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番外『マグロス』編7話 俺は猫島でインタビューを受けた

「ちょっ、ちょっと。それってフラグを立てたってことですよね」

「ああ。異世界でもないのにフラグが立つとは思わなくてな」

「いやー、そんな理由で死にかけた……フィクションぽいんですが」

「まぁ、それがドキュメントなのかフィクションなのかは読者しだいだな」

「それもそうですね」


しかし、便利な世の中になってものだ。

猫島にいながら、本の打ち合わせができるのか。


もちろん、ネットミーティングアプリがあるのは知っていたが、一気に普及したな。

猫島にいながら、東京で執筆しているライターのインタビューが受けられるとはな。


「しかし、あと2週間だろう。間に合うのか?」

「今回の件は1週間前までに最終原稿を上げればいいと言われています」

「そこから印刷して配本なんだよな」

「ええ。話題系の本ではよくある話です」


こいつ、名前は天野優志と言うライターだ。

本職はゴーストライターだから名前なんて関係ないと言っていたが、俺の本は名前を出せと言ったのだ。


今回の俺の本は、来月9月に発売になる。

なんと出版社はHJ社だというから驚きだな。

去年のHJ誌のマグロスプラモ特集はしびれたぞ。


いきなり「本を出しませんか」とこいつから電話があったときは驚いたな。

7月7日に意識を取り戻してから1週間しか経っていなかったからな。


そして出版して本が本屋に並ぶのが1カ月半後の9月1日に決まっているって言うしな。

そんな短期間に本1冊分の原稿など書けるはずないと突っぱねだんだが、「書くのは僕です」と言いやがった。


本来なら断るところだが、その時は俺の体験談を出さねばならない理由があった。

それは税金だ。


チート財布があるから、税金を出せばいいや、と思っていたんだが。

事故して意識を取り戻したら、チート財布から金はでなくなっていた。


現金やプラジウムカード使いまくっていたからな。

税金がとんでもないことになっていた。


本来自分の未来の金を使っただけだから収入はないと言いたいとこだが、どうみても国税庁が認めそうもない。

だから、俺に何が起きたのかを世間に認めさせるのが一番だと思ったのだ。


「みゃあ~」


おっと、宿の猫がキーボードに乗ってきた。

三毛猫でかわいいのはいいんだが、かまってちゃんで困るな、こういう時は。


「それから半年以上意識不明と。意識が戻るのが7月7日の七夕で、よかったんですよね」

「その通りだ。そのときの話、聞きたいか?」

「あ、あれですよね。奥様へのプロポーズにつながる話」


なんだ、知っているのか。

まぁ、すでに週刊誌に聞かれまくった話だしな。

こいつが知らないはずがないか。


「みゃあ~」

「もうちょっと待て。今、お仕事中なんだからな」

「えっ、どうかしました?」

「あ、こいつだ」

「あー、猫ですね」


本当のことを言えば、本を出す一番の理由はもうなくなったけどな。

税金くらいはS&Sを売り払った金でなんとかなるからな。


もつとも、収入でないもので税金をとられるのもどうかと思うから本はやはり出すことにした。


本を出すのは、「やらねば」ならないことじゃないぞ。

「やりたい」ことかどうかは不明だけどな。


「この本はいいですよ。お金の本質を読者に考えてもらういい機会になります」


そんなことをいうこいつにノセられたっていうのもある。


「時給12億円のニート」と言い始めたのもこいつだ。


魔法とかチートとか、そういうものは興味ある人と全くない人に分かれる。

だけど、お金に全く興味がない人ははとんどいない。


そんなことを言われて、「まぁ、そうだな」と思ってしまった。

結局、「時給12億円のニート参上!」なんてふざけたタイトルの本が出ることになった。


「これからミリオンセラー狙えますよ」


そんなことを言われて、ちょっと本気にしてしまった俺。

その後調べてみたら、この5年で文庫本でミリオンセラーは2冊しかでていないじゃないか。

どっちもアニメ映画になって大ヒットした作品だしな。


まぁ、ミリオンになるかどうかは別として。

俺の不思議な体験が本になるのは本音では嬉しいぞ。


せっかく出すんだから、全く売れないなんてことがない方がいい。


「だから一緒にミリオンを目指しましょう」

なんて言われて…つい、その気になっている。


やっぱり、本を出す以上、「やりたい」を貫きとおして、ミリオンを狙う。

いいじゃないか、そんな夢を持つのもな。


あと2週間ちょっと、か……もう表紙もイラストもできて、あとは本文だけという状態だ。


ネット書店でも予約が始まったようだ。

まだ、全く知られていない本だから、予約が入っているはずもないんだがな。


まぁ、蛇神さんも応援してくれている様子だし、いい線はいくんじゃないか。

期待している俺がいる。


蛇神さんは目立ちたがり屋だからな。

長い間、封印されていたから本になるのを楽しみにしてくれるみたいだしな。


「だいたい、分かりました。後は僕の方でイメージでつなげておきますよ」

「おー、まかせた。読者が夢を持てる本にしてくれよな」

「もちろんです。さー、やるぞー」


俺も「やりたい」を突き詰めてみるか。

まずは、こいつだな。


「にゃあ~」

「おー、よしよし。終わったぞ。遊ぶぞーー」


俺の中に「猫に恋する」要素があるのか、どうか。

本気で調べてみるとしよう。


ということで。


この小説がHJ文庫から本になります。

イラストは黒獅子さんです。『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』等のイラストを描いている方てす。


発売は2020年9月1日、アマゾンで予約受付中です。

よかったら、見てみてね。


時給12億円のニート参上! 使っても無くならない財布を拾ったけど、お金の使い方が分かりません 1

https://www.amazon.co.jp/dp/4798622664


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― 新着の感想 ―
[良い点] なんと! この話は作者の知り合いの話を書いたものだったのかー(棒)
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