第172話 俺はアニメの予言機能に驚きを感じた
今日はひとりで『アイドル大革命』のアニメを観ている。
ここんとこ誰かと一緒に観ていることが多かった。
みゆちゃんだったり、美波だったり。
それはそれで楽しいのだが、独りで観るのもまた悪くはない。
特に今は、煌の問題で大騒ぎしている時だから、そういうのを置いておいて、素直にアニメとして鑑賞したい。
「うーん。みゆちゃんがいまいちかわいくない」
前からちょっとづつ、アニメ制作チームにアドバイスを入れている。
みゆちゃんのちょっとしたしぐさ。
「こうじゃないんだよな」
微妙に違う。
もじもじするときは、もっと動きが遅い。
ほんのちょっとの違いだけど、その感じがずれるとみゆちゃんのかわいい感じが表現できなくなる。
「えっと、11分12秒の指でくるくるするところ」
こうやってメモしておけば、後で指摘することができる。
ほんとうにちょっとしたとこのこだわり方でイメージが大きく変わるからな。
「おや」
そんな細かいチェックをしていたら、不思議なことを感じてしまった。
アニメの中で煌と他の3人がギクシャクしている。
この回を作っているときはまだ、煌の両親のこと、パロプロのこと、それらはまだ知らなかったはずだ。
それなのに、アニメの中ではもう4人の間にギクシャクした空気が生まれている。
まるで、この後起きる大きな問題を示唆するみたいに。
実際に今は、アイドルが大量参加するイベントを前にジュエリープリンスの4人はあまりうまくいっていないと聞いている。
「このアニメはもしかしたら、予言機能が入っているのかもしれないな」
そんなことを思いながら、アニメを観ている。
「うーん、やっぱり煌の歌はすごいな」
実は煌だけは、声優を別の人がやっている。
声だけでも演技というのはできっこない、という煌の要望を入れての対応だ。
似たような声質の声優さんがやっている。
ただ、歌っているシーンだけは本人の声だ。
声優に煌の歌の真似はできっこないというのが大多数の意見で歌の部分だけ本人出演だ。
「あー、たしかに煌の声はグループだと浮くな」
実際、今はそれが顕著になっている。
パロプロからのデビューも決まっていて、他の3人とのバランスが難しくなっている。
ジュエリープリンセスのセンターはみゆちゃんになった。
ボーカル部分はツートップ扱い。
美尾ちゃんはダンス中心。
紗夜華ちゃんはアイドルスタイルの新型ハープとコーラス部分。
そんな役割分担でグルーブができている。
だけど。
あまりに他の3人と煌の歌唱レベルが違いすぎる。
グループで歌うと、他の3人をわき役レベルにしてしまう。
それはアニメでも既に現れていた。
「バランスが難しいな。どういう形になるのか?」
アニメでも、そのあたりのむずかしさが表現されている。
そして、最後の予告で。
「煌の正体とは?」
おおー、もう、スクープネタを入れてくるのか。
本来、次話はもう完成しているはずだから、そのネタは入っていないはずだ。
となると、来週までにその部分を作り直すってことだな。
また、作画チームは連続徹夜が決定だな。
「そして、オーナー悠斗に迫る危機とは?」
おー、そうだった。
来週は俺がダンプに轢かれるんだった。
ジュエルプリンセスのメイン出資者の俺が倒れてグループが散り散りになるのか、一致団結するのか。
その前に終わる。
それが元々のストーリーラインだった。
アニメのストーリーはどっちに行くのか。
俺もその先は聞いていないから、楽しみだな。
この時、悠斗は自分がフラグを立ててしまったことに気づいていなかった。
「このアニメは予言機能が入っている」って一言。
当然、それは実現してしまうということを。。。。
やばいフラグを立ててしまったらしい。。。




