表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
160/212

第159話 俺はゲーム会社のオーナーになった

「今朝の取引で正式に世界一ソフトウエアの筆頭株主は悠斗さんになりました」


渋川社長から連絡があった。

さらに、ソフトウエア開発をしている現場サイドのトップが俺に会いたいと言ってきているらしい。


「ああ。わかった。会おう」


渋川社長の予想では、スマホアプリ『魔界世界デスガリア』の話だろうと言う。


人気があるスマホアプリ『魔界世界デスガリア』は今、使うことができなくなっている。


世界一ソフトウエアの経営が傾いたのも、それが原因らしい。


収入源のトップだった魔界世界デスガリアの不具合で収入がなくなっただけでなく、クレーム対応で資金が流出している。

これをなんとかしないと赤字垂れ流しになっている。


「まぁ、そんなに気にすることもないがな。赤字は年に数億というじゃないか」


アイなろやタレントブックなどの開発・運営費ともっとかかっているぞ。

収入はまだまだ支出に追い付いていないしな。


「ゲーム開発能力が手に入っただけでいいんだが」


俺はそう思うが、会社側としてはそうはいかないらしい。

抜本的な改善のためのミーティングらしい。


 ☆   ☆   ☆


「今日は時間を作っていただきましてありがとうございます」


開発事業部長だという男。

あと、ふたりほどいかにも技術者という感じのコミュニケーションレベルが低そうな男がついてきている。


俺の方は渋川社長と、あとアイなろのメインプログラマが同席している。


コンピュータシステムの話になると、俺も渋川社長も詳しくないからな。

こいつがいれば、何を言っているのかくらいは分かるだろう。


「お話は魔界世界デスガリアの修復の件なんですが」


いろいろと話をするが、要はお金が足りない。

そういうことらしい。


「いきなり、そんな話ですみません」

「いや。当然だな。しかし、金があれば修復できるのか?」

「それは……」


魔界世界デスガリアがおかしくなったのは、今年4月にやったメジャーバーションアップによってらしい。

すぐに動かなくなった訳ではなく、しばらくたってからだったために、元のバージョンに戻すことはユーザーデータの問題で無理だという。


「なんとしても、動くようにパッチをかけているんですが」


あちこちに専門用語が入るからよくわからないが、苦労しているのは分かる。


「とにかく、人員が足りないんです。お金が掛かるんです」


そう主張する事業部長。

しぶい顔をする渋川社長。


「えっと、口出ししていいかな」


アイなろのメインプログラマ、社内では天才プログラマで通っている彼が発言した。


「なんでしょう?」

「パッチじゃなくて、コアリクエストを追加する方向の方がいいんじゃないのか?」

「それはそうなんですが」


完全に専門用語の応酬になって、何を話しているか全く分からなくなった。

しかし、優勢なのは天才プログラマ、だってことは分かる。


「だから! 分かっているんですよ。正論ではそうだってことは!!」


あ、事業部長が切れた。

テーブルをガンと叩いて、怒りを表現している。


「だったら、あなたなら、コアリクエスト追加できると言うんですか? この複雑になってしまったシステムで」

「あー。俺がやると時間が掛かるな。よく知っている奴に対応させていいか?」

「は?」


天才プログラマがスマホを取り出してラインを送っている。

すぐにレスが返ってきた。


「コアリクエストの9番はダミーだ。実際は何も使われていないらしいぞ」

「えっ、誰にそんなことを聞いたんですか」

「あ。今、私の下に魔界世界デスガリアの開発初期メンバーのひとりがいてな」


なんと、そんな奴がいたのか。

まぁ、プログラマに関してはほとんど青天井の給料を出しているからな。

優秀な奴が集まってきていることは知っていたが。


「まさか。青木龍一じゃないですか?」

「その青木だ。そいつがコアリクエスト9番だと言っているぞ」


事業部長は絶句していた。

今回の問題の大きな原因は、青木と元オーナーのケンカにあるという。


メジャーバージョンアップの直前に方針の違いで会社を飛び出した青木。

それまでは問題が起きる度に青木がなんとかしてきたらしい。


「だけど、そっちの会社に戻る気はないらしい。給料も3倍になったと言ってるぞ」

ずいぶんと安い給料でこき使ったんだろうな。


「まぁ、悠斗さんが頼むなら、なんとかくらいはするって言ってるよ」

「じゃあ、なんとかしてくれ」


ラインで伝えたらすぐレスが来る。


「了解だって。私も含めて5人。プログラマを1週間だけ借りたいと」

「もちろん、オッケーだ。必要だと思う人員はもっと連れていっていいぞ」


 ☆   ☆   ☆


それからたった3日で魔界世界デスガリアは復旧した。

株価は問題が起きる前の相場である3倍になっていた。


さらに、投資の世界に噂が流れた。

世界一ソフトウエアは悠斗カンパニーとの協働によって生まれ変わる、と。


株価はさらに2倍になってしまい、25億円で買った株は150億円にもなった。


ラッキー悠斗伝説がまた、ひとつ増えた。

もしかして、これも白蛇神さんのおかげ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
参加中。クリック→<なろう勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ