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第180話 俺は遅刻をするのが大嫌いだ

「やってしまった!」


今日は11時には俺の部屋に戻っている予定だった。

しかし、もう12時を廻ってしまっている。


あまりにすごい経営者ばかりの飲み会が終わるのを待って走って駅に来た。


一刻も早く麻布のタワーマンションに戻らないとな。

みゆちゃんが待っているはずだ。


みゆちゃんには、低層階の部屋で待っていて欲しいと言ってある。

メイドさん達のために用意した部屋だ。


客間もあるから、お客さんを泊めることができる。

何より、歳が近いメイドさん達がいるから、お話相手をしてくれているだろう。


「あと、25分でアニメが始まってしまうじゃないか」


時間は深夜12時をちょっと過ぎた頃。


この駅からならタクシーより地下鉄の方が早いはずだ。

俺は久しぶりに地下鉄に乗った。


「みゆちゃんと一緒にアニメを観る。今日の最終スケジュールだ。本当はアニメの前にみゆちゃんとお話がしたかったな」


よし、地下鉄が来た。

これだとギリギリ、オープニングが終わったくらいに着けるはずだ。


まだあきらめていないぞ。

みゆちゃんと一緒にアニメを観ることを。


何故だか不思議だった。

なぜ、そこまでしてみゆちゃんと一緒にアニメを観ることにこだわるのか。


まだアニメ『アイドル大革命』は7話だ。


1クールは13話だから、ちょうど半分だ。

今夜でなくて別の週でもいいはずだ。


しかし、なぜか今日はみゆちゃんと一緒にアニメを観ると決めていた。

今日、一緒に観ないともう一緒に観る機会はないんじゃないか。


どうも、そんな予感がしている。

だから。


なんとしても、オープニングが終わる前に着きたかった。


「あと5分」


麻布の駅を出た俺は、なんとかなりそうだと思った。

しかし、油断は禁物だ。


とにかく急ぐんだ。


俺は深夜で車が少なくなっている通りを横切って走り抜けようとした。


キキキーーーッ。


「うわぁーーーーー」


トラックのヘッドライトを浴びて俺は何が起きたのか分からなくなった。

俺の身体は宙に浮いた。



「事故だー。救急車を呼べ」


そんな声が聞こえた気がした。


最終章 令和の破壊と再生編、始まってしまいました。


何もかも順調なときこそ、最悪なことが起きるものです。


いよいよ、ラストに向かって急展開!


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