第179話 俺は大企業のオーナーを集めて会合をした
「しかし、すごい顔ぶれだな」
「さすがに2日後の話なので、来れる人が限られるか思ったんですが、実際はオッケー率が高くて」
「自動車メーカーに携帯回線会社。日本の名だたる会社の経営者が来ているな」
「ええ。ここにいる経営者の会社の年間売上を合算すると何十兆円となりそうですね」
「そんなか」
さすがに驚いた。
どうして、そんな大企業の経営者が俺の主催する飲み会に参加するんだ?
「ミラクル悠斗効果ですな。最近の経済界の噂もミラクル悠斗が一番人気です」
「本当かよ」
しかし、集まった人たちを見ればあながち嘘とも言えないだろう。
「これでも20名に厳選するのが大変だったんですよ」
「たしかにな。とんでもない大企業ばっかりじゃないか」
俺はここに集まった人たちが日本の経済を動かしていると、感じていた。
そんなすごい人が俺相手に敬語を使ってくる。
「悠斗さん。今日はとても楽しみにしてきました」
「そうか」
敬語を使うのをあきらめている俺としては、なんとも偉そうだなと自分のことを感じている。
「奨学金を始めるようですね。私も基金に参加させてください」
「それはうれしいぞ」
彼は自動車メーカーの相談役だ。
オーナー一族だから相談役になっても権限があるらしい。
「ちなみに。タレントブックを売る気はありませんか?」
アメリカに本社があるネットサービス大手。
すでにタレントブックは目をつけられているらしい。
「いくらくらいの値段がつくものなのか?」
「本気で検討いただけるなら、円で12桁は用意できますよ」
12桁。
一千億円単位ということか?
本気か? それともリップサービスか?
「ちょっと待ってください。あと1年待っていただければ13桁の価値にしてみますよ」
「うーむ。そうなると、本社決済でないと無理だな」
渋川社長。
どういう交渉をしているのだ?
「まぁ、せっかくミラクル悠斗さんにお会いできましたので、お近づきの印として奨学金の一部として使ってください」
小切手の数字がまたすごい。9桁か。
下手したら、チート財布に出会う前の俺の生涯賃金以上ではないか。
「ここに来ている人は雇われ社長はいませんから」
「そうか」
「一般庶民には考えられない数字が飛び交っていますな」
「ああ。俺も驚いているぞ」
「悠斗さんはもっと大きい数字でも余裕ではないですか」
しかし、ひとりひとり挨拶して話しこんでいる。
時間がいくらあっても足りない。
予定の2時間を超えて3時間半にもなってしまった。




