第150話 俺は一気に事態が進行したのを知った
「紗夜華の初ライブ、完売です」
誠人から報告があった。
アニメで正式登場して、その後、佐那河内で撮影した『風に乗って』のPV公開。
大手プロダクションによる評価操作に文秋砲が炸裂!
第2話の評価は好意的なものに一変した。
アニメと一緒の紗夜華ライブの開催告知。
たった30分で完売。
新人としては、異例の300席もある会場での初ライブ。
それなのに、30分完売。
すごいな。
「急遽、ライブを来週3日間やります。会場の関係で800席になります」
おいおい、さすがにそれは埋まらないだろう。
どうしたものか。
いいことを思いついた。
「じゃあ、饅頭箱3つでどうだ?」
「いけますよ。音楽番組は最近、人気低迷中だから話題の人ならオッケーでます」
「だけど、大手プロダクションが邪魔するんじゃないか?」
「今は無理でしょう。自分のとこに火がついていますから」
確かにな。
明日、釈明会見するとか言っていたしな。
やるなー、あのパパラッチ。
その後10分後に明日の人気の音楽生放送の番組、SMステーションにゲスト参加が決まった。
よくまぁ、そんな番組にねじ込んだな。
饅頭効果だけじゃ無理だろう。
「あと、テレビつけてみてください」
「あ? どのチャンネルだ?」
「民放ならどこでもいいです」
「あ、紗夜華のPVじゃないか。なんで、そんなのが出ているんだ?」
「民放のすべてがPV放映の許可を申請してきましたから、全部オッケーにしました」
「だからって」
「アニメの評価改ざんのネタとセットで紗夜華ってキーワードが沸騰していて。朝の情報番組がみんな取り上げているんですよ」
「それはすごいな」
SMステーションでなくても、3日間のライブ完売するんじゃないかな。
「それと、アニメ第3話のエンディング、鵜谷煌を出すそうです。もう、絵も間に合わせるということです」
今度は鵜谷煌か。
あいつがいきなり出てくると、またとんでもないことになりそうだな。
「さすがに本編登場は5話からですが。3話エンディングをフォーリングラブで、男声で出します」
おいおい。男だと思わせるのかよ。
それだと、本編でややこしくならないか?
「4話のエンディングはロストラブで女声です。この時点で情報を公開します」
なんだか、誠人楽しそうだな。
だいたい、お前、アニメの方に関わってなかったんじゃないか。
「いやぁ。アイドル情報を提供していたら脚本監督と仲良くなってしまって。昨日は徹夜でツーショット、ネット会議してました」
こいつ、アイドル絡みになると、とたんにパワーが上がるな。
それ以外は、いまいちだって評判だがな。
まぁー、アイなろは、こいつのやりたいが始まりだったんだから、当然ともいえるな。




