。
「あれは、制約がありすきで失敗したんです」
うーむ。小諸がみゆちゃんをプロデュースね。
まぁ、お金に困っているみたいだから、依頼すれば飛びつくとは思うが。
「それじゃダメです。小諸竜哉の本気を引き出さなきゃ」
あんまり乗り気にならないな。
それだったら、一輝がやった方が今時な曲になるんじゃないのか?
「私の曲は小諸さんのテクニックが相当入っているんです」
えっ、全然違うじゃないか。
あ、そうか。時代の先を行くとか、レトロ新しいとか。
そんなアレンジ方法が小諸流なのね。
「だから、15年以上本気を出していない小諸さんの本気を引き出したら、新しい世界をつくれるはずなんです」
「おまえが、それ、保証するんだな」
「もちろんです」
よし、決めた。
俺はみゆちゃんのみゆちゃんらしい歌を作りたい。
そして、一輝はそれを小諸プロデュースで作らせたい。
もし、小諸竜哉が本気でみゆちゃんをプロデュースしたいとなれば、いけるな。
一輝の自信満々な顔をみていたら、そう思ってきた。
「ただし、そのためには条件があります」
「なんだ? 金か?」
「金は必要です。小諸さんに準備金として3千万円用意してください」
「おう。本気であたる以上、そのくらいは用意するぞ」
「もうひとつ、小諸さんを本気にするためにデモ音源を私が作ります」
「ほう。どんなのを作るんだ?」
「うふふ。これが小諸さんを本気にさせる一番の武器です」
「なんだ?」
「みゆちゃんの高音です」
あ。確かにマグロスで歌っていた時のみゆちゃんの高音は素晴らしかった。
透き通るような声。
「いえ、そのレベルの高音じゃなくて、もうふたつくらい上です」
そんな声出るのか?と思ったら、一輝はすでに試しているらしい。
いつか、その音を使ったみゆちゃんの曲を作りたいと思って隠してしたらしい。
「なら、自分で作りたくないのか?」
「無理です。本気でみゆちゃんの高音をアレンジするなら、高音の魔術師、小諸さんの力がいるんです」
そういうものなのか。
あ、だけど、小諸さんを本気にさせるデモ音源は作りたいのか。
一輝だって、このくらいのは作れるんだと、小諸さんにぶつけて、「これ以上の、作れますか?」ってな。
小諸竜哉が終わっているなら、そこで白旗を上げるな。
まだ、やりたいという気持ちが残っているなら、「俺にやらせろ」となる。
うん、それは面白い。
「それと、芸能界をバックにつけましょう」
「あー、小諸竜哉と仲のいいプロダクションを口説くのか?」
「いえ。そこじゃありません。バーリングです」
バーリングプロダクションって、あまりぴんと来なかったが、調べてみたら芸能界のトップのプロダクションだった。
元々、バーリング自体はそんなに大きくはないが、バーリング傘下のプロダクションも入れたバーリンググルーブになるとすごい。
人気がある芸能人の多くは、そこだったのか、となる。
バーリングの社長は、自社のプロデューサが育つと独立させて新しいプロダクションを作らせてしまうらしい。
一声、バーリング社長が号令を出すと、芸能界なら大抵のことは通ってしまうと言われている。
そんな伝説的なプロダクション社長なのか。
ここはひとつ、芸能界にもツテがある人に電話してみないとな。
「あー、渋川社長。バーリングに話を通してほしいんだが」
「はい。バーリングの社長でいいですか?」
直接知っているのかよ。
えっ、ゴルフ友達だって? えっ、俺のことスカウトしたいと前に言われたって?
聞いてないよ、そんなこと。
まぁ、話を通すための会合は簡単に用意してもらった。
明日の夜、ずいぶんと早いな。
「一輝、バーリングは大丈夫そうだ。他には?」
「あとは、小諸さんがどうでるかによって変わります」
「そうだな。じゃあ、小諸竜哉に接触する必要があるな」
「ええ。それは私からやってみます。失敗したら、別ルートでお願いします」
おっと、まだ、渋川社長につながったままだった。
えっ、報告があるって?
「1千万円社員にあの小諸竜哉が応募してきていまして」
「ええーーー」
どうも、このプロジェクト。
高次元の介入が起きている感じがするぞ。
俺たちの運命の輪が高速回転するようだな。
こそこそと書いている、新作。
お気楽に書いている「100円均一ショップの商品を異世界で売ったら」。
似たような作品もあるけど、商品転売物を書いてみたかったんだよね。
それと、都合が良い美少女が出てきて…あ、ロリ属性が高いので、それ無い人には勧めません。(きっぱり)
ここ↓
https://book1.adouzi.eu.org/n1099gl/




