番外『マグロス』編10話 夏山登山になるとは思わなかった
「ここが、おもと古道の入り口だよ」
「えっと、ここじゃなくて。御許山の登山口があるはずだが」
「そんなの知らんな」
宇佐八幡宮の奥宮、大元神社に行くには御許山に登らなければいけない。
だけど、その入口の登山口がどうも分からない。
ネットの中に情報があったから、タクシーに乗れば簡単にみつかるはずだと思っていたら、地元のタクシーも大元神社を知らない。
「な、みゆちゃん。なんで、日本全国にある八幡神社の総本社の奥宮なのに、地元の人も知らないんだ?」
「卑弥呼関連のパワースポットは封印されてしまっているみたい」
それにしても、宇佐八幡宮は観光スポットになっているくらいなのに。
奥宮まで行く人はほとんどいないってことか。
「だけど、奥宮なんだよな」
「ええ。『オモト』でしょ。間違いないわ」
結局、御許山の登山口は分からずタクシーから降りた。
まだ8月の暑い日だったけど、珍しくこの日の大分は薄曇りだった。
「これでカンカン照りだったら、地獄だな」
「ええ。私達が大元神社に行くって知って、蛇神様が雲を出してくれたみたいね」
とにかく、御許山の山頂に向かえばいいんだ。
そう開き直って、アスファルトの傾斜がきつい坂道を登っていく。
「あ、アゲハ蝶」
「本当だな。最近、一緒にいると良く見るな」
「アゲハ蝶は歓迎の合図なの。たぶん、大元神社の神様も喜んでくれているわ」
「それだといいな」
一時間半も坂道を上がって行っただろうか。
やっと、御許山の登山口と書いてある入口を見つけた。
ネットに写真は乗っているけど、このあたりは地名がないようで地図では探せなかったんだ。
「さぁ、ここから山道ね」
「みゆちゃん、元気だな」
「うん。このあたり、すごく気がいいの。都会にいるよりずっと元気になる」
一時間くらいの山登りだと思って、気楽な格好で来てしまった。
登山口まで一時間半も掛かるなら、もっと本格的な格好にすればよかったな。
「あ、ほら。またアゲハ蝶。ここで間違いないわ」
「そうだな」
そこからは山の中の登山道を進んでいく。
登山道と言っても、それほど多くの人が登っている訳ではないので、獣道よりはまし、という感じだ。
でも、みゆちゃんは迷いなく進んでいく。
俺はというと、みゆちゃんについていくのがやっと。
本来の体力なら俺の方が上なんだがな。
まぁ、半年以上病院で寝ていたというのもあるけどな。
「ほらみて。見晴らしがいいわ」
「そうだな」
だんだん俺の口数は減ってくる。
それに対して、みゆちゃんは元気だ。
本当にこれで大元神社に着くのかよ。
そんな心配をしつつ、登っていく。
一度、一番上まで来たと思ったら、峠みたいでまた下がって上がったりする。
いつになったら着くのか。
そんな心配をしていたら、いきなりジャリが敷き詰められている道に出た。
「ここが参道ね」
「ふう。やっと着いたか」
鳥居ではなく、2つの石柱の間を通って境内に入る。
ま、まずは参拝だな。
「賽銭持ってるか?」
「うん」
俺は500円硬貨を入れる。
だいたい参拝するときは500円だな。
二礼二拍手をして、手を合わせる。
みゆちゃんも同時に拍手して良い音がする。
うん、なんか清々しい気分になってきたぞ。
よく分からないが。
「どうだ?」
「えっと。こっちかな」
パワースポットに来ると、みゆちゃんにガイドしてもらうことにしている。
いろんな情報はネットを見れば分かるが、あまり当てにできないと思っているからな。
「あ、ここだぁ。なんか小さい鳥居があるわ」
「ここから先は御禁足みたいだな。入っちゃダメらしい」
「うん。この奥に磐座があると思う。ここから、お祈りしましょう」
「どうやって?」
「瞑想しましょう」
みゆちゃんとふたり。
座って瞑想準備をしてみる。
自然と手を取り合って。
目をつぶり、瞑想を始めると。
キターーーーーーー☆
スピリチュアル体験というとのは、実際に起きるとびっくりするんだ。
パワースポットに参拝する代わりに、↓の☆☆☆☆☆を押してね。
きっといいことあるはずだからね。




