第151話 俺はまたシャッター通りの商店街にやってきた
「しかし、すごいですね。こんなに人が集まっているのは初めてみました」
ここは、奈良県桜井市の商店街。
シャッターが閉まった店ばかりのゴースト商店街だった。
しかし、今は全く違う。
あちこちに人だかりができている。
この地でアイなろの大々的なイベントが開催されることになったのだ。
決めたのはもちろん、俺。
「桜井駅でアイドルイベントをやるぞ。それも大規模なのを」
その一言で準備は揃った。
アイなろに登録しているアイドルに声をかけて参加できるアイドルを募った。
今回のイベントは『1800年ぶりのアイドル大集合』って名前にした。
1800年というのはもちろん、卑弥呼の時代以来という意味だ。
卑弥呼を歌姫だと設定している超宇宙戦艦マグロスにちなんだイベントでもある。
ちゃんと版権を持っている会社には事前了解をもらってある。
もちろん、特製饅頭箱付きでだ。
「それなら、マグロスのアイドルも参加させましょうか?」
今、活動している声優アイドルグルーブがいるらしい。
そのグループと、初代マグロスの鱗・明理も映像参加してくれるらしい。
『アイなろ&マグロス』なんてフレーズもつけてみた。
だから、商店街のあちこちに特設ステージができている。
今は折りたたみ式のステージがあって簡単に設置できるらしい。
「なんか、わくわくしますね」
元々元気な商店会会長は、さらに元気になっていた。
「そうだろう。桜井市が卑弥呼の地だと言われていると知っておもいついたんだ」
正式には卑弥呼の邪馬台国は北九州説と近畿説のふたつがあるが、近畿説はこの桜井市が一番有力だ。
だから、ここに卑弥呼がいたと勝手に想定して、ノリでイベントを企画したら、どんどんと話がでかくなってきた。
「本当に1800年前に卑弥呼はこの地でステージに立っていたのかもな」
「そうですね。きっとそうです」
神々と歌の力を借りて、古代日本をひとつにまとめ上げたアイドル。
そのパワーを借りて、俺たちもイベントを盛り上げよう。
「それじゃ、始めるとしますか」
「おう。やろう!」




