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番外編第5話 俺は行列を見て途方にくれてしまった

「さて、開店前の準備の状況はどうかな」


俺は今日の18時に開店する、キャバクラ『エデン』の準備の様子を見に来た。


すると、まだ開店4時間前だというのに、行列ができてしまっている。

たぶん、50人くらいはいるぞ。


「なんで、そんなにいるんだ!」


いくら開店と言っても並びすぎだ。

アイドルのコンサートじゃあるまいし。


今、これだと開店時間になるとどうなってしまうのか。


お客さんが来ないことは想定はしてあった。

だから、あちこちに声を掛けることをした。


だけど、集まりすぎてしまうことは考えていなかった。


「はい。ちゃんと並んでくださいね。整理券を配ります」


あれ? 美波さんじゃないの。

どうしてここにいるんだ?


別に美波さんがキャバ嬢として働くって話にはなっていないんだけどなぁー。


「美波さん、お久しぶりです」


今はもう、俺が結婚したことで愛人関係は解消している。

運転手としての仕事も終わられている。


「じゃあ、ランボルギーニは退職金ね」


と、あっさりと認めてくれた。

手切れ金じゃないとこが美波さんらしいと思ったぞ。


もっとも、悠斗カンパニーとはいろいろと関係があって、

重要な人と会う場合、場のセッティング等々、

やってもらっている。


だけど、今回のキャバクラは関係していないはず。

だいたい悠斗カンパニーも関係していない。


俺のキャバクラ好きを知っている仲間関係で、キャバクラ立ち上げしたんだから。


「悠斗さん、お久しぶりね。つれないんだから」


なんか、キャバ嬢みたいな言い方だな。


「どうして、ここにいるんだ?」

「渋川社長よ。いきなり電話してきて、悠斗さんのキャバクラ、開店前から大変なことになるから、よろしく頼むってね」

「あー、渋川社長の指示か」

「悠斗さんが新しくなにかやると、とんでもないことになるって理解していなくて、何も用意してないはずだって」


うう。読まれている。

キャバクラの中のことは、板橋のキャバクラで黒服店長していた方に丸投げしてあるから、なんとかなると思っていた。

だけど、キャバクラの外までは考えてなかった。


「整理券は2種類用意したわ。1種類は普通のタイプ。もう1種類は特別招待のタイプ」

「なんだ? 特別招待タイプって」

「渋川社長のアイデアで、どうしても悠斗さんのキャバクラに行きたいという人向け」

「そんなの認めたら大変じゃないのか?」

「ふふ。こっちは、悠斗奨学金への寄付付きの整理券なのよ。渋川社長のアイデアね」


なんと。

奨学金に寄付までさせてしまうのか。

そこまでして、俺のキャバクラに入りたい人、どのくらいいるのか。


それは謎だが、渋川社長の指示で美波さんが整理してくれている。


これは安心だな。

俺は開店ちょっと前まで、別のことをしておこう。


☆   ☆   ☆


「キャバクラ『エデン』いよいよ開店です」


俺は入口のドアを開けた。

すると、群衆が待っていた。


「待ってました!」


そう言って、整理券1番を持った若い男が入ってくる。

徹夜組らしいぞ。


どうみても、アイドル追っかけだな。

指名は、美尾ちゃんか。


ケモ耳アイドル美尾ちゃんも開店の日にキャバ嬢として参加してくれた。

週一回くらいはシフトに入ってくれると言う。


本当は人気アイドルなんだから、キャバ嬢なんてやってはいけないと思うんだが、俺のキャバクラは特別らしい。

美尾ちゃんのお客さんなら徹夜組だとしても、当たり前か。


「いらっしゃいませ」


俺は入口でお客さんを迎え入れる。

指名があると聞いておく。


キャバクラ『エデン』は全部で24卓ある広めのキャバクラだ。

今日はキャバ嬢やホストは、全部で40人いる。


開店だから、多めの方がいいと思って出れる人は全部出てもらった。


「おーい俺も来たぞ」

「誠人じゃないか。仕事はいいのか」

「おう。アイドルがいるキャバクラなんて来ない訳にはいかないだろう」

「だけど、徹夜組だろう、その整理券は」

「もちろんだ。有給だ」


うーん、アイドル関係になると行動力すごいもんなこいつ。


そんな感じで整理券12番までのお客さんが入ってきた。

そして、次は特別招待のお客さんだな。


悠斗奨学金への寄付が多い順番に整理券が配られたはず。

一番寄付をしてくれたお客さんには、ちゃんと挨拶しないとな。


「いらっしゃいま・・・うわっ」


特別招待の一番はみゆちゃんだった。

女性のマネージャーと一緒に来ている。


なんと、バレていたのか。っていうより、なんで特別招待の一番なんだ!


「こんにちは。悠斗さん」


うわ、怒っているぞ、このしゃべり方。


「あぁ。いらっしゃいませ、だな」


冷静な振りして、対応をした。


「指名はそうね」

「ホストもいるぞ。中には人気のある男性アイドルもな」

「うーん、それもいいけど。指名は悠斗さん」

「ええっ、俺かぁ」


それって、もしかしたら……説教タイムってことかっ


キャバクラ『修羅場』って名前かも。笑

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