第156話 俺は魔界からの電話を受けた?
似たような会社があるかもしれませんが、偶然です。笑
桜井駅のイベントが終わって、俺たちは打ち上げをしていた。
「だからね。ゲームで一番好きなのは、パール王国だな」
「あ、パール王国の人魚姫! 私も好き」
みゆちゃんと美尾ちゃんが、ゲーム談義をしている。
残念ながら俺はそれほど詳しくない。
「悠斗さん。アニメの後はゲーム作らないんですか?」
「さすがにゲームはゲームの会社じゃないと無理だろう」
高齢者ゲーム普及協会会長の陽太だ。
俺もゲームはさすがにイメージができない。
「どうせつくるなら、ネットゲームにして子供と高齢者で遊べるゲームにしてくださいね」
「だから、ゲームは無理だって」
なんかさ。
最近は、「やりたい」って言うと何でもできてしまうようで怖い。
ゲームはそれほどやりたいって気持ちがある訳じゃない。
だけど、そのうち、ゲームを作るようになる予感はある。
「あ、それなら世界一ソフトウェアを買収したらいいんじゃないですか?」
「なんだ、それは?」
「みゆちゃんが好きって言っているパール王国の人魚姫を作った会社です」
「そんな会社を買収となったら、金だけではどうしようもないだろう?」
「もしかしたら、買収したいって言ったら、どうぞどうぞ、って言われるかもです」
「なぜ?」
「あの会社、今、やばいんじゃないかって言われています。一番力を入れていた、スマホアプリ『魔界世界デスガリア』が止まっているんです」
「どういうことだ?」
「メンテナンスに失敗したみたいで、令和になる直前に止まってから半年になるのに、まだ再開していないんです」
「ええーーー。本当?」
いきなり、美尾が話に割り込んできた。
「あれのBS3版はやってたけど、アプリもあったんだ」
「開発費をガンガン掛けたのにメンテナンス失敗で運用できない。このままだと倒産って噂もあるんだ」
あー、ゲーム会社も大変だな。
だけど、買収するとなると当然、社長は防衛買いするだろうし。
無理だろうな。
リリーン♪ リリーン♪
あれ、電話か…パラコンシェルジュ、じゃなかった渋川社長か、登録名を直さないとな。
「はい?」
「ローゼンプリンセス商会から連絡がありまして」
「ローゼンプリンセス商会?」
「えーーー。ローゼンプリンセス商会からなの?」
美尾がいきなり電話に割り込んでくる。
「もし、そうなら、オリハルコンの短剣が欲しいと伝えて」
「あれはゲームの中の話でしょ。まさか電話してくるはずないわ」
「なんだか、ローゼンプリンセス商会ならオリハルコンの短剣が欲しいらしいぞ」
「それは無理です」
「なんでだ?」
「ローゼンプリンセス商会の売り物は、世界一ソフトウェアです」
はぁ?
なんで、ゲームの中のお店がそんなものを売るんだ?
ここにいるゲーム好き3人も含めてスマホ会議に切り替えた。
「要はローゼンプリンセス商会というのは、世界一ソフトウエアの創業者の会社で世界一ソフトウエアの60%の株を持っているそうです」
「「「なんだって!」」」
株式の60%の売値は、今の株価と同じで25億円。
年初より株価は1/3になっているらしく、お買い得だと渋川社長がいう。
「もっとも、ゲーム開発をやりたくないっていうなら、スルーしましょう」
「やります!」
「おい。陽太。そういう話じゃないだろう」
「25億円は無理ですかね」
「あー、そのくらいなら問題はないが」
「やっぱり、ですね」
「みゆはパール王国の人魚姫の続編作って欲しいなって」
「それ言うならね。止まっているデスガリアを直すのが先よ」
うーん。
ゲームになるとみんな熱くなるな。
俺が知っている唯一のゲームは小学校にあがるときに母親が買ってくれたボケモンだけだ。
「それじゃ、今、話している全部で5人。世界一ソフトウェアを25億円で買うのに賛成か?」
「「「「賛成」」」」
「渋川社長まで賛成なのか」
「実際お買い得だと思いますよ。開発陣が全部手に入るのですから。悠斗カンパニーで作りたいゲーム案がある人を募集すれば、集まるはずですし」
アニメの後はゲームか。
「よし、ローゼンプリンセス商会に25億で買ったと伝えてくれ。おまけとしてオリハルコンの短剣もつけてくれと」
「分かりました。交渉してみましょう」
おいおい、本気で交渉するのか?
冗談が分からない人だな。




